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エルゲリータ王国・王家11
キールスとリュエンザがスルトとブルーベルの婚約解消を認めたのは、上手くいかないこともあったが、苦しませるだけだろうと思ったからであった。
だが、心を壊したことは想定外であった。これまでのことが降り積もったことが原因だろうと考えていた。側妃に出すことは止めようかと思ったが、エズリラ侯爵に留めたところで、いい環境とは言えなかった。
いくら王家でも留めたところでエズリラ侯爵家にできることは限られることもあった。正しかったかは分からないが、エルゲリータ王国にいるより良かったのではないかと思っていた。
「ミジュリー、そなたはどう思っている?」
「あの……エースト殿下はアリーシャのために行っただけなのです」
「そもそも、そなたが先に断られているのに、どうしてエーストを止めなかった?止めていればこのようなことにはならなかったと思わないか?」
「エルゲリータ王国のためだったのです」
エーストはエルゲリータ王国のために行ったことで、上手くいかなかっただけで間違ったとは思っていなかった。
「逆の結果になったことはどう考えている?」
「申し訳ないと思っております」
「そなたにはブルーベルへのこともあるからな、きちんとどう責任を取るか考えておくように」
「……はい」
エーストの次に罪が重いのはミジュリーであるために、キールスは厳しく伝えた。
「スルト、お前も同じだ。どう責任を取るか考えておくように」
「承知いたしました」
スルトはキールスと関わることも少ないために、縮こまって頭を下げた。
「アリーシャも理解はできたな?」
「諦めないといけないのですか」
「ああ、絶対にスチュワート王太子殿下と婚約できることはない」
アリーシャは泣きそうになったが、キールスとリュエンザにとってはようやく理解したのかと、大人びたことを言う割に幼さに揃いも揃ってという思いであった。
「エースト、ミジュリー、スルトは答えを出して、宰相に伝えてくれ」
「……はい、承知いたしました」
「承知いたしました」
「承知いたしました」
エーストは渋々という様子だったが、ミジュリーとスルトは頭を下げて答えた。
「あと、今回のことはリュメリー王国にも全て知られている」
エーストは思わず体を震わせた。コレドールがフェイリアに伝えたのか、兄妹なのだから当然かもしれないが、他国のことを洩らすなど王族としてどうなのか。
繋がりがあることは良いことだが、知られることも分かってはいた。言った言わないの証拠もないのだから、口まで出して来ることはないだろう。
ブルーベルが一人で来ていればこんなことにはならなかった。
「ですが、リュメリー王国には関係のないことです!それこそ、口を出して来たわけではないでしょう?」
フェイリアがリュメリー王国の王太子妃であることを狙ってのことだったが、今回のことには関係はしていない。
「口を出したわけではない。ただ呆れられただけだ」
それはリュメリー王国との和解をまた伸ばすことになったという意味である。
「ブルーベルに付いていた医者はリュメリー王国から、シュエルダ陛下とフェイリア王太子妃が派遣された方だったそうだ」
「っな……」
エーストはコレドールとブルーベルの後ろにいた男性を思い出したが、顔を見ただけで分かるはずがない。
「肌の色が……」
「お前もそのようなことを言うのか?」
エーストは思わず肌の色のことを口に出してしまい、ハッとした。
「っ、いえ……ですが」
「全員が褐色の肌をされているわけではないことくらい知っているだろう」
「意図的に隠したのではありませんか!騙したようなものではありませんか!」
それでもエーストはわざとこちらに気付かせないために、褐色ではない者をつけたのではないかと勘繰った。
だが、心を壊したことは想定外であった。これまでのことが降り積もったことが原因だろうと考えていた。側妃に出すことは止めようかと思ったが、エズリラ侯爵に留めたところで、いい環境とは言えなかった。
いくら王家でも留めたところでエズリラ侯爵家にできることは限られることもあった。正しかったかは分からないが、エルゲリータ王国にいるより良かったのではないかと思っていた。
「ミジュリー、そなたはどう思っている?」
「あの……エースト殿下はアリーシャのために行っただけなのです」
「そもそも、そなたが先に断られているのに、どうしてエーストを止めなかった?止めていればこのようなことにはならなかったと思わないか?」
「エルゲリータ王国のためだったのです」
エーストはエルゲリータ王国のために行ったことで、上手くいかなかっただけで間違ったとは思っていなかった。
「逆の結果になったことはどう考えている?」
「申し訳ないと思っております」
「そなたにはブルーベルへのこともあるからな、きちんとどう責任を取るか考えておくように」
「……はい」
エーストの次に罪が重いのはミジュリーであるために、キールスは厳しく伝えた。
「スルト、お前も同じだ。どう責任を取るか考えておくように」
「承知いたしました」
スルトはキールスと関わることも少ないために、縮こまって頭を下げた。
「アリーシャも理解はできたな?」
「諦めないといけないのですか」
「ああ、絶対にスチュワート王太子殿下と婚約できることはない」
アリーシャは泣きそうになったが、キールスとリュエンザにとってはようやく理解したのかと、大人びたことを言う割に幼さに揃いも揃ってという思いであった。
「エースト、ミジュリー、スルトは答えを出して、宰相に伝えてくれ」
「……はい、承知いたしました」
「承知いたしました」
「承知いたしました」
エーストは渋々という様子だったが、ミジュリーとスルトは頭を下げて答えた。
「あと、今回のことはリュメリー王国にも全て知られている」
エーストは思わず体を震わせた。コレドールがフェイリアに伝えたのか、兄妹なのだから当然かもしれないが、他国のことを洩らすなど王族としてどうなのか。
繋がりがあることは良いことだが、知られることも分かってはいた。言った言わないの証拠もないのだから、口まで出して来ることはないだろう。
ブルーベルが一人で来ていればこんなことにはならなかった。
「ですが、リュメリー王国には関係のないことです!それこそ、口を出して来たわけではないでしょう?」
フェイリアがリュメリー王国の王太子妃であることを狙ってのことだったが、今回のことには関係はしていない。
「口を出したわけではない。ただ呆れられただけだ」
それはリュメリー王国との和解をまた伸ばすことになったという意味である。
「ブルーベルに付いていた医者はリュメリー王国から、シュエルダ陛下とフェイリア王太子妃が派遣された方だったそうだ」
「っな……」
エーストはコレドールとブルーベルの後ろにいた男性を思い出したが、顔を見ただけで分かるはずがない。
「肌の色が……」
「お前もそのようなことを言うのか?」
エーストは思わず肌の色のことを口に出してしまい、ハッとした。
「っ、いえ……ですが」
「全員が褐色の肌をされているわけではないことくらい知っているだろう」
「意図的に隠したのではありませんか!騙したようなものではありませんか!」
それでもエーストはわざとこちらに気付かせないために、褐色ではない者をつけたのではないかと勘繰った。
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