64 / 203
再々非望2
『では、皆が何を話したか、言ってみなさい(ノワンナ語)』
「普段は側近としてお側に、そして夜は愛される愛妾として側におります」
「は?」
「ふふふ」
殿下はあまりに言動に呆れたが、サリーは時が経ち、皆が成長しているのに、エマのあまりに変わっていない姿に、思わず笑いが零れていた。
『私が言うことではありませんが、さすがに酷いです(ノワンナ語)』
『ふふ、護衛は出来るのかしら?(ノワンナ語)』
『出来ないでしょう。私、聞いたことがあります。見合いの相手に、あの風貌で、女性は男性に守ってもらうものですからと言ったそうです(ノワンナ語)』
殿下の場合は護衛も別にいるが、側近は殿下を守る立場でもある、護衛の力も必要となるため、ノワンナ語だけでなれるものではない。
『まあ、何だかやっぱりちぐはぐね(ノワンナ語)』
『ちぐはぐ?(ノワンナ語)』
「ちぐはぐ」
「ありがとうございます」
サリーとレベッカは親しそうに、ノワンナ語の勉強を始めており、気にはなるが、殿下とクリコットはそれどころではない。
「ノワンナ語を理解も出来てもいない。私は側近に女性は取らない。護衛も出来ない者は側近にはなれない。愛妾も娶らない」
「そんな…ノワンナ語は分かります」
「分かっていないじゃないか、何を話しているか分かっていないのだろう?」
「あまり話す機会がなくて、緊張してしまって。落ち着けば話せますから」
「緊張で話せないのなら、意味がない。そんなことも分からないのか?」
「私にそんな厳しい言い方をしなくても、いいではありませんか」
エマは殿下をウルウルとした瞳で見つめ、口を挟まぬようにしていた、クリコットの苛立ちは爆発寸前であった。
「では、私が今から一つ言葉を言いますから、何と言っているか、答えてください」
「えっ…はい」
『男装もどき(ノワンナ語)』
「えっ、もう一度いいですか」
『男装もどき(ノワンナ語)』
「えっと、確か、可愛らしい、でしょうか」
「違います。やはり、理解できていませんね」
「何と言ったのですか」
「男装の麗人、と言いました」
「ああ、そうです、そうでした。すぐ思い出せなかっただけです」
「愚かですね」
最初に会った時は話すこともきちんとしていて、それが殿下に恋して、たった一度キスされたことだけで変わってしまったのか。恐ろしいものだ。
『クリコット様、性格がお悪いですよ。いじめているようではありませんか(ノワンナ語)』
『あったまがおっかしいそうですから、これでいいのです(ノワンナ語)』
『サリー様、今のところ、後で教えてください。私も一部、分かりませんでした(ノワンナ語)』
『あまり憶えなくてもいいものだけど、後で教えるわ(ノワンナ語)』
殿下はサリーとレベッカがまるで、姉というべきか、友人というべきか、親しく話している姿に違和感しかない。
「なぜ、ノワンナ語を取得したなどと嘘を言った?」
「えっ、だって、試験をしました」
「何の試験だ?」
「ですから、教本にあった試験です。七十点だったんですよ。これで、あなたもノワンナ語マスターだって書いてあって」
「何だそれは!」
「あははは!おっかしい!殿下、発言よろしいですか」
レベッカは大きな声で笑いながらも、小さく手を挙げ、殿下に許可を得た。
「教本に学習したらやってみましょうと、付属している試験があります。何点以上取れたら、褒める言葉として、先程言ったような言葉が書いてあるんです。子どもにやる気を出させる、類のものです。聞き取れていないようですので、おそらく、読み書きだけ覚えたのではありませんか?」
「それを取得したなどと言ったのか?」
「えっ、でも」
「子ども向けということだな?」
「ええ、私も使っていたのは、流石に幼い頃の話です」
「酷い!馬鹿にして、自分だって」
「黙りなさい。今、理解すら出来ていない者が向けていい言葉ではありませんよ」
サリーはエマを冷たい瞳で射貫きながら、諭す低い声であった。
「でも、だったらどうしたら…」
「はあ…一般的には語学検定試験を受けるんだ。それで、ようやく取得したと言える。通訳、翻訳家は取得しているだろう」
ただし、正妃、側妃試験に語学認定試験は必須ではない。レベッカは勿論、サリーも提出してはいない。王族として、きちんと理解し、訳せることよりも、話せるかが重要となることから、独自の試験があるのだ。
だが、王族でない者の場合は、証明として合格の証明書が必要となる。通訳、翻訳家は信用を得るために取得する理由となる。
「サリー様、いくつお持ちですか?」
「えっと、検定試験だけなら、十一個かしら?」
「「「え?」」」
エマは価値がよく分かっていないため、驚いたのはエマ以外の者たちである。
「普段は側近としてお側に、そして夜は愛される愛妾として側におります」
「は?」
「ふふふ」
殿下はあまりに言動に呆れたが、サリーは時が経ち、皆が成長しているのに、エマのあまりに変わっていない姿に、思わず笑いが零れていた。
『私が言うことではありませんが、さすがに酷いです(ノワンナ語)』
『ふふ、護衛は出来るのかしら?(ノワンナ語)』
『出来ないでしょう。私、聞いたことがあります。見合いの相手に、あの風貌で、女性は男性に守ってもらうものですからと言ったそうです(ノワンナ語)』
殿下の場合は護衛も別にいるが、側近は殿下を守る立場でもある、護衛の力も必要となるため、ノワンナ語だけでなれるものではない。
『まあ、何だかやっぱりちぐはぐね(ノワンナ語)』
『ちぐはぐ?(ノワンナ語)』
「ちぐはぐ」
「ありがとうございます」
サリーとレベッカは親しそうに、ノワンナ語の勉強を始めており、気にはなるが、殿下とクリコットはそれどころではない。
「ノワンナ語を理解も出来てもいない。私は側近に女性は取らない。護衛も出来ない者は側近にはなれない。愛妾も娶らない」
「そんな…ノワンナ語は分かります」
「分かっていないじゃないか、何を話しているか分かっていないのだろう?」
「あまり話す機会がなくて、緊張してしまって。落ち着けば話せますから」
「緊張で話せないのなら、意味がない。そんなことも分からないのか?」
「私にそんな厳しい言い方をしなくても、いいではありませんか」
エマは殿下をウルウルとした瞳で見つめ、口を挟まぬようにしていた、クリコットの苛立ちは爆発寸前であった。
「では、私が今から一つ言葉を言いますから、何と言っているか、答えてください」
「えっ…はい」
『男装もどき(ノワンナ語)』
「えっ、もう一度いいですか」
『男装もどき(ノワンナ語)』
「えっと、確か、可愛らしい、でしょうか」
「違います。やはり、理解できていませんね」
「何と言ったのですか」
「男装の麗人、と言いました」
「ああ、そうです、そうでした。すぐ思い出せなかっただけです」
「愚かですね」
最初に会った時は話すこともきちんとしていて、それが殿下に恋して、たった一度キスされたことだけで変わってしまったのか。恐ろしいものだ。
『クリコット様、性格がお悪いですよ。いじめているようではありませんか(ノワンナ語)』
『あったまがおっかしいそうですから、これでいいのです(ノワンナ語)』
『サリー様、今のところ、後で教えてください。私も一部、分かりませんでした(ノワンナ語)』
『あまり憶えなくてもいいものだけど、後で教えるわ(ノワンナ語)』
殿下はサリーとレベッカがまるで、姉というべきか、友人というべきか、親しく話している姿に違和感しかない。
「なぜ、ノワンナ語を取得したなどと嘘を言った?」
「えっ、だって、試験をしました」
「何の試験だ?」
「ですから、教本にあった試験です。七十点だったんですよ。これで、あなたもノワンナ語マスターだって書いてあって」
「何だそれは!」
「あははは!おっかしい!殿下、発言よろしいですか」
レベッカは大きな声で笑いながらも、小さく手を挙げ、殿下に許可を得た。
「教本に学習したらやってみましょうと、付属している試験があります。何点以上取れたら、褒める言葉として、先程言ったような言葉が書いてあるんです。子どもにやる気を出させる、類のものです。聞き取れていないようですので、おそらく、読み書きだけ覚えたのではありませんか?」
「それを取得したなどと言ったのか?」
「えっ、でも」
「子ども向けということだな?」
「ええ、私も使っていたのは、流石に幼い頃の話です」
「酷い!馬鹿にして、自分だって」
「黙りなさい。今、理解すら出来ていない者が向けていい言葉ではありませんよ」
サリーはエマを冷たい瞳で射貫きながら、諭す低い声であった。
「でも、だったらどうしたら…」
「はあ…一般的には語学検定試験を受けるんだ。それで、ようやく取得したと言える。通訳、翻訳家は取得しているだろう」
ただし、正妃、側妃試験に語学認定試験は必須ではない。レベッカは勿論、サリーも提出してはいない。王族として、きちんと理解し、訳せることよりも、話せるかが重要となることから、独自の試験があるのだ。
だが、王族でない者の場合は、証明として合格の証明書が必要となる。通訳、翻訳家は信用を得るために取得する理由となる。
「サリー様、いくつお持ちですか?」
「えっと、検定試験だけなら、十一個かしら?」
「「「え?」」」
エマは価値がよく分かっていないため、驚いたのはエマ以外の者たちである。
あなたにおすすめの小説
妃が微笑んだまま去った日、夫はまだ気づいていなかった
柴田はつみ
恋愛
「セラフィーヌ、君は少し、細かすぎる」
三秒、黙る
それから妃は微笑んで、こう言った。
「そうですね。私の目が曇っていたようです」
翌朝から、読書室に妃の姿はなかった。
夫への礼は完璧。公務も完璧。微笑みも完璧。
ただ妻の顔だけが、どこにもなかった。
悪夢から目覚めたわたしは、気付かないふりをやめることにしました。
ふまさ
恋愛
ある日、オリヴィアは夢を見た。婚約者のデイルが、義妹のグレースを好きだと言い、グレースも、デイルが好きだったと打ち明けられる夢。
さらに怪我を負い、命の灯火が消えようとするオリヴィアを、家族も婚約者も、誰も助けようとしない悪夢から目覚めたオリヴィアは、思ってしまった。
──これはただの悪夢ではなく、正夢ではないか、と。
【完結】私の真似ばかりする従姉妹 ~「彼女の嘘で婚約者を奪われたけど、すべて私のお金だけど、大丈夫?」~
恋せよ恋
恋愛
「グレースは私の真似ばかりするの……」
「全部、私が選んだり、先に見つけた物なのよ」
涙を流す従姉妹バレリー子爵令嬢の嘘を信じ、
私を「ひどい女」と非難する婚約者と友人たち。
身の丈に合わない贅沢に慣れたバレリーに
私は絶縁を告げる……後悔しても、もう遅い。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
「お前を愛することはない」と言ってしまった夫は、妻の本当の目的を知らない【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
辺境伯ロランは、政略結婚で迎えた妻メリンダを「お飾り」だと思っていた。
だがある日、愛人が社交界で妻を侮辱し、王宮から勧告が下る。
窮地に立たされたロランは、妻の実家へ謝罪に向かうが──
メリンダは、9歳で商会を立ち上げ、15歳で貴族学園を3ヶ月で飛び級卒業した“怪物級の才女”だった。
さらに、ロランの代わりに愛人を修道院へ送り、家政も社交も完璧にこなす。
一方ロランは、妻の望む「コンドル」と「虎」を本当に捕まえて帰ってくるほど、妙な方向に頑張り始め──
気づけば、“お飾り”だと思っていた妻に、人生ごと振り回されていた。
そんな中、パーティーで“アフェイリ窃盗団”が出現。
ロランは初めて、妻を守るために剣を抜く。
「代わりはいくらでもいる」と言われたので、私は消えました。——お茶会ばかりしていた私が何をしていたのか、ご存じないようで
藤原遊
恋愛
下級貴族出身の私は、伯爵家に嫁いでから、ひたすらにお茶会を重ねてきた。
それはすべて、この家を支えるためのものだった。
けれど夫は、それを「無駄な遊び」と切り捨てる。
「代わりはいくらでもいる」と。
だから私は、何も言わずに去った。
——その日から、伯爵家は静かに崩れ始める。
お茶会で築いていたものが何だったのか、誰も知らないまま。
アリシアの恋は終わったのです【完結】
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。