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番外編2
クオン・パトラー2
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もうサリー様と仕事が出来ない、それは私にとって絶望だった。妃殿下に出会ったのは、まだサリー・ぺルガメント侯爵令嬢だった頃だ。翻訳を頼みに行く学術書の編集者に、編集長に顔を売っておいて損はないと言われて、同行した際であった。
そこに置いてあったのが『コルボリット』であった。
アーガン王国で大人気だと聞いており、クオンも読んではみたかったが、ビアロ語で書かれているため、読むことは出来なかった。
「コルボリット…」
「あら?ご存知ですか?」
「はい、読んでみたいと思っていました」
「私もようやく、読めましてね」
「ビアロ語がお出来になるのですか」
「習いましたの、この本のために。もう面白くて、思い出しては心が躍りますの。本当は誰かとここが面白かったと、話したいところですけどね」
当時は意味が分からなかったが、サリー様は実物の本を読み返さなくても、頭の中に全て憶えていたそうだ。
「この本も翻訳が出来るのですか」
「いえ、小説は学術書と違って、機微が難しいですから、私には向いておりません」
確かに学術書はそのまま訳すことが正解である、だが小説となれば、国にあった言い回しが必要になる場合がある。ルアース・ベルア氏にも翻訳版の話は出ていたそうだが、翻訳では伝わらないことが不安だと難色を示していると有名であった。
私は諦めきれず、ルアース・ベルア氏の担当にサリー様のことを文に書いて送った。すると、ベルア氏側から会ってみたいが、王太子殿下の婚約者ならば、なかなか会えないのではないかという問題になった。
だがサリー様に伝えると、是非お会いしたいと、自ら無理をして、日程を調整をしてくれた。
アーガン王国までは二日は掛かるため、中間地点であるソアート帝国で会うことになった。王家にも許可を得たため、護衛も付いて来たが、才女と呼ばれるサリー様がドキドキして眠れなかった、緊張すると少女のようであったことを覚えている。
道中もカベリ語を母国語のように操り、言葉が通じず、困っている家族に通訳を買って出て、助けたりもしていた。その様子に、我が国の王太子妃になる方がこの方ならば、安泰だとも思いもした。
そしてついにルアース・ベルアに対面することになった。ルアース・ベルア氏は、サリー様より、九つ年上の伯爵夫人。
正直、ビアロ語で話されるために、会話の内容は分からなかったが、二人の楽しそうな顔にとても満足していた。
『サリー・ペルガメントと申します。お会いできて光栄です(ビアロ語)』
『こちらこそ、ルアース・ベルアです。これはお話以上ですね、偽りなく、阿ることもなく、美しいビアロ語です(ビアロ語)』
『恐れ入ります。素晴らしい教師に教えていただきましたので(ビアロ語)』
サリー様は興奮した様子で、あの場面で隠されていたことが分かって、思わず本を置いて、胸に刻み込んだなどと、感想をずっと伝えていたそうだ。
そして、ベルア氏が書いた言葉を一言一句間違えていなかったことは、担当者も分かっていなかったそうだ。
気が付けば、翻訳を頼むことになっていた。サリー様は私などではと固辞したそうだが、あなたしかいないと口説かれ、サリー様ももっと多くの人に読んでもらいたいと、了承したという。
しかも翻訳版はサリー様が話せる言語だけという条件まで付いていた。さすがにすべての翻訳は時間の関係上難しいために、サリー様が最終チェックを行うことになった。だが、トワイ語だけはサリー様自らが翻訳を行うことに決まった。
ベルア氏は絶対に無理はしないことだけを約束させ、最後に分かれる際には、二人はまるで同志の様にすら見えた。
それからも時折、ソアート帝国で二人は会って、ただお喋りをした。サリー様はベルア氏と過ごすこの時間が一番楽しくて、幸せだと言っていた。
そこに置いてあったのが『コルボリット』であった。
アーガン王国で大人気だと聞いており、クオンも読んではみたかったが、ビアロ語で書かれているため、読むことは出来なかった。
「コルボリット…」
「あら?ご存知ですか?」
「はい、読んでみたいと思っていました」
「私もようやく、読めましてね」
「ビアロ語がお出来になるのですか」
「習いましたの、この本のために。もう面白くて、思い出しては心が躍りますの。本当は誰かとここが面白かったと、話したいところですけどね」
当時は意味が分からなかったが、サリー様は実物の本を読み返さなくても、頭の中に全て憶えていたそうだ。
「この本も翻訳が出来るのですか」
「いえ、小説は学術書と違って、機微が難しいですから、私には向いておりません」
確かに学術書はそのまま訳すことが正解である、だが小説となれば、国にあった言い回しが必要になる場合がある。ルアース・ベルア氏にも翻訳版の話は出ていたそうだが、翻訳では伝わらないことが不安だと難色を示していると有名であった。
私は諦めきれず、ルアース・ベルア氏の担当にサリー様のことを文に書いて送った。すると、ベルア氏側から会ってみたいが、王太子殿下の婚約者ならば、なかなか会えないのではないかという問題になった。
だがサリー様に伝えると、是非お会いしたいと、自ら無理をして、日程を調整をしてくれた。
アーガン王国までは二日は掛かるため、中間地点であるソアート帝国で会うことになった。王家にも許可を得たため、護衛も付いて来たが、才女と呼ばれるサリー様がドキドキして眠れなかった、緊張すると少女のようであったことを覚えている。
道中もカベリ語を母国語のように操り、言葉が通じず、困っている家族に通訳を買って出て、助けたりもしていた。その様子に、我が国の王太子妃になる方がこの方ならば、安泰だとも思いもした。
そしてついにルアース・ベルアに対面することになった。ルアース・ベルア氏は、サリー様より、九つ年上の伯爵夫人。
正直、ビアロ語で話されるために、会話の内容は分からなかったが、二人の楽しそうな顔にとても満足していた。
『サリー・ペルガメントと申します。お会いできて光栄です(ビアロ語)』
『こちらこそ、ルアース・ベルアです。これはお話以上ですね、偽りなく、阿ることもなく、美しいビアロ語です(ビアロ語)』
『恐れ入ります。素晴らしい教師に教えていただきましたので(ビアロ語)』
サリー様は興奮した様子で、あの場面で隠されていたことが分かって、思わず本を置いて、胸に刻み込んだなどと、感想をずっと伝えていたそうだ。
そして、ベルア氏が書いた言葉を一言一句間違えていなかったことは、担当者も分かっていなかったそうだ。
気が付けば、翻訳を頼むことになっていた。サリー様は私などではと固辞したそうだが、あなたしかいないと口説かれ、サリー様ももっと多くの人に読んでもらいたいと、了承したという。
しかも翻訳版はサリー様が話せる言語だけという条件まで付いていた。さすがにすべての翻訳は時間の関係上難しいために、サリー様が最終チェックを行うことになった。だが、トワイ語だけはサリー様自らが翻訳を行うことに決まった。
ベルア氏は絶対に無理はしないことだけを約束させ、最後に分かれる際には、二人はまるで同志の様にすら見えた。
それからも時折、ソアート帝国で二人は会って、ただお喋りをした。サリー様はベルア氏と過ごすこの時間が一番楽しくて、幸せだと言っていた。
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