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申し込み2
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「え!どうして!」
「マリアール侯爵家は婚約にも結婚にも王家の承認がいるんだ。許可を得てではないと返事はできない」
「私はイリアと違って、養子なんだから、本当はマリアール侯爵家の一員なんかじゃないんでしょう!」
「そんなことはない!」
「ホーリー!そんな失礼なことを言わないで」
いつものように口を挟まず、黙っていようと思っていたリリカだったが、さすがに聞き流すことはできなかった。
「お母様のせいじゃない!でも、養子なら嫁げるものね!しかも、私は後継者じゃない!シューク様にも後継者だったら申し込めなかったとおっしゃられたわ」
「それでも、王家の承認がいる。これは決まりなんだ」
「養子なのに!」
「だったら、あなたはコロゾ子爵家で暮らせばよかったって言うの!」
さすがに聞くに堪えなかったリリカは、これまで何不自由なく暮らして来たマリアール侯爵家ではないとすれば、ホーリーの行き先はコロゾ子爵家になるために、怒りに任せて口に出していた。
「そんなこと言ってないわ」
「だったら、これまで育ててもらったのに、どうしてそんなことを言えるの!」
「お母様のせいじゃない!」
「そうよ、だから全部お母様のせいだと言っているでしょう!それなのに、どうして皆にそんなことが言えるの!」
「リリカ、落ち着きなさい。冷静に話そう」
シールドはリリカの気持ちも、ホーリーも好意のあった方に婚約を申し込まれて、熱くなっているのだろうとリリカを落ち着かせることにした。
「そうだ、まず落ち着きなさい。国王陛下に話をしてからであることは変わりない」
「私は絶対に、婚約しますから!」
ホーリーはそう言って、走って部屋に戻ってしまい、皆は大きく溜息をついた。
「申し訳ございませんでした」
リリカは皆に向かって深く頭を下げて、謝罪した。
「いや、好意があって、嬉しかったのだろう。だが、承認がなければ婚約はさせられない」
「駆け落ちなんてしないわよね?」
セイラはホーリーの様子から、最悪の状況を想像してしまった。
「そんなことをしたら、お妾さんになるだけだぞ?」
「それでも聖女の血筋だと、構わないとなるのでは?」
「あちらはもしかしたら、構わないかもしれないが……ホーリーはそれでいいと言うか?」
ホーリーが婚約や結婚にどのような考えを持っているか聞いたことがないために、事実は分からないが、若い娘が妾というのはあまりないことだろう。
「許可が下りなかったら、それでもと言うのかしら……?」
「そもそも、サント王国で幸せになれるのでしょうか?あちらとは聖女という考えが違いますでしょう?」
「そうなんだよな、ホーリーはそんなことも考えていないだろうな……」
まだ17歳であるホーリーは、婚約を申し込まれたことしか頭にないだろう。
「どちらにしろ、陛下にお伺いに行って、話をして来る」
「よろしくお願いいたします」
「お願いいたします」
マイードとセイラは、翌日、ギルクとクリーナに会うことができた。
婚約の話と、マリアール侯爵家で話したことをまず話させてもらうことになった。
「なるほどな……」
「まさか他国から申し込みが来るなんて」
ギルクとクリーナも、困惑した表情にみるみる変わっていった。
「侯爵の考えも理解できる。危惧するのも、私も同意見だ。何を言い出すか分からない。だが、向こうは養子ということが、申し込み易いと思ったのだろうな」
あの状況で認めることはできなかったが、養子ということが違う方向へ作用したのだと感じていた。
「認めて欲しいなどと言って来ることはないのかしら?」
「だが、証明は今もできていないんだ。あちらも血筋を証明する術も持っていないだろう?」
「そうよね……」
マリアール侯爵家でなければ、悪くない縁談ではあったが、ギルクとクリーナも頭を抱えることになった。
「マリアール侯爵家は婚約にも結婚にも王家の承認がいるんだ。許可を得てではないと返事はできない」
「私はイリアと違って、養子なんだから、本当はマリアール侯爵家の一員なんかじゃないんでしょう!」
「そんなことはない!」
「ホーリー!そんな失礼なことを言わないで」
いつものように口を挟まず、黙っていようと思っていたリリカだったが、さすがに聞き流すことはできなかった。
「お母様のせいじゃない!でも、養子なら嫁げるものね!しかも、私は後継者じゃない!シューク様にも後継者だったら申し込めなかったとおっしゃられたわ」
「それでも、王家の承認がいる。これは決まりなんだ」
「養子なのに!」
「だったら、あなたはコロゾ子爵家で暮らせばよかったって言うの!」
さすがに聞くに堪えなかったリリカは、これまで何不自由なく暮らして来たマリアール侯爵家ではないとすれば、ホーリーの行き先はコロゾ子爵家になるために、怒りに任せて口に出していた。
「そんなこと言ってないわ」
「だったら、これまで育ててもらったのに、どうしてそんなことを言えるの!」
「お母様のせいじゃない!」
「そうよ、だから全部お母様のせいだと言っているでしょう!それなのに、どうして皆にそんなことが言えるの!」
「リリカ、落ち着きなさい。冷静に話そう」
シールドはリリカの気持ちも、ホーリーも好意のあった方に婚約を申し込まれて、熱くなっているのだろうとリリカを落ち着かせることにした。
「そうだ、まず落ち着きなさい。国王陛下に話をしてからであることは変わりない」
「私は絶対に、婚約しますから!」
ホーリーはそう言って、走って部屋に戻ってしまい、皆は大きく溜息をついた。
「申し訳ございませんでした」
リリカは皆に向かって深く頭を下げて、謝罪した。
「いや、好意があって、嬉しかったのだろう。だが、承認がなければ婚約はさせられない」
「駆け落ちなんてしないわよね?」
セイラはホーリーの様子から、最悪の状況を想像してしまった。
「そんなことをしたら、お妾さんになるだけだぞ?」
「それでも聖女の血筋だと、構わないとなるのでは?」
「あちらはもしかしたら、構わないかもしれないが……ホーリーはそれでいいと言うか?」
ホーリーが婚約や結婚にどのような考えを持っているか聞いたことがないために、事実は分からないが、若い娘が妾というのはあまりないことだろう。
「許可が下りなかったら、それでもと言うのかしら……?」
「そもそも、サント王国で幸せになれるのでしょうか?あちらとは聖女という考えが違いますでしょう?」
「そうなんだよな、ホーリーはそんなことも考えていないだろうな……」
まだ17歳であるホーリーは、婚約を申し込まれたことしか頭にないだろう。
「どちらにしろ、陛下にお伺いに行って、話をして来る」
「よろしくお願いいたします」
「お願いいたします」
マイードとセイラは、翌日、ギルクとクリーナに会うことができた。
婚約の話と、マリアール侯爵家で話したことをまず話させてもらうことになった。
「なるほどな……」
「まさか他国から申し込みが来るなんて」
ギルクとクリーナも、困惑した表情にみるみる変わっていった。
「侯爵の考えも理解できる。危惧するのも、私も同意見だ。何を言い出すか分からない。だが、向こうは養子ということが、申し込み易いと思ったのだろうな」
あの状況で認めることはできなかったが、養子ということが違う方向へ作用したのだと感じていた。
「認めて欲しいなどと言って来ることはないのかしら?」
「だが、証明は今もできていないんだ。あちらも血筋を証明する術も持っていないだろう?」
「そうよね……」
マリアール侯爵家でなければ、悪くない縁談ではあったが、ギルクとクリーナも頭を抱えることになった。
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