【完結】聖女の在り方

野村にれ

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神託1

 王宮では聞き取りや、リリカにも取り調べが行われていた。

 神託が下りたのも、僅か四日前であった―――。

 国王も神官長も、実際に経験するのは初めてあったために、本当なのか、いたずらと否定することもできず、半信半疑であった。

 なぜ、神託が下りることが分かったかは、ある手紙が届いたことだった。

 そこには神託が下りると日時、国を揺るがすことになる、セイント教会の祭壇の前に紙を用意し、ギルク国王、クリーナ王妃、リチア公爵、レプラ神官長は集まるようにと書かれていた。

 同様の手紙が、ギルクとレプラにだけ届いた。お互いに確認を取るために、連絡を取り合ったことで、判明したのである。

「信じていいのか?」
「この手紙を早く読まなければならないという気持ちになりませんでしたか?」
「ああ、なったな。神官長もか?」

 ギルクは本日も沢山の手紙があったが、一番に開封を行った。どうしてなのかと問われても、説明はできない。

「私は惹きつけられたのです」
「そういうことなんだな……」

 人知を超えたものというべきだろうと、納得するしかなかった。

「そうだと思います。人払いをして、向き合った方がいいと思います」
「分かった。王妃と宰相に話をする。紙は大きなものがいいだろうか」
「大は小を兼ねると言いますから、大きな物の方がよろしいかもしれませんね」
「探してみよう」

 神託が下りると言われても、どうすればいいかなどは残されておらず、紙のことを考えることくらいしかできなかった。

「はい、よろしくお願いします」
「文献でこのようなことがあったか?」
「夢に現れになる、神の声を聞かせていただくということはありました」
「そうだよな」

 王家の文献にも危機的状況には、神の声が届くことがあると書かれていた。

 だが、それは毎回同じではなく、その都度、違うらしく、当てはまることはない。だが、一つ、聖女が関わっているということが共通点である。

「この手紙は……?」

 手紙は明らかに人が書いた物で、文字から読み取れるのは、文字の美しさから女性ではないかくらいしか分からなかった。

「聖女でしょう」
「そういうことになるよな……」
「はい、神が使いにされたと考えるのが自然だと思います」
「ホーリーか、イリアということか?」

 現在、聖女の血筋はマリアール侯爵家しかいない。

「そう思いますが、マイード様かシールド様ということもあり得ます。神に訊ねるしかないでしょう」
「そうだな」

 先入観は良くない上に、マリアール侯爵家については書かれていないために、話を聞くようなことはするべきではないだろう。

 指定された日時は今夜であったために、レプラは準備のために慌てて帰って行き、クリーナとリチア公爵にも話をすることになった。

「誠ですか?」
「手紙はどこから?」
「王都で出されたこと以外分からない。だが、差出人もないが、きちんと届き、私は一番に開封をするように導かれたように思う。神官長も同様だ」
「そう、そうなのですね……」

 クリーナは驚きを落ち着かせようと、胸に手を置き、何度も頷いた。

「こんなことが起こるとは……信じられません。何があったのかというのは、話すことではありませんね」
「私もそう思う。神に邪推するものではないだろう」
「はい」
「上等な紙が王宮にあるだろうか?」
「探して参ります」
「ああ、失礼のない服装でよろしく頼む」

 クリーナもリチア公爵も、何を言ったらいいのか分からず、動揺を抑えることで精一杯であった。

 そうして、その日の夜、セイント教会で約束の時間に四人は雑談をする余裕もなく、緊張の面持ちで、待ち構えることになった。

 用意した大きな上等な紙は祭壇に置いて、その時を待っていた。

「そろそろ、お時間でございます」

 レプラ神官長がそう言うと、皆は黙ったまま頷き、聖女の像が光り輝き、約束の時間ぴったりに文字が浮かび上がった。

 ―よく来た、揃っておるな

 その瞬間、全員が驚く声をのみ込んだ。

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