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神託6
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リチア公爵はカフェに調査員を話を聞きたいことがあると向かわせて、情報を得てからデリイ王国にエバンジー・ジッソワードを探しに向かわせようと考えていた。
「そういえば、匿名の手紙もありましたね」
「そうでした、あれは誰だったのでしょうか……」
「カルマズ王国のことも、リリカに聞かなくてはなりませんね」
「ああ!これも嘘だったら、調査員には申し訳ないな」
リリカの情報はほとんどなかったが、カルマズ王国のことも匿名の手紙のことも、昨日は頭になかった。
だが、限られた時間であったために、冷静ではなかったこと、エバンジーの居場所が分かって良かったとは思ってはいるが、本来は調べるべきだとすら思っていた。
「心が痛まなかったのかしら」
「リリカを今までのままだと思ってはならないな」
「ええ、本人には心情を汲み取るようなことをする気はありませんわ」
これからリリカに寄り添ってくれる相手がいるかは分からないが、それはギルクとクリーナとリチア公爵ではない。
「神罰が下るということもあるのと考えたが、イリアが聖女なら母親を罰することに関わるというのは、酷な話だものな」
「そうですわね」
ギルクは神が神託を下ろすことになったために、罰を任せた方がいいのかと考えていたが、それは任せるようなものではなかったと反省した。
「神託については、神託が下りたのみとしよう。当然だが、経緯などは伏せる。知っているのは四人だけ、洩らすようなことがないように」
「承知いたしました」
「承知いたしました」
神が指名したのは四人のみであり、分かっていたことだが、改めてクリーナとリチア公爵はしっかりと頷いた。
レプラ神官長は言わずとも分かっている。
そうして、まずはマリアール侯爵家からマイードとシールドに話をし、リリカ、ホーリー、コロゾ子爵夫妻を王宮に連れて来て説明を行ったのである。
疲れ切っていたが、ゆっくり休もうという気持ちにはまだなれなかった。
「本当に不貞行為を行っていたのですね……どこかそれも作られたような物語のような気がしますわ」
「これは現実だ……」
「死ぬよりは戻った方がいいと思ったとはいえ、大事になりましたね」
「出まかせを上手く繋ぎ合わせたのだろうな」
「彼女は小説をよく読んでいたと聞いたことがありましたわ」
図書館に通っていたということからも、読み手ではあったが、上手く繋がるように考えたのだろうと納得した。
「だが、ホーリーを聖女だと思っていたとはな。本来はマリアール侯爵家の血筋ですらないのに」
「神はお怒りだったなんて」
「お怒りではあっただろう?リリカがこのような真似をしなければ、神託を下ろすこともなかったのだから」
「そうですけども」
「カルマズ王国も利用しただけだったな……」
「ええ、調査員が聞いたら、ふざけるなと思うでしょうね」
「ホーリーは本当に知らなかったのですね」
「リリカは誰にも話す気はなかったのではないかしら」
そんな話をして、聞き取りと裏付け、それを受け取り、まとめて、ギルクとクリーナ、リチア公爵は毎日、疲労で気絶するように眠るという毎日となった。
「ベル産院はカルテを探している最中ですが、カフェの方ですが、エバンジー・ジッソワードの報告が上がって来ました」
「どうだった?」
既にデリイ王国に調査員と騎士が確保するために向かっているが、まだエバンジーが見付かったという情報は入っていない。
「確かにエバンジーが、カフェの店員であったことが分かりました。ですが、リリカが逃げる七ヶ月前に辞めていたことが分かりました」
「では、リリカが逃げた日はいなかったと?」
「はい、その通りです」
「足取りはまだ調査中ですが、どのような人間だったかは少し分かりました」
「そういえば、匿名の手紙もありましたね」
「そうでした、あれは誰だったのでしょうか……」
「カルマズ王国のことも、リリカに聞かなくてはなりませんね」
「ああ!これも嘘だったら、調査員には申し訳ないな」
リリカの情報はほとんどなかったが、カルマズ王国のことも匿名の手紙のことも、昨日は頭になかった。
だが、限られた時間であったために、冷静ではなかったこと、エバンジーの居場所が分かって良かったとは思ってはいるが、本来は調べるべきだとすら思っていた。
「心が痛まなかったのかしら」
「リリカを今までのままだと思ってはならないな」
「ええ、本人には心情を汲み取るようなことをする気はありませんわ」
これからリリカに寄り添ってくれる相手がいるかは分からないが、それはギルクとクリーナとリチア公爵ではない。
「神罰が下るということもあるのと考えたが、イリアが聖女なら母親を罰することに関わるというのは、酷な話だものな」
「そうですわね」
ギルクは神が神託を下ろすことになったために、罰を任せた方がいいのかと考えていたが、それは任せるようなものではなかったと反省した。
「神託については、神託が下りたのみとしよう。当然だが、経緯などは伏せる。知っているのは四人だけ、洩らすようなことがないように」
「承知いたしました」
「承知いたしました」
神が指名したのは四人のみであり、分かっていたことだが、改めてクリーナとリチア公爵はしっかりと頷いた。
レプラ神官長は言わずとも分かっている。
そうして、まずはマリアール侯爵家からマイードとシールドに話をし、リリカ、ホーリー、コロゾ子爵夫妻を王宮に連れて来て説明を行ったのである。
疲れ切っていたが、ゆっくり休もうという気持ちにはまだなれなかった。
「本当に不貞行為を行っていたのですね……どこかそれも作られたような物語のような気がしますわ」
「これは現実だ……」
「死ぬよりは戻った方がいいと思ったとはいえ、大事になりましたね」
「出まかせを上手く繋ぎ合わせたのだろうな」
「彼女は小説をよく読んでいたと聞いたことがありましたわ」
図書館に通っていたということからも、読み手ではあったが、上手く繋がるように考えたのだろうと納得した。
「だが、ホーリーを聖女だと思っていたとはな。本来はマリアール侯爵家の血筋ですらないのに」
「神はお怒りだったなんて」
「お怒りではあっただろう?リリカがこのような真似をしなければ、神託を下ろすこともなかったのだから」
「そうですけども」
「カルマズ王国も利用しただけだったな……」
「ええ、調査員が聞いたら、ふざけるなと思うでしょうね」
「ホーリーは本当に知らなかったのですね」
「リリカは誰にも話す気はなかったのではないかしら」
そんな話をして、聞き取りと裏付け、それを受け取り、まとめて、ギルクとクリーナ、リチア公爵は毎日、疲労で気絶するように眠るという毎日となった。
「ベル産院はカルテを探している最中ですが、カフェの方ですが、エバンジー・ジッソワードの報告が上がって来ました」
「どうだった?」
既にデリイ王国に調査員と騎士が確保するために向かっているが、まだエバンジーが見付かったという情報は入っていない。
「確かにエバンジーが、カフェの店員であったことが分かりました。ですが、リリカが逃げる七ヶ月前に辞めていたことが分かりました」
「では、リリカが逃げた日はいなかったと?」
「はい、その通りです」
「足取りはまだ調査中ですが、どのような人間だったかは少し分かりました」
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