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【テイラー】回顧
「どのような反応をするかは分かりませんが、見舞って貰う必要はありません」
「分かった」
「見舞うとも言わないかもしれません」
「そのようなことはないだろう」
「家を出てから訪ねて来ることも、手紙一つもありませんから」
その言葉に会いたいと思うはずがないと、ルーベンスも感じた。
「アイルーンの記憶のせいでしょうか、どこか家族であって家族でないような、婚約も名ばかりのようなものでした……友人に恵まれなかったのは残念でしたが、私もどこか距離があったのかもしれません」
「そうだったのか」
「家族に関して、あちらが家族と思えないとしても、私にも責任があります。ですが、子爵としては容赦なく貴族として、ご判断してください」
ナナリーはその言葉に、エレサーレを見つめた。ここで判断ができるのは彼だけだろう。
「テイラー嬢の言葉はきちんと伝える」
「お願いします」
ラオナが変わっていないのなら、別の者に変えることも考えなくてはならない。
テイラーはエイク子爵家よりも、ナナリーと話している影響か、ふと浮かんだのはマークの顔であった。
「……マーク・ファドットは幸せそうでしたね」
「見た、のね……」
あの夜会で、テイラーがマーク夫妻を見た可能性を聞いていた。ペナルティーの期間は、さすがに過ぎている。
「はい……私はどこかで彼も幸せではなかったらなどと考えていました。性格が悪いですよね」
「そんなことないわ」
「私と同じように不幸だったら、救われるなんて思っていたのですよ」
不幸という言葉に胸痛めたのはディオエル、ライシードたち竜帝国側であった。
同じ番でありながら、殺されたアイルーンと、今でも生きており、妻もいるマーク。あまりに対照的な人生を歩むことになった。
テイラーの言葉に、誰も慰めでも幸福だったとは言えない。
「当然よ!間違っていないわ」
「私は不幸になったのに、幸せそうに笑っていたら、怒りが沸くような気もしていました」
夜会でテイラーは知り合いもいるかもしれないから、視線が合わないようにしていたが、マークだけはどうしても見つけてしまった。
妻はマークの腕を持って、身を寄せていた。夫婦なのだからおかしいことではなかった。だが、見たくはなかった。
向こうはいくら見ても気付くことはなかっただろうが、あまりに自分が惨めに思えて、マークと目を合わせることはできなかった。
「怒っていいわ、あんなギリギリで……」
二人は穏やかで、お似合いであった。なのに、番というものに振り回されて、マークと結婚していたら、その後で番が見付かったかもしれないが、ディオエルと結婚することはなかったかもしれない。
結婚していれば、番だと言っても抵抗する手段はある。
それでも、結局は嫁ぐことになっても、こちらに有利な条件も付けることができたかもしれない。
「本当に許せなかったわ!今思い出しても、腹が立つ!でも」
「お義姉様は、そう言ってくださいましたね。悲しいとも言ってくれました。でも彼だけでも幸せそうで良かったと思うようにしたのです」
一緒に巻き込まれて、不幸になることもあったかもしれない。だったら、良かったのかもしれないと考えた。
「そ、そうなのね。でも悲しかったし、今でも私は許していないわ!」
ナナリーは悲しみも、怒りもあり、それをアイルーンにぶつけてくれ、ディオエルのこともルーベンスとベルサートとは違って、最後まで心配をしてくれた人だった。
「事実だよ、ナナリーは徹底してマークを無視している。アイルーンの友人たちも同じだよ」
言葉を付け加えたのは、ベルサートであった。
ベルサートは必要があれば、マークと話すこともあるが、ナナリーは徹底して、マークとも妻とも話す気はなかった。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
「分かった」
「見舞うとも言わないかもしれません」
「そのようなことはないだろう」
「家を出てから訪ねて来ることも、手紙一つもありませんから」
その言葉に会いたいと思うはずがないと、ルーベンスも感じた。
「アイルーンの記憶のせいでしょうか、どこか家族であって家族でないような、婚約も名ばかりのようなものでした……友人に恵まれなかったのは残念でしたが、私もどこか距離があったのかもしれません」
「そうだったのか」
「家族に関して、あちらが家族と思えないとしても、私にも責任があります。ですが、子爵としては容赦なく貴族として、ご判断してください」
ナナリーはその言葉に、エレサーレを見つめた。ここで判断ができるのは彼だけだろう。
「テイラー嬢の言葉はきちんと伝える」
「お願いします」
ラオナが変わっていないのなら、別の者に変えることも考えなくてはならない。
テイラーはエイク子爵家よりも、ナナリーと話している影響か、ふと浮かんだのはマークの顔であった。
「……マーク・ファドットは幸せそうでしたね」
「見た、のね……」
あの夜会で、テイラーがマーク夫妻を見た可能性を聞いていた。ペナルティーの期間は、さすがに過ぎている。
「はい……私はどこかで彼も幸せではなかったらなどと考えていました。性格が悪いですよね」
「そんなことないわ」
「私と同じように不幸だったら、救われるなんて思っていたのですよ」
不幸という言葉に胸痛めたのはディオエル、ライシードたち竜帝国側であった。
同じ番でありながら、殺されたアイルーンと、今でも生きており、妻もいるマーク。あまりに対照的な人生を歩むことになった。
テイラーの言葉に、誰も慰めでも幸福だったとは言えない。
「当然よ!間違っていないわ」
「私は不幸になったのに、幸せそうに笑っていたら、怒りが沸くような気もしていました」
夜会でテイラーは知り合いもいるかもしれないから、視線が合わないようにしていたが、マークだけはどうしても見つけてしまった。
妻はマークの腕を持って、身を寄せていた。夫婦なのだからおかしいことではなかった。だが、見たくはなかった。
向こうはいくら見ても気付くことはなかっただろうが、あまりに自分が惨めに思えて、マークと目を合わせることはできなかった。
「怒っていいわ、あんなギリギリで……」
二人は穏やかで、お似合いであった。なのに、番というものに振り回されて、マークと結婚していたら、その後で番が見付かったかもしれないが、ディオエルと結婚することはなかったかもしれない。
結婚していれば、番だと言っても抵抗する手段はある。
それでも、結局は嫁ぐことになっても、こちらに有利な条件も付けることができたかもしれない。
「本当に許せなかったわ!今思い出しても、腹が立つ!でも」
「お義姉様は、そう言ってくださいましたね。悲しいとも言ってくれました。でも彼だけでも幸せそうで良かったと思うようにしたのです」
一緒に巻き込まれて、不幸になることもあったかもしれない。だったら、良かったのかもしれないと考えた。
「そ、そうなのね。でも悲しかったし、今でも私は許していないわ!」
ナナリーは悲しみも、怒りもあり、それをアイルーンにぶつけてくれ、ディオエルのこともルーベンスとベルサートとは違って、最後まで心配をしてくれた人だった。
「事実だよ、ナナリーは徹底してマークを無視している。アイルーンの友人たちも同じだよ」
言葉を付け加えたのは、ベルサートであった。
ベルサートは必要があれば、マークと話すこともあるが、ナナリーは徹底して、マークとも妻とも話す気はなかった。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
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