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【テイラー】喪失2
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「平民として裁く点だけは必ず叶えます」
「ですが、それでは……重い罪にならないのではありませんか?」
シュアリアはギリシスが関与していても、重い罰を望んでいた。
「罰はそうですが、番であることも、アイルーン様の記憶も明かさない方法で考えておりましたが、明かしていいのならば、イオリクはもう竜帝国では生きてはいけないと思います」
「番殺し……ということですか」
シュアリアは自分で口にしながら、ゾクリをした。
「はい、イオリクは平民でも、皇帝陛下の番を殺したということになりますから」
「それは……」
「しかも、アイルーン様の生まれ変わりと言ってもいい存在だとしたら」
テイラーは自分がいなくなって、問題になった場合、番が消えたというだけでは足りないなら、アイルーンの記憶を持っていたことを告げて、納得してもらおうと考えたのだろうと、息をのんだ。
「生き地獄だと思います。そもそも、既に公爵家には話をしてありますから、御父上が許すはずがないのです」
「ですが、番には否定的だと」
「番にはそうですが、ディオエルを崇めてらっしゃいます。そのような方の番を、自分の息子が殺したと聞けば、許すはずがありません」
「亡き者にする恐れはないのですか?」
そこまで崇めているのならば、許せない気持ちと、家を守るために亡き者にするのではないかと考えた。
「大丈夫です。ディオエル様が戻るまで、接近禁止にしております。あの家は力もないですし、物理的な力がある者でもありませんから」
「そうですか、それならば良かったです。こちらも監視付きで、覚悟するように話しておりますので」
「はい、葬儀にも参列させないと聞きました」
「当然です。どの面下げて、見送るというのです!」
ライシードは、シュアリアの怒りも当然だと思った。エレサーレも塞ぎ込んでおり、皆がテイラーのこれからの未来を奪ったことを、後悔という言葉では足りないほど、感じているのだと、口にしなくとも分かった。
「その通りですね」
「はい、悼む資格などありません。皆で、静かに、次の人生は記憶があっても、なくても、幸せになって欲しいと、願うことしかできないのです……あの人にはそんな気持ちはないでしょう」
「そうですね……今度は記憶などない方がいいのかもしれませんね。今回は犯人は明らかですから、自分の人生を、自分だけの人生歩んで欲しいと思います」
テイラーにアイルーンの記憶があったのなら、きっと次の人生もあるはずだと、ライシードは心から願うように口にした。
「はい……テイラー嬢だけの人生を歩んで、欲しいですわね」
シュアリアはそう言いながら、涙が堪えられなかった。
エレサーレもその言葉に、そんな未来があればいい。いや、ないとおかしいと思っていた。
デリア侯爵邸では、明日葬儀を行うことを教会に話を付けたルーベンスが、邸に戻ってからエイク子爵へ手紙を書いて、届けさせることにした。
「会いたいと言ったら、どうしますか?」
「夫妻だけなら許可しよう」
夫妻とは何度も会っており、ライシードの話からも、一刻も早く会いたいと言い出す可能性は高いと考えていた。だが、テイラーがどう思うか分からないが、話を聞く限り、ラオナには来て欲しくなかった。
「では、夫妻にだけ知らせて、妹君には明日知らせるように言いましょうか」
「そうだな、そうしてもらえるか」
「はい」
騎士たちに行ってもらうことにし、夫妻だけがそのままやって来るか、返事が来るのを待つことにした。
ルーベンスが再び、テイラーの眠る部屋にいると、エイク子爵夫妻がやって来たという。だが、すぐにここへ通すことはしたくなかった。
まずは話を聞いてからにしようと考えて、応接室で話すことにした。
「ですが、それでは……重い罪にならないのではありませんか?」
シュアリアはギリシスが関与していても、重い罰を望んでいた。
「罰はそうですが、番であることも、アイルーン様の記憶も明かさない方法で考えておりましたが、明かしていいのならば、イオリクはもう竜帝国では生きてはいけないと思います」
「番殺し……ということですか」
シュアリアは自分で口にしながら、ゾクリをした。
「はい、イオリクは平民でも、皇帝陛下の番を殺したということになりますから」
「それは……」
「しかも、アイルーン様の生まれ変わりと言ってもいい存在だとしたら」
テイラーは自分がいなくなって、問題になった場合、番が消えたというだけでは足りないなら、アイルーンの記憶を持っていたことを告げて、納得してもらおうと考えたのだろうと、息をのんだ。
「生き地獄だと思います。そもそも、既に公爵家には話をしてありますから、御父上が許すはずがないのです」
「ですが、番には否定的だと」
「番にはそうですが、ディオエルを崇めてらっしゃいます。そのような方の番を、自分の息子が殺したと聞けば、許すはずがありません」
「亡き者にする恐れはないのですか?」
そこまで崇めているのならば、許せない気持ちと、家を守るために亡き者にするのではないかと考えた。
「大丈夫です。ディオエル様が戻るまで、接近禁止にしております。あの家は力もないですし、物理的な力がある者でもありませんから」
「そうですか、それならば良かったです。こちらも監視付きで、覚悟するように話しておりますので」
「はい、葬儀にも参列させないと聞きました」
「当然です。どの面下げて、見送るというのです!」
ライシードは、シュアリアの怒りも当然だと思った。エレサーレも塞ぎ込んでおり、皆がテイラーのこれからの未来を奪ったことを、後悔という言葉では足りないほど、感じているのだと、口にしなくとも分かった。
「その通りですね」
「はい、悼む資格などありません。皆で、静かに、次の人生は記憶があっても、なくても、幸せになって欲しいと、願うことしかできないのです……あの人にはそんな気持ちはないでしょう」
「そうですね……今度は記憶などない方がいいのかもしれませんね。今回は犯人は明らかですから、自分の人生を、自分だけの人生歩んで欲しいと思います」
テイラーにアイルーンの記憶があったのなら、きっと次の人生もあるはずだと、ライシードは心から願うように口にした。
「はい……テイラー嬢だけの人生を歩んで、欲しいですわね」
シュアリアはそう言いながら、涙が堪えられなかった。
エレサーレもその言葉に、そんな未来があればいい。いや、ないとおかしいと思っていた。
デリア侯爵邸では、明日葬儀を行うことを教会に話を付けたルーベンスが、邸に戻ってからエイク子爵へ手紙を書いて、届けさせることにした。
「会いたいと言ったら、どうしますか?」
「夫妻だけなら許可しよう」
夫妻とは何度も会っており、ライシードの話からも、一刻も早く会いたいと言い出す可能性は高いと考えていた。だが、テイラーがどう思うか分からないが、話を聞く限り、ラオナには来て欲しくなかった。
「では、夫妻にだけ知らせて、妹君には明日知らせるように言いましょうか」
「そうだな、そうしてもらえるか」
「はい」
騎士たちに行ってもらうことにし、夫妻だけがそのままやって来るか、返事が来るのを待つことにした。
ルーベンスが再び、テイラーの眠る部屋にいると、エイク子爵夫妻がやって来たという。だが、すぐにここへ通すことはしたくなかった。
まずは話を聞いてからにしようと考えて、応接室で話すことにした。
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