【完結】私は運命なのですか

野村にれ

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めでたしめでたし

「若奥様、もう少し考えてはいかがですか」
「どうして?」
「奥様に相談しましょう」
「そう?」

 公爵家ともあって変なドレスを進めて来ることはないのだが、それでも露出が多かったり、派手な色だったりしてもロミはすんなりと受け入れてしまう。

 だが、ドレスが届いて、エドワースも義母もこれは着ない方がいいと却下されてしまう。

 付いていたメイドも元よりそのようなドレスを好んでいるとも思えないために、ロミには似合わないのではないかと口を挟むようになっていった。

 多くのデザインが載っているカタログを見せて、自分で好みのドレスを選んでもらおうにも、おすすめはどれかしらと聞き始めてしまい、義母かエドワースがデザイナーに頼むようになった。

 ロミに自分の好きなドレスやアクセサリーや靴を選んでいいと言っても、不思議そうな顔をする。

「選んでおります」
「勧められた物でなくてもいいのだよ?」
「そうよ。あなたの好みで選んでいいのよ」

 義母も始めに自分がこれが似合うと色々選んでしまったことで、遠慮させているのだと責任を感じていた。

「はい、分かりました」

 返事はするのだが、些細な物でもロミは自分で選ぼうとはしなかった。

 ロミに何度も言っても不思議そうな顔をするだけで、改善されないことから、今までベルブルー伯爵家ではドレスを筆頭に、選べなかったのではないか。些細なことなのだから、無理強いするものではないとした。

 エドワースとロミの間には、結婚の翌年に男の子が生まれ、その後に女の子も一人生まれた。

 フォード、ミズリーと名付けられ、四人家族となり、二人の良いところを引き継いだ二人も可愛らしいと有名であった。

 子どもたちもロミと過ごす方が多いために、母を大好きで、エドワースは仲良くしている三人の姿を見るのが大好きだった。

「おかあさま、だいすき」
「おかあさま、だいすき」
「まあまあ、お母様もフォードとミズリーが大好きよ」

 その幸せは続くと思われたが、長くは続かなかった。ある朝、ロミが急死した。

 一緒に寝ていたエドワースは朝、いつもなら先に起きているロミが眠っており、触れると冷たくなって驚愕した。

「ロミ、ロミ、ロミ!」

 エドワースの悲痛な叫び声に、ジストがやって来て、ロミの死はエレット公爵家中に伝わった。

「何で事だ……」
「どうして……」

 両親は絶句して、立ち尽くしていた。

「義姉上……」
「お義姉様……」

 デイルースと結婚した妻も同様に、立ち尽くして動けない様子であった。

「おかあさま」
「おかあさま?」

 フォードとミズリーは最初は理解ができない様子だったが、死は理解しているために、ロミに縋りついて泣き喚いた。

 侍医を呼ぶと、酷く苦しんだ様子もないので、心臓か頭でしょうと言われて、しめやかに葬儀が行われたが、ロミはまだ33歳であった。

 当時フォードは12歳、ミズリーは9歳で、幼子ではないが、優しい母の急死に子どもたちも悲しみに暮れた。

 ベルブルー伯爵家も父親とマシューは平然とした顔をしていたが、母と姉妹たちも早すぎる娘と妹と姉の死を嘆いた。それでもロミは結婚して幸せな人生だったという気持ちは皆、同じだった。

 エドワースにとってロミは運命であったために、再婚を勧められることはなかったが、ロミがいなくなったことで、エレット公爵家に影を落とした。

 それでも生きていかなくてはならない、三人はロミを思いながら生き、四人の伯母と叔母も代わりにはなれないけどと子どもたちのことを気に掛け続けた。

 ロミのことは目立たない伯爵家の令嬢だったが、うだつが上がらない恋人がいたが、公爵令息に運命だと見初められ、あまりに早くに天に召されてしまったが、その日まで幸せに暮らしました。めでたしめでたし。

 だがこれは表向きの話でしかなかった―――。

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