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距離感
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数ヶ月が経ち、シルヴァルはキャローズのところへ通っていたが、やはりチェルシーが邸に住まないのならと、キャローズをフォスト侯爵邸に呼ぶことにした。
「でも、いいの?」
「ああ、チェルシー殿がきちんと仕事はしてくれているからな」
「受けてくれて良かったわね」
「ローズも側にいる方が、私たちには何もないと分かって、安心だろう?」
「ありがとう、本当は少し不安だったの」
キャローズはシルヴァルの優しさに、分かっていたことだったが、シルヴァルが結婚して不安になっていた心が温まるような思いであった。
「チェルシー殿はほとんどいないから、君が来ても問題はないだろう」
「そうなの?嬉しいけど、いいのかしら」
「ああ、心配しなくていい」
ついにフォスト侯爵邸に、キャローズが住むことになった。シルヴァルは嬉しくて、昨夜はあまり眠れなかった。
キャローズとは、学園の先輩後輩であった。
話をする機会があり、可愛いとは思っていたが、彼女が別の男性と親しく話しているのを見て、自分の気持ちに気付いた。
だが、準男爵の娘だということは知っていたために、婚約はおろか、結婚することも難しいことは分かっていた。
それでも、彼女と結婚したいと思うようになった。
両親にも話したが、頭ごなしに怒鳴り散らされることはなかったが、難しいこともキャローズも辛い思いをするということを説明された。
『侯爵邸に準男爵の娘が妻など、嘲笑われることになるのだぞ?』
『彼女も苦労することになるのわ、高位貴族の格好の餌食だわ』
『何か特別なギフトでも持っているのか?正直、それでも見下される可能性が高い。シルヴァルはそんな思いをして欲しいか?』
そう言われると何も言えなくなったが、諦めたくなかった。
それで思い付いたのが、お飾りの妻など相手を無視したことではなく、契約結婚ならばと思っていた。
だが侯爵家に見合った相手でなくてはならない。なかなか見付からなかったが、チェルシーの夫が亡くなったことを知った。
だが、すぐさま持ち掛けるような真似はしなかった。
喪が明けるのを待ち、社交場に現れるようになってからと思っていたが、周りのチェルシーへの言葉を聞いて、慌てて動いたのである。
契約結婚は想像していた形にはならなかったが、それでもキャローズと早く一緒に住めるようになったとポジティブに考えることにした。
「私の愛するキャローズだ。これからよろしく頼む。両親にも話をしてあるから、今日からこちらに住まわせる」
「キャローズです、どうぞよろしくお願いいたします」
シルヴァルはまだ返事はなかったが、両親にチェルシーがペットを飼っているので、邸に通いになったため、キャローズをフォスト侯爵邸に住まわせるという手紙を送っていた。
チェルシーのいる時に、シルヴァルはキャローズと共に挨拶に向かったが、侍女によって入れても貰えなかった。
「業務中ですから、業務に関わることではないのなら控えて欲しいとのことです」
「いや、挨拶くらい」
「既に会ったことはあるので、必要ないことです」
「だが」
「チェルシー様はキャローズ・パット様とは関わらないと聞いております。立場上、距離を保った方がよろしいのではありませんか?」
「それは、そうだが…」
キャローズはえ?という顔をしており、シルヴァルは引き下がるしかなかった。
「関わらないってどういうことなの?」
キャローズはチェルシーが、礼儀作法を教えてくれるのだと思っていた。
「そういう条件なんだ、タダで教育係をさせられると思ったのだろう」
「でも…」
「ローズには家庭教師をちゃんと付けるから、心配しなくていい。きっと母上が用意してくださる」
「そ、そうなのね」
キャローズはチェルシーに要らないと言っていたはずのドレスや宝石、上質な広い部屋を貰っていた。
「でも、いいの?」
「ああ、チェルシー殿がきちんと仕事はしてくれているからな」
「受けてくれて良かったわね」
「ローズも側にいる方が、私たちには何もないと分かって、安心だろう?」
「ありがとう、本当は少し不安だったの」
キャローズはシルヴァルの優しさに、分かっていたことだったが、シルヴァルが結婚して不安になっていた心が温まるような思いであった。
「チェルシー殿はほとんどいないから、君が来ても問題はないだろう」
「そうなの?嬉しいけど、いいのかしら」
「ああ、心配しなくていい」
ついにフォスト侯爵邸に、キャローズが住むことになった。シルヴァルは嬉しくて、昨夜はあまり眠れなかった。
キャローズとは、学園の先輩後輩であった。
話をする機会があり、可愛いとは思っていたが、彼女が別の男性と親しく話しているのを見て、自分の気持ちに気付いた。
だが、準男爵の娘だということは知っていたために、婚約はおろか、結婚することも難しいことは分かっていた。
それでも、彼女と結婚したいと思うようになった。
両親にも話したが、頭ごなしに怒鳴り散らされることはなかったが、難しいこともキャローズも辛い思いをするということを説明された。
『侯爵邸に準男爵の娘が妻など、嘲笑われることになるのだぞ?』
『彼女も苦労することになるのわ、高位貴族の格好の餌食だわ』
『何か特別なギフトでも持っているのか?正直、それでも見下される可能性が高い。シルヴァルはそんな思いをして欲しいか?』
そう言われると何も言えなくなったが、諦めたくなかった。
それで思い付いたのが、お飾りの妻など相手を無視したことではなく、契約結婚ならばと思っていた。
だが侯爵家に見合った相手でなくてはならない。なかなか見付からなかったが、チェルシーの夫が亡くなったことを知った。
だが、すぐさま持ち掛けるような真似はしなかった。
喪が明けるのを待ち、社交場に現れるようになってからと思っていたが、周りのチェルシーへの言葉を聞いて、慌てて動いたのである。
契約結婚は想像していた形にはならなかったが、それでもキャローズと早く一緒に住めるようになったとポジティブに考えることにした。
「私の愛するキャローズだ。これからよろしく頼む。両親にも話をしてあるから、今日からこちらに住まわせる」
「キャローズです、どうぞよろしくお願いいたします」
シルヴァルはまだ返事はなかったが、両親にチェルシーがペットを飼っているので、邸に通いになったため、キャローズをフォスト侯爵邸に住まわせるという手紙を送っていた。
チェルシーのいる時に、シルヴァルはキャローズと共に挨拶に向かったが、侍女によって入れても貰えなかった。
「業務中ですから、業務に関わることではないのなら控えて欲しいとのことです」
「いや、挨拶くらい」
「既に会ったことはあるので、必要ないことです」
「だが」
「チェルシー様はキャローズ・パット様とは関わらないと聞いております。立場上、距離を保った方がよろしいのではありませんか?」
「それは、そうだが…」
キャローズはえ?という顔をしており、シルヴァルは引き下がるしかなかった。
「関わらないってどういうことなの?」
キャローズはチェルシーが、礼儀作法を教えてくれるのだと思っていた。
「そういう条件なんだ、タダで教育係をさせられると思ったのだろう」
「でも…」
「ローズには家庭教師をちゃんと付けるから、心配しなくていい。きっと母上が用意してくださる」
「そ、そうなのね」
キャローズはチェルシーに要らないと言っていたはずのドレスや宝石、上質な広い部屋を貰っていた。
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