【完結】永遠の愛にはイロドリを

野村にれ

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オポチュニティ

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「女性向けを作った方がいいかしら?」
「そうですね…とは言っても、売れるかは、難しいところですね」
「売れないと意味がないわ」

 チェルシーは今はお金にすることも目的であり、売れない物を出す状況ではない。

「ですが、前の作品も女性も買って行かれる方もいたのです」
「言っていたわね」

 チェルシーも、女性にも買って貰えたことは嬉しかった。

「確かに多くは男性でしたが、女性も美しいからと買って行かれたようです」
「売れるなら描いてみてもいいけど…例えば、女性向けとなると、どんなものがいいかしら?」

 チェルシーには管轄外であり、どのような作品が好まれるのか分からない。

「万人の女性となると、やはり美しさや可愛らしさ、アクセサリーやドレスになりますかね?」
「そういった部分ね…でもそういった物は書かれている方がいるでしょう?」
「はい、そうなんですよね」

 チェルシーとは作風が違うが、女性をターゲットに絵を描いている方が既におり、売れている。チェルシーの技量があれば、全く売れないということはないだろうが、多く売れるとは言い切れない。

「実家に行ったときに、妹に捕まったの」
「それはそれは」
「最近のカタログを一応、貰って来たの」

 チェルシーの二つ年下の妹である、メイジー・トートレイは、デザイナーをしており、才能はあるのだが、こちらも変人である。

「今日持って来た物も、イメージに合わせて、少しは流行りを取り入れてみたのだけど、女性向きではないと思うわ」
「男性はそういったところは、少しで構わないと思います。分かり易いのが、男性は好きですから」

 絵の女性たちは今流行りというよりは、男性の好む衣装を着ている。

「やっぱりそうよね…でも、追々で考えてはみるわ」

 これまで男性しかターゲットにしてなかったために、上手く描けるかどうか分からないために、持ち帰って考えることにした。

「そうですね、まずはこちらを売りましょう!名前は、どうしますか?」
「今回はとりあえずダイヤ、ルビー、サファイヤ、エメラルド、パールにしようかと思って、裏に名前を書いてあるわ」

 これまでは描いた花などの名前を付けており、今回は宝石にすることにした。

「ようございますね」
「あと、二人は増えますから」
「はい、分かっております。それ以降も、増える可能性もあるのですか?」
「人気が出れば、出してもいいし、売れなければ路線を変えてもいいわ!前のシリーズの女性たちを出してもいいですしね」
「それも売れそうですね、ふふふ。チェルシー様の三年振りの新作など、絶対に売れますよ!」

 既にベイクの頭には、売れる想像しか出来なかった。

「そうだと良いのだけど」
「売って見せますとも!名前は以前のままでよろしいですか?」
「ええ」
「ですが、無理のない程度で、お願いしますね!ルイ様にもそう申し付けられております」
「ええ、でも私も久し振りだから楽しくなってしまって、描けたら持って参りますので、よろしくお願いいたしますわ」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」

 チェルシーとベイクは前と同じように契約を交わして、しっかり握手を交わした。

「売りましょう」
「オーブンのために!」
「はい!」

 オーブンの費用はとりあえず、チェルシーが払うことにしたが、その分を取り戻さなくてはならない。

 そして、チェルシーはフォスト侯爵邸の仕事以外の時間で絵を描き、ベイクは着々と準備を進め、まずは第一弾の復帰作が発売となった。

 発売されたと聞いたルイが、ベイクの元へお忍びでやって来た。

「売れているか?」
「ルイ様」
「はい、嬉しい悲鳴を上げております」
「そうか、私にも全部くれるか?」
「ええ、勿論でございます」

 以前の作品もだが、ルイは全てチェルシーの作品を持っている。
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