【完結】あの子の代わり

野村にれ

文字の大きさ
27 / 73

男好きのお花畑の妹

 キャリーヌを調べると、一緒にいた男性は誰なのかは、すぐに分かった。

 オーバス前侯爵の年の離れた愛人の息子。来るもの拒まずで、愛人とさえも言えない女性や、隠し子もいると言われているアデュエルであった。

 現在24歳で、美しい母に似て見目が良いので、皆コロッと行為を抱いてしまうが、前侯爵は亡くなっており、オーバス侯爵家とは邸とお金を貰って、関わりがないわけではないが、籍は外れている。

 現在は母親の生家である男爵家の籍に入っている、とは言っても男爵家の嫡男ですらない。だがお金には困ってはいないので、ふわふわと遊び回っている。

「父上の指示ではないのですよね?」
「違う」

 ルイフォードは遠ざけるために、イサードがキャリーヌに男を宛がったのかと思ったが、そうではなかった。

「やるなら、もっと酷い相手を仕向けるさ」
「確かに。あの男は詐欺師ではないですから」

 引っ掻けて、傷付けてやろう、お金を貢がせてやろうなどと考えるのではなく、ただ面白ければいいという性格をしている。

「では勝手に引っ掛かったというわけですね」
「そのようだな。引き続き、何かあったら知らせるようにしておこう」

 その後も、キャリーヌはアデュエルに夢中の様で、ソアリ伯爵からお金の催促はあったが、マリクワン侯爵家に来るようなことも一切なくなった。

 今までキャリーヌはいくら男性に擦り寄っても、相手にして貰えることがなかったので、初めての相手も浮かれ切っていたのである。

 しかも、アデュエルが言ったとは思えないが、自分は侯爵家に嫁ぐことになっていると話しており、それがオーバス侯爵家なのか、マリクワン侯爵家とも取れるような言い方であった。

 だが、マリクワン侯爵家にはベルアンジュが嫁いでいることは、二人は姿は現さないが、その代わりにイサードとマイルダが、ベルアンジュの話を夜会でしているので、高位貴族には周知されている。

 周りには愚かなキャリーヌは縁を切られているのに、アデュエルに本気になって、オーバス侯爵家に嫁げると信じているのだろうと思われていた。

「結婚しようとでも思っているのでしょうか」
「アデュエルも、弁えてはいるはずだからな。あの妹は思い込む質だから、勝手に思っているかもしれないな」
「確かに…」
「バスチャン伯爵家に、さらに借金をしているようだ」
「え?」
「薬代が上がったとか言って、キャリーヌが要求したんだろうな」

 アデュエルはお金に困ってはいないが、貢がせたいわけでもなければ、貢いでくれるわけでもない。マリクワン侯爵家としては、迷惑を掛けて来ないのであれば、放って置けばいいということになった。

「愚かですね…」
「どうせ、あの家族は潰れるんだ」

 爵位を返上するか、別の者に代わるか、とは言っても嫡男の兄ではない。父親と同じことしかしようとしない。

「アデュエルはこのまま引き付けていてくれるなら、助けてやってもいい」
「そうですね」

 ルイフォードは正直、関わって来なくなってアデュエルに感謝すらしていた。

 アデュエルにとって、沢山いる中の一人ではあったが、キャリーヌは特別だと思っており、両親にお友達と遊びに行くと言って、お金を強請っていた。

 両親は子どもが出来れば、キャリーヌが嫁いで、マリクワン侯爵家のお金が自由になると思っているので、バスチャン伯爵家に借金をしていた。

 バスチャン伯爵家もラオルス公爵家と、縁者になれるということで、気が大きくなっており、仕方ないと貸していた。

 ベルーナはとても難しいが頑張っていると、手紙を送っており、話を合わせるためにもラオルス公爵家にも連絡を行っていた。

 まさかどちらも切れてしまう縁だとは、気付いていない。

 マリクワン侯爵家は、穏やかな日々が続いていた。だがある日、ベルアンジュは歩いていただけなのに、急に足元がふらついて、体勢を崩してしまった。

あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した

基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。 その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。 王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

私はあなたの正妻にはなりません。どうぞ愛する人とお幸せに。

火野村志紀
恋愛
王家の血を引くラクール公爵家。両家の取り決めにより、男爵令嬢のアリシアは、ラクール公爵子息のダミアンと婚約した。 しかし、この国では一夫多妻制が認められている。ある伯爵令嬢に一目惚れしたダミアンは、彼女とも結婚すると言い出した。公爵の忠告に聞く耳を持たず、ダミアンは伯爵令嬢を正妻として迎える。そしてアリシアは、側室という扱いを受けることになった。 数年後、公爵が病で亡くなり、生前書き残していた遺言書が開封された。そこに書かれていたのは、ダミアンにとって信じられない内容だった。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。

愛は全てを解決しない

火野村志紀
恋愛
デセルバート男爵セザールは当主として重圧から逃れるために、愛する女性の手を取った。妻子や多くの使用人を残して。 それから十年後、セザールは自国に戻ってきた。高い地位に就いた彼は罪滅ぼしのため、妻子たちを援助しようと思ったのだ。 しかしデセルバート家は既に没落していた。 ※なろう様にも投稿中。