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誕生1
ソアリ伯爵家が金策に走り回る中、数か月が経ち、マリクワン侯爵家にベルアンジュが亡くなってから、初めての喜ばしい知らせが届けられた。
「ベルーナが無事、出産したそうです。子どもも無事だと…」
「そうか、良かったな。性別は?」
「いや、そういえば、無事に生まれという知らせだけでした」
ルイフォードはそこまで考えていなかった。むしろ、ベルアンジュに似ているのだろうかと、考えてしまったくらいである。
「母子共に無事なら、いいじゃない。あなたとルイフォードは、会いに行って来たら?」
マリクワン侯爵家にやってく来るのは、最低でも生後半年になってからと言われている。会いたいのならば、こちらから会いに行くしかない。
「そうだな、私は手続きに行かなければならないから、ルイフォードはどうする?」
「そうですね、会いに行きましょう」
イサードとマイルダは、その言葉にホッとした。ベルアンジュが亡くなってから、話はするが、やはり喪失感は誰にも埋められなかった。
子どもに埋めさせようというわけではなかったが、残された希望は子どもだけであった。
「こちらはパウラ様もいますから、心配しないでください」
パウラは現在、両親の邸に住んでいるので、すぐに来てもらうことが出来る。
そして、イサードとルイフォードは旅立ち、子どもに会うことになった。ベルーナは出産は病院で行ったが、現在は邸に戻っており、リンダとオーカスが出迎えた。
「ベルアンジュ様のことは、残念でなりません」「心からお悔やみ申し上げます」
「ああ…」
二人は深く頭を下げた。
「リランダ医師から、解剖を希望されたと聞きました」
リンダはリランダ医師と、連絡を取り合っていた。
「はい、ベルアンジュの望みでしたから。NN病のために、役に立ちたいと…」
「頭が下がります」
「私も誇りに思います」
「ベルーナのところへご案内します」
ルイフォードとイサードは、小さく頷いた。
そして、案内された部屋に入ると、ベルーナと乳母が変わらずおり、娘・メイアンも側で眠っていた。
「ルイフォード様、ベルアンジュは、ベルアンジュは、どんな様子で…」
「ああ、ゆっくり、穏やかに、彼女らしく、亡くなったよ…」
「そ、そうですか…」
ベルーナはその言葉にポロポロと涙を零した。
「優しい彼女だから、どこまで本心かは分からないが、幸せだったと言ってくれた」
「きっと本心です、嘘を言うような子ではないですから」
「そうだといいのだがな」
「足止めして、ごめんなさい。あなたたちの子どもの顔を見てあげてください」
リンダがこちらですと、ベビーベットに案内すると、一つのベットに、二人の子どもが並んで寝かされていた。
「え?」
「双子なのか?」
ルイフォードはどういうことなのか理解が出来ず、イサードはただ驚いた。
「黙っており、申し訳ございませんでした。二卵性の双子だったのです。ですが、知らせると余計な心配をさせること、正直なところ、どうなるか分からないところもありました」
「申し訳ありません!私が言い出したことなのです。ベルアンジュのことだけを考えて欲しくて、私のことで気を揉ませたくなかったです」
双子だということは途中で分かったが、知らせることはしなかった。唯一、リランダ医師には伝えていたが、リランダ医師も伝えることはしなかった。
「いや、それは構わないが、大丈夫だったのか?」
「はい、おかげさまで、お腹が重かった以外は問題なく過ごさせていただきました」
双子ということで、お腹は娘の時とは比べようもないほどに大きくなった。
出産は勿論、楽だったとは言えなかったが、メイアンの時よりも、スムーズで早かったことは事実であった。
「男の子か?」
「はい、二人とも男の子です」
二人はすやすや眠る顔を見つめ、どこかベルアンジュに似ているような気がして、小さな命に感動していた。
「ベルーナが無事、出産したそうです。子どもも無事だと…」
「そうか、良かったな。性別は?」
「いや、そういえば、無事に生まれという知らせだけでした」
ルイフォードはそこまで考えていなかった。むしろ、ベルアンジュに似ているのだろうかと、考えてしまったくらいである。
「母子共に無事なら、いいじゃない。あなたとルイフォードは、会いに行って来たら?」
マリクワン侯爵家にやってく来るのは、最低でも生後半年になってからと言われている。会いたいのならば、こちらから会いに行くしかない。
「そうだな、私は手続きに行かなければならないから、ルイフォードはどうする?」
「そうですね、会いに行きましょう」
イサードとマイルダは、その言葉にホッとした。ベルアンジュが亡くなってから、話はするが、やはり喪失感は誰にも埋められなかった。
子どもに埋めさせようというわけではなかったが、残された希望は子どもだけであった。
「こちらはパウラ様もいますから、心配しないでください」
パウラは現在、両親の邸に住んでいるので、すぐに来てもらうことが出来る。
そして、イサードとルイフォードは旅立ち、子どもに会うことになった。ベルーナは出産は病院で行ったが、現在は邸に戻っており、リンダとオーカスが出迎えた。
「ベルアンジュ様のことは、残念でなりません」「心からお悔やみ申し上げます」
「ああ…」
二人は深く頭を下げた。
「リランダ医師から、解剖を希望されたと聞きました」
リンダはリランダ医師と、連絡を取り合っていた。
「はい、ベルアンジュの望みでしたから。NN病のために、役に立ちたいと…」
「頭が下がります」
「私も誇りに思います」
「ベルーナのところへご案内します」
ルイフォードとイサードは、小さく頷いた。
そして、案内された部屋に入ると、ベルーナと乳母が変わらずおり、娘・メイアンも側で眠っていた。
「ルイフォード様、ベルアンジュは、ベルアンジュは、どんな様子で…」
「ああ、ゆっくり、穏やかに、彼女らしく、亡くなったよ…」
「そ、そうですか…」
ベルーナはその言葉にポロポロと涙を零した。
「優しい彼女だから、どこまで本心かは分からないが、幸せだったと言ってくれた」
「きっと本心です、嘘を言うような子ではないですから」
「そうだといいのだがな」
「足止めして、ごめんなさい。あなたたちの子どもの顔を見てあげてください」
リンダがこちらですと、ベビーベットに案内すると、一つのベットに、二人の子どもが並んで寝かされていた。
「え?」
「双子なのか?」
ルイフォードはどういうことなのか理解が出来ず、イサードはただ驚いた。
「黙っており、申し訳ございませんでした。二卵性の双子だったのです。ですが、知らせると余計な心配をさせること、正直なところ、どうなるか分からないところもありました」
「申し訳ありません!私が言い出したことなのです。ベルアンジュのことだけを考えて欲しくて、私のことで気を揉ませたくなかったです」
双子だということは途中で分かったが、知らせることはしなかった。唯一、リランダ医師には伝えていたが、リランダ医師も伝えることはしなかった。
「いや、それは構わないが、大丈夫だったのか?」
「はい、おかげさまで、お腹が重かった以外は問題なく過ごさせていただきました」
双子ということで、お腹は娘の時とは比べようもないほどに大きくなった。
出産は勿論、楽だったとは言えなかったが、メイアンの時よりも、スムーズで早かったことは事実であった。
「男の子か?」
「はい、二人とも男の子です」
二人はすやすや眠る顔を見つめ、どこかベルアンジュに似ているような気がして、小さな命に感動していた。
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