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第10話
彼女の使命5
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「危なかった!」
「ええ、心配しなくとも、知らぬ者には知らすことが出来ませんし、利用する強さを持つ者には会ったこともないので、明かすリスクはそこまで高くないのです。ただ私に底知れない恐怖を持ちますからね」
「先程の光か」
「ええ、記載された本があるのですが、そちらを開いた者も同様になります。王家とコルロンド家にございます」
「殿下もご存知だったのだな」
「ええ、知らされたのは王太子になってからですがね。知ってから会った時は、酷く緊張されておりましたよ、ふふふ」
「こそこそ会っていたのはそのせいか」
「ご存知だったのですか」
「君の香りがして追い掛けたことがある」
セナリアンは香水は付けていないのだが、髪の手入れは同じ香りのものでしているために、マージナルは王宮でその香りで、リスルート殿下といるところを見掛けた瞬間に扉が閉まってしまったのだ。
いくら引っ張っても扉は開かず、しかも出て来たのはリスルートだけで、何やってるんだという顔で見られたのだ。そりゃそうだ、セナリアンはこっそりやって来て、転移で帰ったのだ。
「まあ、犬ですの?」
「でも何も聞こえないし、ドアも開かないし」
「何してるんですか、ドアは殿下が閉めただけでしょうけど」
「別に二人の仲を疑っていたわけじゃないぞ」
「当たり前でしょう!人様のものに手を出す嗜好は持っておりません。そもそも、あなたのせいで、王女をどう帰すか相談した時ではないの?」
リスルート殿下と王宮を歩いたと言えば、あの呼び出された時くらいしかない。
「それは、すまない。じゃあ、これからは一緒に話せるのか」
「いや、必要ないでしょう、あなたは王族ではないわ」
「うう!じゃあ、こそこそ男と会うのか」
「そういうこともあるでしょうね。陛下とは大抵こそこそ会っておりますし」
「陛下は仕方ないとしても、魅力的な男だったらどうする」
「どうしましょうね」
「嫌だ嫌だ!取られてしまうではないか」
≪子どもか?おい、お前、今から私は妊娠したと言うのだぞ?≫
「こそこそ裏切りはしませんよ、好いた方が出来たら潔く報告しますわ」
「嫌だ嫌だ、私のだ」
「私には勝てませんゆえ諦めてください」
気付くとぼろぼろと泣いていて、ぎょっとした。情緒不安定過ぎないか?いくら完全左右対称の綺麗な顔と言われる者の涙でも、全く良いものではないぞ。やっぱり、おかしいのではないか?
「はあ…あと、子どもが出来たのです。あなたの子ですよ。なので、明かしておこうかと思いまして」
「へ?本当に?」
「ええ、性別も分かっておりますが」
「…嬉しい、嬉しい、これでセナと家族になれる…ううう、好きだ、愛してる、可愛い、天使だ」
何やら意味不明な言葉も聞こえたが、丸っと無視したセナリアン。
「はあ、まあ、そういう訳なので」
大きな体でセナ~っと泣きながら抱き付こうとするが、軽く跳ねのけられた。
「抱きつかなくてよろしい。今日の本邸での夕食の後にご両親とアローラにも話しますから、しっかりしてくださいね。使えない夫は要りませんからね?」
「任せろ!」
≪やっぱり子どもなのか?勇ましく、胸を叩くんじゃない!≫
「はあ、あとは今後はこちらに仲間の魔術師も出入りさせることもあるかと思います。いずれ紹介しますので」
「侍女として連れて来た方かい?」
「ええ、彼女もそうです。あと別邸の方は、ご両親とアローラの後に、執事とメイド長にだけは明かしておきましょうかね」
「うん、それがいいと思う!二人は信頼できるよ!」
≪本当に大丈夫か?とびきりの笑顔で親指を立てるんじゃない!≫
「あとはポート(出入りを制限した転移魔術陣)を作りたいんです」
「ポートを作る?」
「ええ、私は必要ないですけど、行き来するのに、魔力が多く要りますからね。ルージエとコルロンドには普通にありますよ?」
「あああ!だからルージエ家に見送りに行った時に、いなかったんだね」
「いえ、普通に転移して戻っただけですけど?」
「ああ、そうだった。できちゃうんだね」
「はい、できちゃいます。菓子なんぞ食べる時間もなく、帰れます」
「ええ、心配しなくとも、知らぬ者には知らすことが出来ませんし、利用する強さを持つ者には会ったこともないので、明かすリスクはそこまで高くないのです。ただ私に底知れない恐怖を持ちますからね」
「先程の光か」
「ええ、記載された本があるのですが、そちらを開いた者も同様になります。王家とコルロンド家にございます」
「殿下もご存知だったのだな」
「ええ、知らされたのは王太子になってからですがね。知ってから会った時は、酷く緊張されておりましたよ、ふふふ」
「こそこそ会っていたのはそのせいか」
「ご存知だったのですか」
「君の香りがして追い掛けたことがある」
セナリアンは香水は付けていないのだが、髪の手入れは同じ香りのものでしているために、マージナルは王宮でその香りで、リスルート殿下といるところを見掛けた瞬間に扉が閉まってしまったのだ。
いくら引っ張っても扉は開かず、しかも出て来たのはリスルートだけで、何やってるんだという顔で見られたのだ。そりゃそうだ、セナリアンはこっそりやって来て、転移で帰ったのだ。
「まあ、犬ですの?」
「でも何も聞こえないし、ドアも開かないし」
「何してるんですか、ドアは殿下が閉めただけでしょうけど」
「別に二人の仲を疑っていたわけじゃないぞ」
「当たり前でしょう!人様のものに手を出す嗜好は持っておりません。そもそも、あなたのせいで、王女をどう帰すか相談した時ではないの?」
リスルート殿下と王宮を歩いたと言えば、あの呼び出された時くらいしかない。
「それは、すまない。じゃあ、これからは一緒に話せるのか」
「いや、必要ないでしょう、あなたは王族ではないわ」
「うう!じゃあ、こそこそ男と会うのか」
「そういうこともあるでしょうね。陛下とは大抵こそこそ会っておりますし」
「陛下は仕方ないとしても、魅力的な男だったらどうする」
「どうしましょうね」
「嫌だ嫌だ!取られてしまうではないか」
≪子どもか?おい、お前、今から私は妊娠したと言うのだぞ?≫
「こそこそ裏切りはしませんよ、好いた方が出来たら潔く報告しますわ」
「嫌だ嫌だ、私のだ」
「私には勝てませんゆえ諦めてください」
気付くとぼろぼろと泣いていて、ぎょっとした。情緒不安定過ぎないか?いくら完全左右対称の綺麗な顔と言われる者の涙でも、全く良いものではないぞ。やっぱり、おかしいのではないか?
「はあ…あと、子どもが出来たのです。あなたの子ですよ。なので、明かしておこうかと思いまして」
「へ?本当に?」
「ええ、性別も分かっておりますが」
「…嬉しい、嬉しい、これでセナと家族になれる…ううう、好きだ、愛してる、可愛い、天使だ」
何やら意味不明な言葉も聞こえたが、丸っと無視したセナリアン。
「はあ、まあ、そういう訳なので」
大きな体でセナ~っと泣きながら抱き付こうとするが、軽く跳ねのけられた。
「抱きつかなくてよろしい。今日の本邸での夕食の後にご両親とアローラにも話しますから、しっかりしてくださいね。使えない夫は要りませんからね?」
「任せろ!」
≪やっぱり子どもなのか?勇ましく、胸を叩くんじゃない!≫
「はあ、あとは今後はこちらに仲間の魔術師も出入りさせることもあるかと思います。いずれ紹介しますので」
「侍女として連れて来た方かい?」
「ええ、彼女もそうです。あと別邸の方は、ご両親とアローラの後に、執事とメイド長にだけは明かしておきましょうかね」
「うん、それがいいと思う!二人は信頼できるよ!」
≪本当に大丈夫か?とびきりの笑顔で親指を立てるんじゃない!≫
「あとはポート(出入りを制限した転移魔術陣)を作りたいんです」
「ポートを作る?」
「ええ、私は必要ないですけど、行き来するのに、魔力が多く要りますからね。ルージエとコルロンドには普通にありますよ?」
「あああ!だからルージエ家に見送りに行った時に、いなかったんだね」
「いえ、普通に転移して戻っただけですけど?」
「ああ、そうだった。できちゃうんだね」
「はい、できちゃいます。菓子なんぞ食べる時間もなく、帰れます」
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