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第15話
彼女の誕生2
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そして数ヶ月後、第二子・ジュジュが無事生まれた。
名前はというと、マージナルはルセルで限界を感じ、セナリアンが考えることになった。セナリアンも正直、得意ではない。白い猫にホワイト、黒い猫にブラックと付けるような質である。
がしかし、義両親にもセナリアンに付けて欲しいと言われてしまい、呼びやすくて可愛い名前がいいという理由だけではあるが、頑張って考えた。マージナルはセナリアンは天才だ、素晴らしいと褒め称えたのは言うまでもない。
「やっぱり魔力量も多いわね」
ジュジュの魔力量はセナリアンの足元にも及ばないが、平均をかなり上回るもので、セナリアンはある程度警戒していたが、危険なレベルではなく、ほっとした。ルセルも多かったが、やはり女児はさらに多い。
そしてジュジュは目元が多少セナリアンにも似ているが、色合いも顔立ちもマージナル、いや義母・ルラーラという風貌で、どこに転んでも美人なので、みごとに出来上がってしまった。マージナルはルセルよりはセナリアンに似ているので、もう高ぶる気持ちが抑えきれない。
「なんて可愛いんだ!ルセル、妹が可愛すぎるねっ!」
ルセルも始めはそうだねと言っていたが、面倒な父に気付き始め、そっと離れるようになった。
確かに可愛いが、父が怖いので、いない時にジュジュを可愛がることにした。母の目元を父の美貌でさらに深くキリっとさせたような妹だった。笑うと母に似ているので、父は機嫌を取ろうと必死だ。ジュジュに夢中の父を冷めた目で見つめる母は、自分と同じなのだと立場を理解することとなった。
もちろん、ジュジュにも両開きに鑑定書と絵を完成させ、贈られている。
そして二ヶ月前には王太子夫妻にも、待望の第一子である王子が誕生した。アルマリートと名付けられ、すくすく育っている。リリアンネに知られぬように陰ながら管理をしていたのは、自身も身重だったセナリアンだった。無事生まれて、自分の出産よりもホッとした。
「娘を嫁に貰おうか?」
「嫌ですが」
「魔力量も多いのだろう?」
「ええ、規定を超える量だそうです」
「そんなにか?セナリアンと比べても?」
「私も聞いてみたのですが、私が百だとして比較すると一にも満たないと…」
「…そうなのか」
「ですので、例えジュジュが千人いても万人いても一を超えることは無いと」
魔力量が非常に多いと言うので、セナリアンに匹敵するのかと思ったが、見当違いも甚だしい質問だったようだ。
「…なるほど、桁が違うということか」
「そのようです。それよりルセルの方が大変だろうと」
「結婚相手か」
「はい、困るかもしれないから、申し訳ないと。ルセルにはセナがコントロールと、折を見てきちんと話をすると言っておりましたから、任せております」
「お前より多いんだよな」
「はい!いい魔術師になれると言っておりました!」
息子が自分より魔力が多くても、嬉しそうなマージナルは嫉妬するようなことがないことが救いである。そもそも多いことは想定内で、そんなことをしたら、セナリアンに嫌われてしまうというのが前提であると思われる。
「で、お前に似ているから抱き散らかしては困るということだな」
「はっきり言い過ぎですが、そのようです。セナリアンが素朴なルージエ侯爵くらいなら良かったのにと言っておりました」
「お前の血が素朴に勝ってしまったんだろうな」
「えへへ」
「えへへじゃないだろう。で、嫁に来るか?」
「行きません!セナが王家に入れると思いますか?断れる唯一の人ではありませんか?」
「ぐうぅ。セナリアンには言えぬから、お前を唆そうと思ったのに」
「唆してもセナが覆すでしょうよ、もう殿下の代は手伝いませんと言われたらおしまいじゃないですか!言えますか?言えないでしょう?」
「ぐぐぐ。その通りなんだよな。うちの子もいい男になると思うぞ」
「そうでしょうけど、美形は私とルセルで見飽きてますからね」
セナリアンは美形を求めてはいないので、見飽きると言う表現は相応しくないだろうが、余程の男性を連れて来ても、これが?と思われることはあるだろう。
「お前は…確かにそうだろうな」
「そういえば、セナリアンは両親にあまり似てないよな」
「笑うと似ているのですが、一番似ているのは誰れかと問われれば、コルロンドの伯母君に似ておりますね」
「実はしっかり会ったことはないんだよな」
「結婚式にはいらしてましたけど、コルロンド家はあまり表には出ませんからね」
名前はというと、マージナルはルセルで限界を感じ、セナリアンが考えることになった。セナリアンも正直、得意ではない。白い猫にホワイト、黒い猫にブラックと付けるような質である。
がしかし、義両親にもセナリアンに付けて欲しいと言われてしまい、呼びやすくて可愛い名前がいいという理由だけではあるが、頑張って考えた。マージナルはセナリアンは天才だ、素晴らしいと褒め称えたのは言うまでもない。
「やっぱり魔力量も多いわね」
ジュジュの魔力量はセナリアンの足元にも及ばないが、平均をかなり上回るもので、セナリアンはある程度警戒していたが、危険なレベルではなく、ほっとした。ルセルも多かったが、やはり女児はさらに多い。
そしてジュジュは目元が多少セナリアンにも似ているが、色合いも顔立ちもマージナル、いや義母・ルラーラという風貌で、どこに転んでも美人なので、みごとに出来上がってしまった。マージナルはルセルよりはセナリアンに似ているので、もう高ぶる気持ちが抑えきれない。
「なんて可愛いんだ!ルセル、妹が可愛すぎるねっ!」
ルセルも始めはそうだねと言っていたが、面倒な父に気付き始め、そっと離れるようになった。
確かに可愛いが、父が怖いので、いない時にジュジュを可愛がることにした。母の目元を父の美貌でさらに深くキリっとさせたような妹だった。笑うと母に似ているので、父は機嫌を取ろうと必死だ。ジュジュに夢中の父を冷めた目で見つめる母は、自分と同じなのだと立場を理解することとなった。
もちろん、ジュジュにも両開きに鑑定書と絵を完成させ、贈られている。
そして二ヶ月前には王太子夫妻にも、待望の第一子である王子が誕生した。アルマリートと名付けられ、すくすく育っている。リリアンネに知られぬように陰ながら管理をしていたのは、自身も身重だったセナリアンだった。無事生まれて、自分の出産よりもホッとした。
「娘を嫁に貰おうか?」
「嫌ですが」
「魔力量も多いのだろう?」
「ええ、規定を超える量だそうです」
「そんなにか?セナリアンと比べても?」
「私も聞いてみたのですが、私が百だとして比較すると一にも満たないと…」
「…そうなのか」
「ですので、例えジュジュが千人いても万人いても一を超えることは無いと」
魔力量が非常に多いと言うので、セナリアンに匹敵するのかと思ったが、見当違いも甚だしい質問だったようだ。
「…なるほど、桁が違うということか」
「そのようです。それよりルセルの方が大変だろうと」
「結婚相手か」
「はい、困るかもしれないから、申し訳ないと。ルセルにはセナがコントロールと、折を見てきちんと話をすると言っておりましたから、任せております」
「お前より多いんだよな」
「はい!いい魔術師になれると言っておりました!」
息子が自分より魔力が多くても、嬉しそうなマージナルは嫉妬するようなことがないことが救いである。そもそも多いことは想定内で、そんなことをしたら、セナリアンに嫌われてしまうというのが前提であると思われる。
「で、お前に似ているから抱き散らかしては困るということだな」
「はっきり言い過ぎですが、そのようです。セナリアンが素朴なルージエ侯爵くらいなら良かったのにと言っておりました」
「お前の血が素朴に勝ってしまったんだろうな」
「えへへ」
「えへへじゃないだろう。で、嫁に来るか?」
「行きません!セナが王家に入れると思いますか?断れる唯一の人ではありませんか?」
「ぐうぅ。セナリアンには言えぬから、お前を唆そうと思ったのに」
「唆してもセナが覆すでしょうよ、もう殿下の代は手伝いませんと言われたらおしまいじゃないですか!言えますか?言えないでしょう?」
「ぐぐぐ。その通りなんだよな。うちの子もいい男になると思うぞ」
「そうでしょうけど、美形は私とルセルで見飽きてますからね」
セナリアンは美形を求めてはいないので、見飽きると言う表現は相応しくないだろうが、余程の男性を連れて来ても、これが?と思われることはあるだろう。
「お前は…確かにそうだろうな」
「そういえば、セナリアンは両親にあまり似てないよな」
「笑うと似ているのですが、一番似ているのは誰れかと問われれば、コルロンドの伯母君に似ておりますね」
「実はしっかり会ったことはないんだよな」
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