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第19話
綻びのない国なんてない1(ノイザール王国)
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はああああ、長い溜息だった。憂いを嘆くよりは、疲れている溜息に感じた。癒されに実家に来ているくらいである。両親は子どもたちに夢中になっているので、部屋にはセナリアンとノエルきょうだいだけである。
この二人、年の差があるので、姉二人には可愛がってもらい、セナリアンは領地やコルロンドにいることが多かったので、長く一緒にいたのはリリアンネであるが、世話をして、遊んで構ってくれるのはセナリアンであった。
セナリアンが先祖返りだと知ったのは学園に入る前であった。父・ミミスの学園でとんでもないことをしたら堪らないという不安と妙な信頼の無さから、早まったのだと後から聞いた。
ミミスにとって、怖い順はマカル(実父)>ニアーノ(実母)>セナリアン(実子)>ルシュベル(妻)>リルラビエ(義姉)である。
にも拘わらず、この件だけはノエルは知っておくべきだと、まだいいんじゃないかという皆を説得したそうだ。
ちなみにミミスがセナリアンに怒られたのはセナリアン零歳児の時である、可愛いなぁと頬を両手でむにむにし過ぎて、バチンとおでこを叩かれ、むっとした顔をされたそうだ。セナリアンの頬は真っ赤になっており、どれだけむにむにしたのだと自分でも後悔したほどである。もちろん酔っぱらってである。
しかもその姿を母・ニアーノに見付かり、しこたま怒られた。
「模範的な生徒に、真面目に勤勉にとまでは言わないが、とにかく悪いことだけはしないで欲しい」
父から言われたノエルは、そんなことは分かっている、そもそも一人は王太子妃、もう一人は時期公爵に嫁いでいる姉たちに、自分の殻弾みな事柄で、泥を塗れば大変なことになると分かっていると言い返そうと思っていたが、それどころの話ではなかった。
「私ね、先祖返りなの」
「は?」
コルロンドから借りて来たという本を開くように言われて、頭の中に飛び込んだのは、王太子妃なんて時期公爵夫人なんて飛び越えていた。潜在的に怖いのはセナリアンであったため、自分は間違っていなかったと思った。
「私の可愛い弟だから、少々の若気の至りならいいのよ、おバカさんくらいならいいの。でもね、大バカ者は要らないの。ノエル、あなたは強くありなさい」
姉の言葉はあまりに抽象的ではあったが、妙に怖かった。横でふふふと笑う母も怖く、父が珍しくまともに見えた。
そして、現在に戻る。
「国のトップになりたいって思ったことある?」
「なりたいの?」
「いいえ、全く、一度も、絶対になりたくないわ」
「ですよね、なりたいってなれる立場がまず必要じゃないかな」
「まあ、そうね。そうだとして、逃げれる立場だったら逃げたいわよね」
「凡人はそう思いますね」
「私は恵まれているから、そうはならなかったけど」
「ノイザールですか」
現在、コビア大陸にあり、エメラルダに一番近いノイザール王国が荒れていると聞いている。国内というよりは、王家と貴族が荒れていると言った方が正しい。
「ええ、そんなことになっていたとはね。トップってどんな人がいいのかしら」
「追放された兄が優秀だったと聞いたことがあります」
「そう。正直、優秀だからと国を治められるわけではないと思うのよ。全部、一人で一つの綻びもなくなんて、絶対無理でしょう。だったら優秀な人材を集められて、その方に手を貸したいと思われる人の方が余程、相応しいというべき存在じゃない?」
いやいや、姉様には可能だろうと思ったが、綻びもなくという点に絶対はない。
ノイザール国は、王妃と側妃の異母兄弟がいた。兄は魔術に長け、成績も大変優秀であった。弟は兄のようには優秀ではなかったが、努力する才能があった。そして性格は二人とも穏やかで、仲の良い兄弟であった。
ただし、側妃は違った。元々体の弱かった王妃が亡くなると、側妃が王妃となったが、自分の子どもである弟を王にしたいという強い気持ちを持ち始めた。
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お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございます。
この作品は書いて保存してあるものが結構あるのですが、
ぱぱ―っと書いているだけなので、
清書して投稿しようと思いながら、他の投稿にかまけておりました。
大変申し訳ございません。
一部、ようやく清書しましたので、順次投稿させていただきます。
どうかよろしくお願いいたします。
この二人、年の差があるので、姉二人には可愛がってもらい、セナリアンは領地やコルロンドにいることが多かったので、長く一緒にいたのはリリアンネであるが、世話をして、遊んで構ってくれるのはセナリアンであった。
セナリアンが先祖返りだと知ったのは学園に入る前であった。父・ミミスの学園でとんでもないことをしたら堪らないという不安と妙な信頼の無さから、早まったのだと後から聞いた。
ミミスにとって、怖い順はマカル(実父)>ニアーノ(実母)>セナリアン(実子)>ルシュベル(妻)>リルラビエ(義姉)である。
にも拘わらず、この件だけはノエルは知っておくべきだと、まだいいんじゃないかという皆を説得したそうだ。
ちなみにミミスがセナリアンに怒られたのはセナリアン零歳児の時である、可愛いなぁと頬を両手でむにむにし過ぎて、バチンとおでこを叩かれ、むっとした顔をされたそうだ。セナリアンの頬は真っ赤になっており、どれだけむにむにしたのだと自分でも後悔したほどである。もちろん酔っぱらってである。
しかもその姿を母・ニアーノに見付かり、しこたま怒られた。
「模範的な生徒に、真面目に勤勉にとまでは言わないが、とにかく悪いことだけはしないで欲しい」
父から言われたノエルは、そんなことは分かっている、そもそも一人は王太子妃、もう一人は時期公爵に嫁いでいる姉たちに、自分の殻弾みな事柄で、泥を塗れば大変なことになると分かっていると言い返そうと思っていたが、それどころの話ではなかった。
「私ね、先祖返りなの」
「は?」
コルロンドから借りて来たという本を開くように言われて、頭の中に飛び込んだのは、王太子妃なんて時期公爵夫人なんて飛び越えていた。潜在的に怖いのはセナリアンであったため、自分は間違っていなかったと思った。
「私の可愛い弟だから、少々の若気の至りならいいのよ、おバカさんくらいならいいの。でもね、大バカ者は要らないの。ノエル、あなたは強くありなさい」
姉の言葉はあまりに抽象的ではあったが、妙に怖かった。横でふふふと笑う母も怖く、父が珍しくまともに見えた。
そして、現在に戻る。
「国のトップになりたいって思ったことある?」
「なりたいの?」
「いいえ、全く、一度も、絶対になりたくないわ」
「ですよね、なりたいってなれる立場がまず必要じゃないかな」
「まあ、そうね。そうだとして、逃げれる立場だったら逃げたいわよね」
「凡人はそう思いますね」
「私は恵まれているから、そうはならなかったけど」
「ノイザールですか」
現在、コビア大陸にあり、エメラルダに一番近いノイザール王国が荒れていると聞いている。国内というよりは、王家と貴族が荒れていると言った方が正しい。
「ええ、そんなことになっていたとはね。トップってどんな人がいいのかしら」
「追放された兄が優秀だったと聞いたことがあります」
「そう。正直、優秀だからと国を治められるわけではないと思うのよ。全部、一人で一つの綻びもなくなんて、絶対無理でしょう。だったら優秀な人材を集められて、その方に手を貸したいと思われる人の方が余程、相応しいというべき存在じゃない?」
いやいや、姉様には可能だろうと思ったが、綻びもなくという点に絶対はない。
ノイザール国は、王妃と側妃の異母兄弟がいた。兄は魔術に長け、成績も大変優秀であった。弟は兄のようには優秀ではなかったが、努力する才能があった。そして性格は二人とも穏やかで、仲の良い兄弟であった。
ただし、側妃は違った。元々体の弱かった王妃が亡くなると、側妃が王妃となったが、自分の子どもである弟を王にしたいという強い気持ちを持ち始めた。
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お気に入りに入れていただいている皆様、誠にありがとうございます。
この作品は書いて保存してあるものが結構あるのですが、
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