【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

文字の大きさ
64 / 131

憤慨するトドック男爵夫妻1

しおりを挟む
 一方、トドック男爵夫妻とオマリーは、馬車に乗った途端に、ベクターとジュディーは怒鳴り付けた。

「お前はなんてことをしてくれたんだ!」
「私はあなたをそんな風に育てた覚えはないわ!」
「誤解なの!」
「何が誤解だ、誤解であるわけがないだろう!」

 言い合いをしながら、学園に着くと既に授業は終わっており、委員会や部活動で残っている者もいたが、注目されるようなことはなかった。

 学園側にも休学のことを伝えられており、オマリーのクラス担任であるケイズが、オマリーが来たことに気付いて、箱を持って待っていた。

「学園長より、話を伺っています。こちらに持ち物を入れて、お運びください」
「ご迷惑をお掛けしました、ありがとうございます」
「先生!私、誤解なんです!だから、休学なんて困るんです!」

 オマリーはケイズに、訴え掛けたが、ケイズは厳しい顔をした。

「残念だよ、君は何度も己を顧みることが出来たはずだ」
「でも学園では平等で」
「そんな話はしていないが…」

 オマリーのしたことは性格、考え方の問題と、相手が男爵令嬢でも、平等だという以前の話である。

「平等と言っても、先輩に爵位が低いからと命令したりしないように、これから貴族社会で生きていく準備のために、立場を理解するのも大事なことだ」
「でも!」
「ここは幼子が学ぶ場所ではない!これから貴族社会、貴族社会に関わる世界で生きていく者たちの学び場だ。思い込みで、自分の都合のように、好き勝手していい場所ではない。教室に急ぎなさい」
「オマリー、行くぞ」

 ベクターに教室に連れて行かれて、オマリーは嫌がりながらも、箱に荷物を詰め、寮に行くと今度は寮母が箱を用意してくれており、三人で手分けして詰め込んで、学園と寮を後にした。

「お父様、お母様、本当に誤解なの。思い込んだのは悪かったけど、そんなに怒られること?」

 オマリーは何度も訴えたが、ベクターとジュディーは話は、タウンハウスに戻ってからと聞く耳を持たなかった。

 タウンハウスに戻り、弟と幼い妹が眠った後で話をしようと言うことになった。

 そして、弟と幼い妹の前では普通通りにしたが、弟は何か感じ取っているようだったが、聞いて来ることはなかった。

 寝静まった後で、三人は向き合った。

 ベクターもジュディーも、気持ち的には大きな声で怒鳴りたかったが、それは眠っている弟と幼い妹、近所にも迷惑になるので、出来なかった。

「誤解なの」
「何が誤解なんだ」
「思い込んだのは悪かったけど、そう思わされただけなの」

 オマリーは私もそんなことは考えていなかったが、エルドールが関わっていると知って、そう思ってしまったと思っている。

「それなら、それで良かったで、終わりでいいじゃないか。なぜ吹聴する必要がある?」
「…あ、それは」

 胸に秘めていれば、起こらなかったことだと、オマリーも気付いた。

 だが、こんな国中が沸く話題なのに、エルドールも何も言って来ないことから、どうしても誰かに言いたくなってしまった。

 オマリーは噂になっていることも、その後も否定されていることは知らず、嘘だったのかと一部に思われていることも知らないままであった。

「でも殿下を手伝っていたのは本当なの!」

 やるべきことを渡されることはあっても、殿下を手伝ったという事実はないが、オマリーは手伝っていたということだけは突き通そうとした。

「迷惑をしているとおっしゃっていたではないか!」
「違うの、殿下はあんな風に言うしかなかったと思うけど、立場上なかなか頼れないの。だから、私が書記として先回りしただけなの」
「はあ…」

 何も知らなければ、多少信じる部分もあったかもしれないが、全て聞いた後で、ベクターもジュディーも信じる気はなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜

水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」 効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。 彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。 だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。 彼に残した書き置きは一通のみ。 クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。 これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します

hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。 キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。 その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。 ※ざまあの回には★がついています。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

処理中です...