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困惑
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「婚約を強要する気はない。いずれはユーフレット侯爵令嬢の事情も、本人から話したいと言っている」
「それは…」
スノーは、ユーフレット侯爵令嬢とは話したこともない。一生話すことはないと思って生きていた。
「彼女も自分の口で話したいと言っている。直接、聞いて貰った方が、真実だと分かって貰えるだろう?」
「いえ、ご事情は理解しましたが、私には難しいと思います」
「そんなことはない、レリリス伯爵令嬢は、優秀ではないか」
成績で優秀だと言っているのだろうが、公爵家なら色々調べたのだろう。一体、どこまで分かっているのか分からないが、下手に関わらない方が得策だろう。
「私よりも優秀な方は沢山おります。もっと公爵家に相応しい方になっていただいた方が、周りも納得すると思います。私に嫁ぐ勇気はありません」
「頑なだな…」
「父にも言われましたが、私は祖母に身の丈に合った人生を送るようにと、強く言われて来ました」
「ランドマーク前侯爵夫人か?」
「はい、無理することは、身を崩すだけだと」
アンリ・ランドマーク前侯爵夫人。正確には祖父の後妻になるため、私との血の繋がりはないが、礼儀や女性として、貴族令嬢としての在り方を教えてくれた。
「分かった、ならば友人になって貰うことは出来ないだろうか。友人であれば、爵位は関係ないだろう?」
「ですが…」
「大丈夫、学園ではこれまで通りにする。私は爵位で目立ってしまうことは知っている。君が嫌がらせに遭うようなことになってはならないからな。またここで会えばいい。公爵邸も表から入らなければ、目立つようなこともない」
スノーは友人にと言われれば、断ることは出来ない。
「伯爵家には…」
「疚しいことはないのだから、言わなければいい」
「承知しました」
どこかスノーのホッとした様子に、リアンスは聞いておこうと口を開いた。
「失礼だが、家族とは上手くいっていないのか?」
「そんなこともないです。距離はありますが、表向きは上手くやっています」
「やはり離れていたからか?」
8歳の頃から、スノーは兄と妹に手が掛かるからと、ランドマーク侯爵家に預けられていたと聞いている。おそらく事情があるのだろうが、ランドマーク侯爵家によって、詳しい理由は分からなかった。
「そうですね…お互い無理もないと思っているので、気にしないようにしています」
「何か力になれるようなことがあったら、言ってくれ」
「ありがとうございます」
そう言って二人は時間差で店を出て、別れた。
それから、伯爵家への手紙だと疑われる可能性があるからと、委員会の際に本を借りに来たことにして、手紙を渡され、私は公爵家へ返事を書くという形で、やり取りをするようになった。
何だか悪いことでもしているような気持ちにはなったが、逆らっていいことはないだろう、いずれ婚約者が決まれば終わることだと思って、従っていた。
パーデュラスで落ち合い、学園でこんなことがあったなどと、取り留めない話をする。婚約のことを持ち出すこともあれから一度もなかった。
ある時、その場にメリーアン・ユーフレット侯爵令嬢がやって来た。聞いていなかったスノーは慌てて、立ち上がった。
「お会いしたかったです。メリーアン・ユーフレットです」
「スノー・レリリスでございます」
「お座りになって。あなたは嫌がると思ったのだけど、私がリ、ローズ公爵令息に無理矢理、話をさせて欲しいとお願いしたの」
「いえ」
「私とローザ公爵令息の婚約は、仮初だったことは聞いているのよね?その上で、私の話をしてもいいかしら?」
「はい…」
スノーは嫌です聞きませんとは言えるはずもなかった。
「それは…」
スノーは、ユーフレット侯爵令嬢とは話したこともない。一生話すことはないと思って生きていた。
「彼女も自分の口で話したいと言っている。直接、聞いて貰った方が、真実だと分かって貰えるだろう?」
「いえ、ご事情は理解しましたが、私には難しいと思います」
「そんなことはない、レリリス伯爵令嬢は、優秀ではないか」
成績で優秀だと言っているのだろうが、公爵家なら色々調べたのだろう。一体、どこまで分かっているのか分からないが、下手に関わらない方が得策だろう。
「私よりも優秀な方は沢山おります。もっと公爵家に相応しい方になっていただいた方が、周りも納得すると思います。私に嫁ぐ勇気はありません」
「頑なだな…」
「父にも言われましたが、私は祖母に身の丈に合った人生を送るようにと、強く言われて来ました」
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「はい、無理することは、身を崩すだけだと」
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「分かった、ならば友人になって貰うことは出来ないだろうか。友人であれば、爵位は関係ないだろう?」
「ですが…」
「大丈夫、学園ではこれまで通りにする。私は爵位で目立ってしまうことは知っている。君が嫌がらせに遭うようなことになってはならないからな。またここで会えばいい。公爵邸も表から入らなければ、目立つようなこともない」
スノーは友人にと言われれば、断ることは出来ない。
「伯爵家には…」
「疚しいことはないのだから、言わなければいい」
「承知しました」
どこかスノーのホッとした様子に、リアンスは聞いておこうと口を開いた。
「失礼だが、家族とは上手くいっていないのか?」
「そんなこともないです。距離はありますが、表向きは上手くやっています」
「やはり離れていたからか?」
8歳の頃から、スノーは兄と妹に手が掛かるからと、ランドマーク侯爵家に預けられていたと聞いている。おそらく事情があるのだろうが、ランドマーク侯爵家によって、詳しい理由は分からなかった。
「そうですね…お互い無理もないと思っているので、気にしないようにしています」
「何か力になれるようなことがあったら、言ってくれ」
「ありがとうございます」
そう言って二人は時間差で店を出て、別れた。
それから、伯爵家への手紙だと疑われる可能性があるからと、委員会の際に本を借りに来たことにして、手紙を渡され、私は公爵家へ返事を書くという形で、やり取りをするようになった。
何だか悪いことでもしているような気持ちにはなったが、逆らっていいことはないだろう、いずれ婚約者が決まれば終わることだと思って、従っていた。
パーデュラスで落ち合い、学園でこんなことがあったなどと、取り留めない話をする。婚約のことを持ち出すこともあれから一度もなかった。
ある時、その場にメリーアン・ユーフレット侯爵令嬢がやって来た。聞いていなかったスノーは慌てて、立ち上がった。
「お会いしたかったです。メリーアン・ユーフレットです」
「スノー・レリリスでございます」
「お座りになって。あなたは嫌がると思ったのだけど、私がリ、ローズ公爵令息に無理矢理、話をさせて欲しいとお願いしたの」
「いえ」
「私とローザ公爵令息の婚約は、仮初だったことは聞いているのよね?その上で、私の話をしてもいいかしら?」
「はい…」
スノーは嫌です聞きませんとは言えるはずもなかった。
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