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帰国4
付いて行くべきだったと嘆くペイリーの手紙に、モリーは巻き込まれなくて良かったと何度も書いていた。
ペイリーに魔術のことを明かすことに問題はないのだが、また巻き込むような形になる方が怖いために、話すべきではないと判断していた。
だが、明かさなくてはいけないような状況になれば、一番に話すつもりではある。
「大変な時に側にいられなかったなんて」
「ありがとう。でも、見えない病って怖いわよね」
治癒を行っていた頃も、怪我は目に見えて治るので安心できるが、今回の流行り病のような時は、治癒を行っても治っているのか不安になる。
久し振りに治癒に関わったことで、やはり気持ちは変わらないと感じていた。
「はい……モリー様は具合は一切、悪くならなかったのですよね?」
「ええ、私は何もなかったわ。でも皆、お辛い思いをしてらしたわ」
「そうですよね……プレメルラ王国では感染した方も、今のところいないとされておりますので、どこか信じられないような気持ちでした」
モリーもレオーラが流行り病で亡くなったと聞くまでは、ペイリーの考えと同じことを思っていたために、とても理解ができた。
前は全くパークスラ王国について知らなかったこと、知ろうともしなかったことを今回のことで実感した。
「プレメルラ王国は流行っていなければ、本当なのかと思うわよね」
「はい、頭では分かっておりますし、モリー様が関わったことで、私は他の方よりも実感していたはずなのに」
「私はあまり関わることはなかったのだけど、苦しそうだったわ」
「でも、治療薬ができたのですよね?」
「ええ、パークスラ王国でも、他の国でもできたそうだから安心したわ」
ジーアから他国でもできているが、今はパークスラ王国から薬の支援も行っていると聞いていた。
モリーの咳止めがあったから余裕を持って、治療薬を作ることができたと聞かされたが、ジーアたちの実力だと思っている。
咳止めは役には立ったが、常習するものではないと、三度目の際に思っていたために、名残惜しそうな姿には心は痛まなかった。
これからも、パークスラ王国は医療が進んでいくだろうと思っている。
「ですが、パークスラ王国にもお辛い人もいるのに、こんな言い方は失礼ですけど、死者は少なかったそうです」
「ええ、他国はもっと酷かったのよね」
「はい、二千人を超えたところもありますから」
パークスラ王国の死者は、百人を超えていない。
「そうね、プレメルラ王国も治癒師を派遣したのでしょう?」
「はい、そのようです」
それでもこれなのかと、新聞などで他国の状況も分かってはいたが、パークスラ王国ですら救えなかったのに、治癒術を使える者として、憤りしかない。
「治癒師だけが入出国禁止になっても、通ることができたそうですから」
「封鎖はしっかりされていたのでしょうね」
「はい、海もありますから、徹底をされていたようです。おかげで、プレメルラ王国は無事だとも言えますが、良かったとは言えませんよね」
「ええ……本当にそうね」
プレメルラ王国では流行り病を感じることはなく、モリーはEP71は猛威を振るっている国を実際に見た。
だからこそ、イルメザ王国のジュリエッタ第三王女と、シャルロット第一王女の婚約も揺るがしたのだろうと思い出し、ペイリーは何か知らないか訊ねることにした。
「イルメザ王国はどのくらい酷かったのかしら?」
「確か、五百人は超えているという話だったと思います」
「そう。二千人を超えているのは、グリメラ王国よね?」
モリーがパークスラ王国で最後に見た情報でも同じくらいで、一番死者が多いのはグリメラ王国であった。
「はい、そうです。でも、サジラート王国も超えそうだという話です」
「そうなの?」
前はどの程度だったのか分からないが、考えても仕方ない。
ペイリーに魔術のことを明かすことに問題はないのだが、また巻き込むような形になる方が怖いために、話すべきではないと判断していた。
だが、明かさなくてはいけないような状況になれば、一番に話すつもりではある。
「大変な時に側にいられなかったなんて」
「ありがとう。でも、見えない病って怖いわよね」
治癒を行っていた頃も、怪我は目に見えて治るので安心できるが、今回の流行り病のような時は、治癒を行っても治っているのか不安になる。
久し振りに治癒に関わったことで、やはり気持ちは変わらないと感じていた。
「はい……モリー様は具合は一切、悪くならなかったのですよね?」
「ええ、私は何もなかったわ。でも皆、お辛い思いをしてらしたわ」
「そうですよね……プレメルラ王国では感染した方も、今のところいないとされておりますので、どこか信じられないような気持ちでした」
モリーもレオーラが流行り病で亡くなったと聞くまでは、ペイリーの考えと同じことを思っていたために、とても理解ができた。
前は全くパークスラ王国について知らなかったこと、知ろうともしなかったことを今回のことで実感した。
「プレメルラ王国は流行っていなければ、本当なのかと思うわよね」
「はい、頭では分かっておりますし、モリー様が関わったことで、私は他の方よりも実感していたはずなのに」
「私はあまり関わることはなかったのだけど、苦しそうだったわ」
「でも、治療薬ができたのですよね?」
「ええ、パークスラ王国でも、他の国でもできたそうだから安心したわ」
ジーアから他国でもできているが、今はパークスラ王国から薬の支援も行っていると聞いていた。
モリーの咳止めがあったから余裕を持って、治療薬を作ることができたと聞かされたが、ジーアたちの実力だと思っている。
咳止めは役には立ったが、常習するものではないと、三度目の際に思っていたために、名残惜しそうな姿には心は痛まなかった。
これからも、パークスラ王国は医療が進んでいくだろうと思っている。
「ですが、パークスラ王国にもお辛い人もいるのに、こんな言い方は失礼ですけど、死者は少なかったそうです」
「ええ、他国はもっと酷かったのよね」
「はい、二千人を超えたところもありますから」
パークスラ王国の死者は、百人を超えていない。
「そうね、プレメルラ王国も治癒師を派遣したのでしょう?」
「はい、そのようです」
それでもこれなのかと、新聞などで他国の状況も分かってはいたが、パークスラ王国ですら救えなかったのに、治癒術を使える者として、憤りしかない。
「治癒師だけが入出国禁止になっても、通ることができたそうですから」
「封鎖はしっかりされていたのでしょうね」
「はい、海もありますから、徹底をされていたようです。おかげで、プレメルラ王国は無事だとも言えますが、良かったとは言えませんよね」
「ええ……本当にそうね」
プレメルラ王国では流行り病を感じることはなく、モリーはEP71は猛威を振るっている国を実際に見た。
だからこそ、イルメザ王国のジュリエッタ第三王女と、シャルロット第一王女の婚約も揺るがしたのだろうと思い出し、ペイリーは何か知らないか訊ねることにした。
「イルメザ王国はどのくらい酷かったのかしら?」
「確か、五百人は超えているという話だったと思います」
「そう。二千人を超えているのは、グリメラ王国よね?」
モリーがパークスラ王国で最後に見た情報でも同じくらいで、一番死者が多いのはグリメラ王国であった。
「はい、そうです。でも、サジラート王国も超えそうだという話です」
「そうなの?」
前はどの程度だったのか分からないが、考えても仕方ない。
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「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
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