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候補者
他国の王女も誰でもいいわけではなく、国内でも後ろ盾として強く、本人もいくら優秀でも、人柄で脱落していったのである。
人は誰しも、欠点はあることも分かっているが、ケリーには不愉快が勝る令嬢ばかりであった。
ある意味、レオーラが早々に決まったのは、礼儀正しさと王女という点もあり、ケリーのお眼鏡に叶った存在であったためである。
「オルトはどうなんですか?」
「オルトは、あなたが決まってからと思っていたから」
「オルトは何か言っていませんか?」
「他国の王女を希望しているわ」
「やはり、そうですか」
「私としてはあの子は国内でいいと思うのだけど」
国内の令嬢で良いと思える子がいないという理由であったが、ケリーは今はまだ早いのかもしれないくらいにしか思っていなかった。
「オルトは王太子になりたいのですよ」
「っん」
「えっ?どういうことなの?あなた、知っていたの?」
「自分も優秀なのにと思っているとは、感じていた……ケリーにも話したよな?」
「でも、あなたまだ子どもの言うことだからって」
ファリスは幼いからと本気に考えなかったのもあるが、レルスを王太子と定めていたために、考えないようにしていたのか。
「私は妹しかいなかったからな、気持ちを分かってはあげられないが……だから、王女を望んでいると、レルスは考えているのだろう?」
「そう思います」
「レルスはどう思っているの?」
「教育も受けているのですから、私はオルトが本気ならいいと思っています」
「んー」
ファリスもあり得ない、王太子はレルスだと言うことではないとは考えている。
第一王子で問題がないのなら、王太子にすることは当然で、間違いだったと思ったこともない。
だが、オルトが王太子になりたいと考えたままで、レルスがいいと言っているのなら、オルトにした方が燻った思いを残すより良いのかもしれない。
「オルトにも意向を聞くことも必要ではあるが、もし希望したとしても、王太子に相応しいかどうかも検討しなくてはならない」
「はい、それは理解しております」
「柔軟な対応ができるのはレルスで、決断力があるのはオルトだと、私は思っている。一人しかなれないのだから、正当に争うことは悪いことではないだろうが……」
相手を蹴落とすようなことをするなら問題ではあるが、お互いが高め合うのではあれば悪いことではない。
こうなると、王太子は定めない方が良かったかと、ファリスは考え込んだ。
その様子に気付いたケリーも、婚約者の話かと思えば、王太子の話になるとは思わなかった。
「オルトをスペアだなんてことは思っていないけど、でもね……」
「オルトに王女の婚約者は可能なのですか?誰かいらっしゃいますか?」
「率先して探してはいませんでしたからね」
オルトはレルスよりも三歳年下であるために、レルスの相手とは年下ならいいが、年齢の範囲が少し差がある。
丁度いい相手がいれば違ったかもしれないが、思い浮かばなかった。
「レルスはどうするつもりなんだ?」
「それは婿入りすべきなのか、王家に残るかによるかと思います」
「まあ、それはそうだな……」
考えることは必要ではあるが、二人とも婚約者がいない状態の今の方がいいのは確かである。
「もし、オルトが王太子に問題なく、なりたいと言うことだったら、一度、王太子の指名は白紙にした方がいいかもしれないな」
「そうですね……」
「レルスの気持ちは分かった、オルトにも話をしてみよう。ただ、まだ王太子ではなくなるなどと言う話は出すな」
「承知しております」
まずは白紙というのは、これからのために望ましい案だと思った。
「婚約のことは、また話そうではないか」
「分かりました」
レルスが退出すると、ファリスとケリーは顔を見合わせて、ふぅと息を吐いて、首を捻って唸った。
人は誰しも、欠点はあることも分かっているが、ケリーには不愉快が勝る令嬢ばかりであった。
ある意味、レオーラが早々に決まったのは、礼儀正しさと王女という点もあり、ケリーのお眼鏡に叶った存在であったためである。
「オルトはどうなんですか?」
「オルトは、あなたが決まってからと思っていたから」
「オルトは何か言っていませんか?」
「他国の王女を希望しているわ」
「やはり、そうですか」
「私としてはあの子は国内でいいと思うのだけど」
国内の令嬢で良いと思える子がいないという理由であったが、ケリーは今はまだ早いのかもしれないくらいにしか思っていなかった。
「オルトは王太子になりたいのですよ」
「っん」
「えっ?どういうことなの?あなた、知っていたの?」
「自分も優秀なのにと思っているとは、感じていた……ケリーにも話したよな?」
「でも、あなたまだ子どもの言うことだからって」
ファリスは幼いからと本気に考えなかったのもあるが、レルスを王太子と定めていたために、考えないようにしていたのか。
「私は妹しかいなかったからな、気持ちを分かってはあげられないが……だから、王女を望んでいると、レルスは考えているのだろう?」
「そう思います」
「レルスはどう思っているの?」
「教育も受けているのですから、私はオルトが本気ならいいと思っています」
「んー」
ファリスもあり得ない、王太子はレルスだと言うことではないとは考えている。
第一王子で問題がないのなら、王太子にすることは当然で、間違いだったと思ったこともない。
だが、オルトが王太子になりたいと考えたままで、レルスがいいと言っているのなら、オルトにした方が燻った思いを残すより良いのかもしれない。
「オルトにも意向を聞くことも必要ではあるが、もし希望したとしても、王太子に相応しいかどうかも検討しなくてはならない」
「はい、それは理解しております」
「柔軟な対応ができるのはレルスで、決断力があるのはオルトだと、私は思っている。一人しかなれないのだから、正当に争うことは悪いことではないだろうが……」
相手を蹴落とすようなことをするなら問題ではあるが、お互いが高め合うのではあれば悪いことではない。
こうなると、王太子は定めない方が良かったかと、ファリスは考え込んだ。
その様子に気付いたケリーも、婚約者の話かと思えば、王太子の話になるとは思わなかった。
「オルトをスペアだなんてことは思っていないけど、でもね……」
「オルトに王女の婚約者は可能なのですか?誰かいらっしゃいますか?」
「率先して探してはいませんでしたからね」
オルトはレルスよりも三歳年下であるために、レルスの相手とは年下ならいいが、年齢の範囲が少し差がある。
丁度いい相手がいれば違ったかもしれないが、思い浮かばなかった。
「レルスはどうするつもりなんだ?」
「それは婿入りすべきなのか、王家に残るかによるかと思います」
「まあ、それはそうだな……」
考えることは必要ではあるが、二人とも婚約者がいない状態の今の方がいいのは確かである。
「もし、オルトが王太子に問題なく、なりたいと言うことだったら、一度、王太子の指名は白紙にした方がいいかもしれないな」
「そうですね……」
「レルスの気持ちは分かった、オルトにも話をしてみよう。ただ、まだ王太子ではなくなるなどと言う話は出すな」
「承知しております」
まずは白紙というのは、これからのために望ましい案だと思った。
「婚約のことは、また話そうではないか」
「分かりました」
レルスが退出すると、ファリスとケリーは顔を見合わせて、ふぅと息を吐いて、首を捻って唸った。
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