病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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お疲れさま

 ペイリーはオーランが手配してくれたのか、メイドが急いで持って来たティーセットで、急いでお茶を入れていた。

「ペイリーとコーレイド様もお茶、飲んで。何だか、喉が渇く話だったでしょう」

 部屋にはコーレイドもおり、今日の話をすることになっていた。

「ありがとうございます。飲む暇がなかったですものね」
「ありがとうございます」
「座って話しましょう」

 安心してお茶は飲むことはできたが、口は付けたが、ゆったり飲む気分になれなかった。お茶が用意されると、皆で座って、ほっと一息ついた。

「モリー様、鑑定は使えませんよね?」
「使えませんよ」
「鑑定が使えるのかと思いました」
「え?」

 モリーはコーレイドが何を言っているのか、全く分からなかった。

「ゼアンラーク侯爵令嬢の後ろにいた女性は、魔法契約のできる魔術師でした」
「そうなの?」
「まあ」
「この国の者ではないと思いましたので、伝えて何者か調べさせております」

 コーレイドは把握しているために、プレメルラ王国の人間ではないか、可能性は低いが知られていない人間か、他国から入って来た人間だと判断した。

「そうだったのね」
「ですので、魔法契約もしませんとおっしゃった時に、驚きました」
「偶然だったのですけど、不味かったかしら?」
「いいえ、ただ女性はハッとした表情をしていましたよ」
「知られていると考えたかもしれませんね」
「私もそう思いました」

 随分、粘ってはいたが、モリーにとって魅力的に映らないこと。さらに魔法契約のことを言われて、疑心暗鬼も感じ始めたかもしれない。

「それなら良かったわ」
「ですが、そのようなことまで考えていたなんて」
「魔法契約は一生ものではありません。あの女性程度であれば、良くて数ヶ月程度の話だと思います」
「双方が納得しないと無理なのよね?無理矢理も可能なの?」

 モリーは触れる機会もなく、魔法契約についてはよく知らないために、折角なので訊ねてみることにした。

「いいえ、無理矢理はまず不可能です。というより、破綻することが多いです。ベストなのは双方に魔法契約のできる魔術師を立てることです」
「弁護士のように?」
「そうです。一人で行う場合は、能力と魔力量も関係しますし、少しでも綻びや曖昧なところがあると上手くいきません。勝手に一方が付け加えたりすれば、魔法契約は不可となります」
「厳しいのね」

 魔法契約も素質が必要なことは知っていたが、契約自体はア簡単にできることなのではないかと思い込んでいた。

「はい、昔は無理矢理ということもあったようですけど、今となっては禁忌というより、手法が抹消されております。もし知ることができても、行った時点で跳ね返って来るとも言われておりますので、破滅を望む者以外はしないでしょう」
「へえ、そうなのね」

 ペイリーも興味深く聞いているように、あまり知られていることではない。

「おそらく、ゼアンラーク侯爵令嬢は契約させるために呼んでいたのでしょう。ですが、モリー様、ご自身の魔力量が異常に多いことはお気づきですか?」
「ええ、それは何となく」
「良かったです」

 コーレイドは自覚ができるはずなので、敢えて伝えていなかったが、念のために確認をした。

「簡単なもの、例えば、ゼアンラーク侯爵令嬢がしようとしていた今からの話は口外しないというものだったとして、三ヶ月くらいなら可能だったと思います」
「三ヶ月」
「はい、ですが一生などと言われていても、おそらく不可能だったと思います」
「それはなぜ?」
「ゼアンラーク侯爵令嬢とモリー様が対等ではない存在だからです」
「ゼアンラーク侯爵令嬢は魔術が使えないから?」

 マレアはリークレアと違い、魔術は使えない。三回目はそのことで、劣等感を抱いている節を感じていた。

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