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誕生祭5
「お声が少し大きいようですよ、落ち着きませんか」
「っな」
マレアとリークレアも婚約者候補というライバル関係で、親しいわけではないために、さらにリークレアは苛立つことになった。
マレアはまたサリリーナ、ミチリーアと一緒にいた。
「ちょっと、熱くなってしまっただけよ」
「まあ、そうでしたか。お二人は同級生ですものね」
「ええ、そうよ。だから話をしていただけよ。そうよね?」
「ええ、そうですわね」
リークレアがキャンキャン鳴き、噛み付いていただけではあるが、話をしていたことは事実である。
そして、モリーがマレアに会うのは、あの呼び出された以来であった。
「オブレオサジュール公爵令嬢は、お久し振りですね」
「そうでございますね」
「ご連絡があるかと考えていたのですけど、お気持ちは変わりませんか?」
リークレアに加えて、マレアもかと思ったが、近付いて来るならどちらかではないかと思っていたために、驚くことはない。
「ええ、変わりませんわね。ダンサム公爵令嬢にお話はされたのですか?」
「っえ」
「有益だとおっしゃっていたので、同級生で同じ公爵令嬢ですから」
「何の話ですの?」
モリーはマレアに向かって、話したらいかがですかと言うように、にっこりと微笑んでみた。
「いいえ」
「私よりもダンサム公爵令嬢の方が関わりがあるのではないかと思うのですけど」
どちらが長い付き合いかと言えば、明らかにリークレアだろう。
「何ですの?」
「このようなところで話すようなことではありませんわ」
「何よ、言いなさいよ」
モリーはリークレアならば、直接問いただすと思い、わざと伝えたのである。おそらくリークレアはモリーを煽り、揉めている二人を自分が取りなせば、評価が上がるくらいに思ってやって来たのだろう。
リークレアは睨み付けていたが、マレアは口を開こうとはしなかった。
「そうですね、内容は分かりませんが、私たち三人の共通点と言えば……結婚していないということくらいでしょうか?」
「あなた、卒業して随分経つのに、まだ結婚していないの?」
リークレアもマレアが結婚をしていないことは知っているが、わざと馬鹿にしたように言い放った。だが、マレアは気持ちのまま怒ったりはしない。
「ご縁がないだけですわ」
「まさか、まだ王太子妃に選ばれると思っているのではないの?年齢を考えた方がいいわ」
二歳しか違わないが、それでも高位貴族で、特別な理由がないマレアは結婚していて当然の年齢ではある。
マレアはそれもこれも王太子が白紙になったからだと思っているのだろうが、顔を歪ませたら負けだと思ったのか、表情は変えなかった。
「もしかして、お話って王太子妃のことだったのですか?」
「やっぱりまだ狙っているの?図々しいとは思わないの?」
リークレアは思ったままを口にするために、マレアは苦手であった。ゆえにマレアはそっとサリリーナに視線をやった。
「恐れながら、図々しくなどありません」
「どうして?もう二十歳でしょう?」
「年齢よりも中身ではありませんか、マレア様には相応しい相手は限られますから」
モリーは相応しい相手があなたの兄じゃないの?と、笑いそうになったが、唇を噛んで堪えた。
「例えば誰だって言うの?それが王太子妃だって言うの?それって、ゼアンラーク侯爵令嬢が決めることなの?随分、偉い方なのね?」
「サリリーナ、私はそんな立場ではないわ」
「失礼しました」
モリーはこんな風に使っているのだろうなと思う反面、それでその人の兄と婚約するなんて、お互いどんな気分だったのだろうかと考えていた。
「オブレオサジュール公爵令嬢も王太子妃になるつもりではないわよね?」
「いいえ、私は王太子妃にはなりませんよ」
その言葉に視線を動かしたのは、マレアとサリリーナ、ミチリーアの方であった。三人の目が一斉にこちらを向き、やはり王太子妃のことだったと言っているようなものであった。
「っな」
マレアとリークレアも婚約者候補というライバル関係で、親しいわけではないために、さらにリークレアは苛立つことになった。
マレアはまたサリリーナ、ミチリーアと一緒にいた。
「ちょっと、熱くなってしまっただけよ」
「まあ、そうでしたか。お二人は同級生ですものね」
「ええ、そうよ。だから話をしていただけよ。そうよね?」
「ええ、そうですわね」
リークレアがキャンキャン鳴き、噛み付いていただけではあるが、話をしていたことは事実である。
そして、モリーがマレアに会うのは、あの呼び出された以来であった。
「オブレオサジュール公爵令嬢は、お久し振りですね」
「そうでございますね」
「ご連絡があるかと考えていたのですけど、お気持ちは変わりませんか?」
リークレアに加えて、マレアもかと思ったが、近付いて来るならどちらかではないかと思っていたために、驚くことはない。
「ええ、変わりませんわね。ダンサム公爵令嬢にお話はされたのですか?」
「っえ」
「有益だとおっしゃっていたので、同級生で同じ公爵令嬢ですから」
「何の話ですの?」
モリーはマレアに向かって、話したらいかがですかと言うように、にっこりと微笑んでみた。
「いいえ」
「私よりもダンサム公爵令嬢の方が関わりがあるのではないかと思うのですけど」
どちらが長い付き合いかと言えば、明らかにリークレアだろう。
「何ですの?」
「このようなところで話すようなことではありませんわ」
「何よ、言いなさいよ」
モリーはリークレアならば、直接問いただすと思い、わざと伝えたのである。おそらくリークレアはモリーを煽り、揉めている二人を自分が取りなせば、評価が上がるくらいに思ってやって来たのだろう。
リークレアは睨み付けていたが、マレアは口を開こうとはしなかった。
「そうですね、内容は分かりませんが、私たち三人の共通点と言えば……結婚していないということくらいでしょうか?」
「あなた、卒業して随分経つのに、まだ結婚していないの?」
リークレアもマレアが結婚をしていないことは知っているが、わざと馬鹿にしたように言い放った。だが、マレアは気持ちのまま怒ったりはしない。
「ご縁がないだけですわ」
「まさか、まだ王太子妃に選ばれると思っているのではないの?年齢を考えた方がいいわ」
二歳しか違わないが、それでも高位貴族で、特別な理由がないマレアは結婚していて当然の年齢ではある。
マレアはそれもこれも王太子が白紙になったからだと思っているのだろうが、顔を歪ませたら負けだと思ったのか、表情は変えなかった。
「もしかして、お話って王太子妃のことだったのですか?」
「やっぱりまだ狙っているの?図々しいとは思わないの?」
リークレアは思ったままを口にするために、マレアは苦手であった。ゆえにマレアはそっとサリリーナに視線をやった。
「恐れながら、図々しくなどありません」
「どうして?もう二十歳でしょう?」
「年齢よりも中身ではありませんか、マレア様には相応しい相手は限られますから」
モリーは相応しい相手があなたの兄じゃないの?と、笑いそうになったが、唇を噛んで堪えた。
「例えば誰だって言うの?それが王太子妃だって言うの?それって、ゼアンラーク侯爵令嬢が決めることなの?随分、偉い方なのね?」
「サリリーナ、私はそんな立場ではないわ」
「失礼しました」
モリーはこんな風に使っているのだろうなと思う反面、それでその人の兄と婚約するなんて、お互いどんな気分だったのだろうかと考えていた。
「オブレオサジュール公爵令嬢も王太子妃になるつもりではないわよね?」
「いいえ、私は王太子妃にはなりませんよ」
その言葉に視線を動かしたのは、マレアとサリリーナ、ミチリーアの方であった。三人の目が一斉にこちらを向き、やはり王太子妃のことだったと言っているようなものであった。
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