病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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誕生祭8

「ふざけたことを言わないで頂戴!取り消してと言っているの」
「リークレアッ」
「お父様、マレア・ゼアンラークは私を馬鹿にしたのですわ」
「分かったから、落ち着きなさい。その話は後にしよう」

 ダンサム公爵も今日がどのような日か分かっているために、さすがにリークレアを諫めたが、言い出したら聞かないことも理解している。

「ダンサム公爵令嬢、何を馬鹿にされたのだ?」

 問い掛けたのは、ファリスであった。

「っ、それは」

 ファリスに聞かれると、さすがにリークレアも口籠った。

「話してみなさい」
「あの、では!王子殿下の話でございます」

 モリーが輪を抜けても、二人は王太子妃について話をしていたのである。

 お互い相応しくないと思っており、リークレアはそのまま伝えていたが、マレアは自分が相応しいとは口にはしないが、思っているという状態であった。

 いよいよ、腹が立ったマレアはレルスにもオルトにもリークレアは好かれていないという噂があると話したのである。

 あくまでも噂にはしたが、リークレアはマレアが言っているのだと解釈した。それで馬鹿にされていると怒鳴り付けることになった。

「どのような話だ?」
「婚約の話です……恐れながら、どうなっているのでしょうか」

 こんな機会はないと思い、リークレアは問うことにした。

 皆も気にはなっており、ダンサム公爵家、クルージ伯爵家のようにアピールをしている家もあったが、選ばれたらいいな、選ばれるかもしれないと思っていても、リークレアのように自信満々に訊ねる人間はいない。

 マレアも選ばれて当然だと思っているが、求められる側の人間だと自負があるために、口にはしない。ゆえに思ったことを口にするリークレアに、少し感謝をしたほどであった。

 そして、皆もファリスがどう答えるか、注目を集めることになった。

「王子たちの婚約ということか、ああ、まあそうだな。皆も気になっていることだろう、近い内に発表をしよう」
「近い内ですか!」
「ああ、そろそろ発表をしてもいい時期になる。そのつもりであった」
「そうでございましたか、承知いたしました」

 王家とオブレオサジュール公爵家が同意すれば、モリーが学園を卒業してから発表をと思っていたために、そのように答えることになった。

 だが、リークレアはその言葉に婚約者候補に自分が選ばれることを確信して、マレアを勝ち誇った目で見つめたが、マレアはそれどころではなく、どういう意味なのかと、頭を働かせていた。

 婚約者候補ではなく、ファリスは婚約と言ったために、既に決まっているのではないか。

 そんなことあり得ないと一気に頭に血が上って、カッとなかった。

 マレアはいつもは冷静で、周りにはクールな印象で通しているが、実は短気で、いつもは抑えているだけである。

「陛下、もう決まっているということではございませんよね?」
「マレア!なんて口を利くのだ!陛下、申し訳ございません」

 ゼアンラーク侯爵は慌てて深く頭を下げたが、マレアはじっとファリスを見つめていた。

「何が言いたい?」
「陛下、申し訳ございません」
「いい、ゼアンラーク侯爵令嬢、何が言いたいのかはっきり言ってみなさい」

 ファリスの低い声に、マレアはハッとしたが、もう遅い。

 マレアはリークレアと違って、注目を集めることは好きだが、これだけの人間に注目をされることは慣れていない。いつもはサリリーナやミチリーアに言わせるようにしていた。

 思わず口に出してしまったが、ファリスに訊ねられた以上、答えるしかない。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は久し振りに1日2話、投稿いたします。
次は17時です。

どうぞよろしくお願いいたします。

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