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誕生祭11
「さようでございますか」
「ああ……ここまで愚かだとは思わなかった」
二人は頷き合い、ファリスは再び、参加者に向き直った。
「そして、レルスの婚約者は、モリー・オブレオサジュール公爵令嬢となる」
モリーは美しいカーテシーを見せ、エリーが立ち上がって拍手を始めると、ペイリー、驚いていたフシュナ伯爵家ご一行がバチンバチンと叩き始め、モリーのクラスメイトたちも嬉しそうに拍手を始めた。
リークレアとマレアの関係者以外の会場中が拍手を送り、リークレアも驚き、モリーに苛立つ気持ちもあったが、それ以上だったのはマレアであった。
「お待ちください!オブレオサジュール公爵令嬢は、婚約者候補に入っておりません」
「ああ、だが婚約者候補は白紙となっている」
「ですが、婚約者候補を集めて、行うはずです……」
マレアはいつ集められても良いように、もしかしたら集められることもなく、指名されるかもしれないとすら考えていた。
「王子妃についてはそうだな。だが、レルスは王子ではなくなる」
「それは……」
「私が説明をしましょう」
婚約者候補についてはファリスに代わって、ケリーが立ち上がった。
「王子の婚約者候補は令嬢としての名誉、王子妃だけではなく、友人や侍女などにという考えでも集められております。それは最初に説明を行っております。ゼアンラーク侯爵令嬢は理解していなかったのかしら?」
「い、いえ」
婚約者候補とは確実に王子妃になれるわけではない。
昔、婚約者候補として集められていたのだが、他国の王女が嫁いで来ることになり、問題となったからである。
ゆえに大きな意味で、候補としている。
「それに加えて、慣例とはなっておりますが、絶対ではありません。もしも理解ができていなかったのなら、あなたを候補者入れたことが間違いでしたわね」
「いえ、そのようなことは……ですが、なぜオブレオサジュール公爵令嬢が……水魔法が使えるからですか?」
「陛下、私が質問をよろしいでしょうか」
その言葉に答えるべきはファリスではなく、モリーは自身だと受け止めた。
「ああ、許可する」
「ゼアンラーク侯爵令嬢、なぜ水魔法とおっしゃっているのでしょうか」
「噂になっていたからです」
「噂に?誰からとも分からないとは便利な言葉ですね」
「っな、ですが、覚えていなくて……」
モリーはマレアを見つめていたが、いつものような穏やかな目つきではなかった。
「オブレオサジュール公爵令嬢!言ってやりなさいよ、魔術なんて使えないと」
「そうですね、ダンサム公爵令嬢に貸しを作りましょうか。いえ、これはゼアンラーク侯爵家への貸しになりますかね……」
「モリー!」
治癒術を使うつもりだと分かったレルスが声を掛けたが、その姿に衝撃を受けたのはマレアであった。
「目立ちたくはないですけど、あれこれ詮索されるのも嫌なのです」
「分かった」
モリーはリークレアに近付いて行き、目の前に立った。
「何よ!レルス殿下の婚約者になれて、調子に乗っているの!」
モリーは黙って、水魔法を展開し、ふわふわと浮いていた。
「あなた!どうして!」
リークレアは元より大きな目を飛び出しそうなほど大きくし、口をパクパクさせていた。それはエリー、オルト、フシュナ伯爵家一行、クラスメイトたち、他の貴族たちも同様であった。
「動かないで」
「な、何をするの!こんなところで、ぶつける気なの?」
「ぶつけられるようなことをしたの?」
自分が失礼なことをしていた自覚はあったのかと、モリーは笑いそうになった。
「していないわよ!」
「では、何をするか分かるでしょう?」
「は?」
「まさか!」
モリーが近付いて来て、何なのだろうかとダンサム公爵も思っていたが、まさかと思い至っていた。
「ああ……ここまで愚かだとは思わなかった」
二人は頷き合い、ファリスは再び、参加者に向き直った。
「そして、レルスの婚約者は、モリー・オブレオサジュール公爵令嬢となる」
モリーは美しいカーテシーを見せ、エリーが立ち上がって拍手を始めると、ペイリー、驚いていたフシュナ伯爵家ご一行がバチンバチンと叩き始め、モリーのクラスメイトたちも嬉しそうに拍手を始めた。
リークレアとマレアの関係者以外の会場中が拍手を送り、リークレアも驚き、モリーに苛立つ気持ちもあったが、それ以上だったのはマレアであった。
「お待ちください!オブレオサジュール公爵令嬢は、婚約者候補に入っておりません」
「ああ、だが婚約者候補は白紙となっている」
「ですが、婚約者候補を集めて、行うはずです……」
マレアはいつ集められても良いように、もしかしたら集められることもなく、指名されるかもしれないとすら考えていた。
「王子妃についてはそうだな。だが、レルスは王子ではなくなる」
「それは……」
「私が説明をしましょう」
婚約者候補についてはファリスに代わって、ケリーが立ち上がった。
「王子の婚約者候補は令嬢としての名誉、王子妃だけではなく、友人や侍女などにという考えでも集められております。それは最初に説明を行っております。ゼアンラーク侯爵令嬢は理解していなかったのかしら?」
「い、いえ」
婚約者候補とは確実に王子妃になれるわけではない。
昔、婚約者候補として集められていたのだが、他国の王女が嫁いで来ることになり、問題となったからである。
ゆえに大きな意味で、候補としている。
「それに加えて、慣例とはなっておりますが、絶対ではありません。もしも理解ができていなかったのなら、あなたを候補者入れたことが間違いでしたわね」
「いえ、そのようなことは……ですが、なぜオブレオサジュール公爵令嬢が……水魔法が使えるからですか?」
「陛下、私が質問をよろしいでしょうか」
その言葉に答えるべきはファリスではなく、モリーは自身だと受け止めた。
「ああ、許可する」
「ゼアンラーク侯爵令嬢、なぜ水魔法とおっしゃっているのでしょうか」
「噂になっていたからです」
「噂に?誰からとも分からないとは便利な言葉ですね」
「っな、ですが、覚えていなくて……」
モリーはマレアを見つめていたが、いつものような穏やかな目つきではなかった。
「オブレオサジュール公爵令嬢!言ってやりなさいよ、魔術なんて使えないと」
「そうですね、ダンサム公爵令嬢に貸しを作りましょうか。いえ、これはゼアンラーク侯爵家への貸しになりますかね……」
「モリー!」
治癒術を使うつもりだと分かったレルスが声を掛けたが、その姿に衝撃を受けたのはマレアであった。
「目立ちたくはないですけど、あれこれ詮索されるのも嫌なのです」
「分かった」
モリーはリークレアに近付いて行き、目の前に立った。
「何よ!レルス殿下の婚約者になれて、調子に乗っているの!」
モリーは黙って、水魔法を展開し、ふわふわと浮いていた。
「あなた!どうして!」
リークレアは元より大きな目を飛び出しそうなほど大きくし、口をパクパクさせていた。それはエリー、オルト、フシュナ伯爵家一行、クラスメイトたち、他の貴族たちも同様であった。
「動かないで」
「な、何をするの!こんなところで、ぶつける気なの?」
「ぶつけられるようなことをしたの?」
自分が失礼なことをしていた自覚はあったのかと、モリーは笑いそうになった。
「していないわよ!」
「では、何をするか分かるでしょう?」
「は?」
「まさか!」
モリーが近付いて来て、何なのだろうかとダンサム公爵も思っていたが、まさかと思い至っていた。
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