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拘束
「始めは成績が上がったモリーに焦ったのだろう?だから忠告、動揺させるために危害を加えようとした」
始まりは成績が上がったことだったが、魔術までも使えると知って、さらに焦ったと思われた。
「違います!これは誤解です!お父様っ!」
「事実ではないのだよな?」
ゼアンラーク侯爵は、淡々と説明されるが、事実なのか。事実ではないとしても、証拠がある口振りにどう振舞えばいいのか判断し兼ねていた。
マレアの表情を見ても、誤解があるのかもしれないが、レルス殿下に固執していたことは知っていたために、そのせいではないかとも感じていた。
だが、このままではゼアンラーク侯爵家としても、問題でしかない。
「そうです!私がそのようなことをするはずないではありませんか」
「ああ、分かっている……」
娘を信じたい気持ちはあるが、盲目的に信じられない気持ちになっていた。
「ならば、魔術のこと誰から聞いた?」
「それは、覚えていないのです」
「では、モリーの水魔法が使えることを知っていた者はいるか?手を上げてくれ」
ブレフォス、ペイリー、コーレイドを含む数人の魔術師、数人の騎士たちが手を上げた。実行犯を捕まえた際に、居合わせた者たちである。
「その中でゼアンラーク侯爵令嬢に伝えた者はいるか?伝えていない者は手を下げてくれ」
すると、皆、手を下げた。
「モリーの治癒術ではなく、魔術も一部しか知らない。ゼアンラーク侯爵令嬢に伝えた者はいない。誰に聞いたのか、説明してくれ」
「……忘れましたが、聞いたのです」
マレアは水魔法が使えると聞いて、知らない振りをしなければならないと思いながらも、自分が使えないことで、さらに焦りを感じていたために、思わず口にしてしまったのである。
そして、知っている人は知っているのだろうと考え、覚えていないと、うやむやにすればどうにかなるとも考えていた。
抜かりない令嬢に見えていたが、実は詰めが甘い。それがマレアであった。
「では、先程の中に伝えた者がいるのだな?」
「っえ、いえ」
マレアも全員は把握できなかったが、接点がある人間はいそうになかったために、否定するしかなかった。
「では思い出しておくように。まあ、時間は沢山ある」
「え……それは」
「これから取り調べとなる」
「そんな、お父様……」
マレアはこの場で助けを求められるのは父親しかいなかったが、ゼアンラーク侯爵もこのような場でファリスが何もなくここまで言うとは思えない。
「否定したいのなら、しっかりすればいい。こちらには証拠があるのだから。連れて行け。ゼアンラーク侯爵も付いて行くといい」
「はい……」
「待ってください!誤解です!このような場で、私がこのようなことになれば、事実ではないのに、問題になります!」
マレアはこのままでは潔白が証明されても、騒ぎになったことで、これから自分がどうなるのか。ここできちんと立ち回らなくては終わってしまうと、どうにか悪あがきをするしかなかった。
「事実だろう?」
「っ、ですが、オブレオサジュール公爵令嬢は、レルス殿下の婚約者に相応しくありません!」
「レルス?王太子妃のことを言っていたのではないのか?」
「あ……の」
レルスとは口にしていなかったために口籠ったが、きちんと伝えないといけないと思い叫んだ。
「王子殿下たちの婚約者候補も、家のことで外されていたではありませんか!」
「そなたには関係ないことだろう!」
いよいよ怒鳴られて、マレアは引っ張って連れて行かれることになった。茫然と様子を見ていた侯爵夫人も、さすがに残ることはできず、慌ててついて行った。
「騒がせたな。今日、発表する気はなかったが、さすがに目に余った。詳しいことは、また発表する」
「陛下、おめでたい席で申し訳ありませんが、関わりのあることですので、少しお時間をいただいてもよろしいですか」
「構わない」
始まりは成績が上がったことだったが、魔術までも使えると知って、さらに焦ったと思われた。
「違います!これは誤解です!お父様っ!」
「事実ではないのだよな?」
ゼアンラーク侯爵は、淡々と説明されるが、事実なのか。事実ではないとしても、証拠がある口振りにどう振舞えばいいのか判断し兼ねていた。
マレアの表情を見ても、誤解があるのかもしれないが、レルス殿下に固執していたことは知っていたために、そのせいではないかとも感じていた。
だが、このままではゼアンラーク侯爵家としても、問題でしかない。
「そうです!私がそのようなことをするはずないではありませんか」
「ああ、分かっている……」
娘を信じたい気持ちはあるが、盲目的に信じられない気持ちになっていた。
「ならば、魔術のこと誰から聞いた?」
「それは、覚えていないのです」
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ブレフォス、ペイリー、コーレイドを含む数人の魔術師、数人の騎士たちが手を上げた。実行犯を捕まえた際に、居合わせた者たちである。
「その中でゼアンラーク侯爵令嬢に伝えた者はいるか?伝えていない者は手を下げてくれ」
すると、皆、手を下げた。
「モリーの治癒術ではなく、魔術も一部しか知らない。ゼアンラーク侯爵令嬢に伝えた者はいない。誰に聞いたのか、説明してくれ」
「……忘れましたが、聞いたのです」
マレアは水魔法が使えると聞いて、知らない振りをしなければならないと思いながらも、自分が使えないことで、さらに焦りを感じていたために、思わず口にしてしまったのである。
そして、知っている人は知っているのだろうと考え、覚えていないと、うやむやにすればどうにかなるとも考えていた。
抜かりない令嬢に見えていたが、実は詰めが甘い。それがマレアであった。
「では、先程の中に伝えた者がいるのだな?」
「っえ、いえ」
マレアも全員は把握できなかったが、接点がある人間はいそうになかったために、否定するしかなかった。
「では思い出しておくように。まあ、時間は沢山ある」
「え……それは」
「これから取り調べとなる」
「そんな、お父様……」
マレアはこの場で助けを求められるのは父親しかいなかったが、ゼアンラーク侯爵もこのような場でファリスが何もなくここまで言うとは思えない。
「否定したいのなら、しっかりすればいい。こちらには証拠があるのだから。連れて行け。ゼアンラーク侯爵も付いて行くといい」
「はい……」
「待ってください!誤解です!このような場で、私がこのようなことになれば、事実ではないのに、問題になります!」
マレアはこのままでは潔白が証明されても、騒ぎになったことで、これから自分がどうなるのか。ここできちんと立ち回らなくては終わってしまうと、どうにか悪あがきをするしかなかった。
「事実だろう?」
「っ、ですが、オブレオサジュール公爵令嬢は、レルス殿下の婚約者に相応しくありません!」
「レルス?王太子妃のことを言っていたのではないのか?」
「あ……の」
レルスとは口にしていなかったために口籠ったが、きちんと伝えないといけないと思い叫んだ。
「王子殿下たちの婚約者候補も、家のことで外されていたではありませんか!」
「そなたには関係ないことだろう!」
いよいよ怒鳴られて、マレアは引っ張って連れて行かれることになった。茫然と様子を見ていた侯爵夫人も、さすがに残ることはできず、慌ててついて行った。
「騒がせたな。今日、発表する気はなかったが、さすがに目に余った。詳しいことは、また発表する」
「陛下、おめでたい席で申し訳ありませんが、関わりのあることですので、少しお時間をいただいてもよろしいですか」
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