病める時も、健やかではない時も

野村にれ

文字の大きさ
260 / 332

証明2

「ですが、例外ということもありましょう。責任のために面倒を看て、証明ができる時が来たらと思っておりましたが、なかなかできず、ようやくでございます。子どもたちには私のせいで迷惑を掛けました」

 ブレフォスは責任もあっただろうが、監視をしていたのだろう。そして、鑑定ができる日を待ち望んでいた。

「……これは、何か思うところがある者には吉報かもしれぬな」

 ブレフォスのように、血縁証明でハッキリすることがあるかもしれない。これまでは分からないために、誤魔化せていたことが誤魔化せなくなる。

 平気な顔をしながらも、冷や汗をかいている者もいるかもしれない。

「パークスラ王国王家、他国も協力をしているはずですから、信頼のできる鑑定でございます」

 信用できないなどと言えば、パークスラ王国王家、他国はブレフォスも誰が協力をしているのかまでは知らないが、盾突くことになる。

「ならば、貴族に虚偽をしたことになるために、捕まえることもできるが?」
「はい、ですが元よりオブレオサジュール公爵家の籍に入れておりませんから、今のあの二人は平民のままです。ですが、偽ったことは事実ですので、今後近付かないように、近付けば訴えると追い出す算段になっております」

 当然だが、オーリンはすべてを知っており、だからこそ何かあれば、すぐに動けるように邸に残っている。

 騙したことになるために、ブレフォスもお金を請求することもできるが、すぐに叩き落すよりも、関わらない方を選ぶ方がいい。ただし、まだ関わって来るのなら容赦なく、訴えるつもりである。

「そうか」
「王家のご判断で捕まえるということであれば、異論はございません。必要であれば親子鑑定を提出させていただきます」
「分かった、それは今後によって考えよう」

 オブレオサジュール公爵家に迷惑を掛けるということは、レルスの婚約者であるモリーに迷惑を掛けることになり、これからは容赦なく口を出すことができる。

 それはケリーも同じように考えており、マキュレアリリージュは何も知らないのかもしれないが、他人の癖にドレスを盗もうとしたのかと、さらに嫌う気持ちが大きくなっていた。

 この場に出席する資格もないコアナとマキュレアリリージュは、まだ何も知らないまま、処遇が多くの者に知られることになった。

 だが、それほどのことをしたということでもある。

 そして、いくらコアナとマキュレアリリージュが言い訳をしても、この場にいた人間は騙されることはないだろう。

「どちらにせよ、平民のままですので、問題ないでしょう」
「そうね、その通りだわ」

 そんなはずはないが、ケリーは敢えて賛同した。

 二人はオブレオサジュール公爵家に寄生していたのだから、路頭に迷うことになるだろう。だが、平民なのだから当店を逆手に取った。

「それでも、別邸にそのような者がいたことは事実。ですが、それは私の問題であり、モリーやロレインには関係はございません。それだけはご理解いただきたいと思い、ここで発表をさせていただきました。以上でございます」
「そうか、私は理解した。皆にも理解しろと強制はしないが、正確な事実が聞こえたことだろう。私はそう解釈した」

 ケリーも頷き、ファリスは事実ではない噂を流すことは許さないという意味で告げ、ブレフォスは感謝した。

「お時間をいただき、ありがとうございました」
「では、最後まで楽しんで帰ってくれ」

 歓談という雰囲気ではなかったが、フシュナ伯爵家などが率先して動き始めた家もあり、つられるように少しずつ和やかに動き始めた。

「公爵、話はまたにしよう」

 コアナとマキュレアリリージュについても、親子鑑定についても色々聞きたいことはあるが、今ここで話すことではない。

あなたにおすすめの小説

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

王太子の愚行

よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。 彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。 婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。 さて、男爵令嬢をどうするか。 王太子の判断は?

花嫁は忘れたい

基本二度寝
恋愛
術師のもとに訪れたレイアは愛する人を忘れたいと願った。 結婚を控えた身。 だから、結婚式までに愛した相手を忘れたいのだ。 政略結婚なので夫となる人に愛情はない。 結婚後に愛人を家に入れるといった男に愛情が湧こうはずがない。 絶望しか見えない結婚生活だ。 愛した男を思えば逃げ出したくなる。 だから、家のために嫁ぐレイアに希望はいらない。 愛した彼を忘れさせてほしい。 レイアはそう願った。 完結済。 番外アップ済。

やり直し令嬢は本当にやり直す

お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。

将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!

翠月 瑠々奈
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。 侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。 そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。 私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。 この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。 それでは次の結婚は望めない。 その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結