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サリリーナ・カジルス1
「サリリーナ嬢、ミチリーア嬢に話を聞きたい」
「はい」
カジルス伯爵も覚悟はしていたために、現れた騎士と魔術師に従った。
二人が関わっている証言はなかったために、話はカジルス伯爵邸で行われることになった。一人ずつ話を聞くことになり、本命はサリリーナであった。
ミチリーアはサリリーナの妹、モリーと同級生ということで使われたのだと考えられていた。
「サリリーナ・カジルス様ですね?」
「はい」
部屋に入って来たサリリーナは、深く頭を下げた。
「マレア・ゼアンラークについて話を聞きたい。お座りください」
「はい」
覚悟をしていたとみられるサリリーナは、驚く様子もなく返事をし、騎士と魔術師の前に座った。魔術師はコーレイド・ゼークシュラであるが、質問は騎士が行う。
「モリー・オブレオサジュール公爵令嬢に、マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢が起こした事件について、何か聞いているか?」
「いいえ、私は何も知りません。あの……一体、何をしたのでしょうか?」
「それはまだ話せません」
「そ、そうですか」
サリリーナは事件のことを聞けると考えており、そのことを聞いてからどう答えるか決めようと思っていた。
「危害を加えようとしたことについてはどう思いましたか?」
「驚きました……私は何も気付きませんでした」
「そんなことをしたとは思えないとはおっしゃられないのですね」
「い、いえ、信じられない気持ちです」
ササリーナは慌てたように、言葉を変えた。
「ゼアンラーク侯爵令嬢はそんなことをする方ではないということですか?」
「そう思っておりました」
「過去形ですか?」
「もしマレア様が罪を犯したのなら、考えを変えなくてはならないと思っています」
きっと本人も、家族にも話を聞かれるだろうことから、マレアのことは切り捨てて、自分の身を守ろうと考えるだろう。
「お二人はよく一緒におられたのでしょう?」
「一緒にはおりましたが、すべてを知っていたわけではありません」
「では、モリー・オブレオサジュール公爵令嬢については何も聞いていませんか?どう思っていたかなど、話すことはありませんでしたか?」
「話をすることはありましたが……」
「どのように話していたか教えてください」
「ですが、それは……」
いくらマレアを切り捨てるとしても、自分も止めなかったのかと言われることを危惧してなのか、下を向き、いくら待っても言葉が続かなかった。
「口籠るということは、不都合なことを話していたということですか?」
「い、いえ」
「では、お話しください」
「ですが……」
「話せないということならそれでも構いません。そのように報告をさせていただきます」
「い、いえ、話します」
サリリーナは疑われては困ると、話をする覚悟を決めた。
「マレア様はレルス殿下、レルス王太子殿下と婚約を望んでらっしゃいました」
「レルス殿下が王太子に再びなられると思ってらしたのですよね」
「はい、というよりは、マレア様の中では白紙になった後も、王太子はレルス殿下と思ってらっしゃいました。ですので、レルス殿下の婚約者になりそうな方に気にしてらっしゃいました」
マレアはリークレアのように直接言ったりはしないが、自分の立場を分からせるような素振りを取る。そして、誰かに声を掛けるときは女性の場合はサリリーナか、ミチリーアに言って来る。
侯爵令嬢が声を掛けると緊張するからと言うことだったが、モリーに声を掛けさせたり、男性には自分で声を掛ける理不尽さがあったが、指摘することはなかった。
それはゼアンラーク侯爵家から、カジルス伯爵家は援助を受けているからである。これもきっかけはマレアであった。
逆らえない関係性ではあったが、マレアといれば得られる物の方が多かった。
「はい」
カジルス伯爵も覚悟はしていたために、現れた騎士と魔術師に従った。
二人が関わっている証言はなかったために、話はカジルス伯爵邸で行われることになった。一人ずつ話を聞くことになり、本命はサリリーナであった。
ミチリーアはサリリーナの妹、モリーと同級生ということで使われたのだと考えられていた。
「サリリーナ・カジルス様ですね?」
「はい」
部屋に入って来たサリリーナは、深く頭を下げた。
「マレア・ゼアンラークについて話を聞きたい。お座りください」
「はい」
覚悟をしていたとみられるサリリーナは、驚く様子もなく返事をし、騎士と魔術師の前に座った。魔術師はコーレイド・ゼークシュラであるが、質問は騎士が行う。
「モリー・オブレオサジュール公爵令嬢に、マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢が起こした事件について、何か聞いているか?」
「いいえ、私は何も知りません。あの……一体、何をしたのでしょうか?」
「それはまだ話せません」
「そ、そうですか」
サリリーナは事件のことを聞けると考えており、そのことを聞いてからどう答えるか決めようと思っていた。
「危害を加えようとしたことについてはどう思いましたか?」
「驚きました……私は何も気付きませんでした」
「そんなことをしたとは思えないとはおっしゃられないのですね」
「い、いえ、信じられない気持ちです」
ササリーナは慌てたように、言葉を変えた。
「ゼアンラーク侯爵令嬢はそんなことをする方ではないということですか?」
「そう思っておりました」
「過去形ですか?」
「もしマレア様が罪を犯したのなら、考えを変えなくてはならないと思っています」
きっと本人も、家族にも話を聞かれるだろうことから、マレアのことは切り捨てて、自分の身を守ろうと考えるだろう。
「お二人はよく一緒におられたのでしょう?」
「一緒にはおりましたが、すべてを知っていたわけではありません」
「では、モリー・オブレオサジュール公爵令嬢については何も聞いていませんか?どう思っていたかなど、話すことはありませんでしたか?」
「話をすることはありましたが……」
「どのように話していたか教えてください」
「ですが、それは……」
いくらマレアを切り捨てるとしても、自分も止めなかったのかと言われることを危惧してなのか、下を向き、いくら待っても言葉が続かなかった。
「口籠るということは、不都合なことを話していたということですか?」
「い、いえ」
「では、お話しください」
「ですが……」
「話せないということならそれでも構いません。そのように報告をさせていただきます」
「い、いえ、話します」
サリリーナは疑われては困ると、話をする覚悟を決めた。
「マレア様はレルス殿下、レルス王太子殿下と婚約を望んでらっしゃいました」
「レルス殿下が王太子に再びなられると思ってらしたのですよね」
「はい、というよりは、マレア様の中では白紙になった後も、王太子はレルス殿下と思ってらっしゃいました。ですので、レルス殿下の婚約者になりそうな方に気にしてらっしゃいました」
マレアはリークレアのように直接言ったりはしないが、自分の立場を分からせるような素振りを取る。そして、誰かに声を掛けるときは女性の場合はサリリーナか、ミチリーアに言って来る。
侯爵令嬢が声を掛けると緊張するからと言うことだったが、モリーに声を掛けさせたり、男性には自分で声を掛ける理不尽さがあったが、指摘することはなかった。
それはゼアンラーク侯爵家から、カジルス伯爵家は援助を受けているからである。これもきっかけはマレアであった。
逆らえない関係性ではあったが、マレアといれば得られる物の方が多かった。
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