病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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サリリーナ・カジルス2

「その一人がオブレオサジュール公爵令嬢だったということですか?」
「はい、そうです」
「何かしたのですか?」
「いえ、私が知っているのはお二人がお話をしたことだけです。危害を加えるようなことはありませんでした。それはオブレオサジュール公爵令嬢の方にもお付きの方がおりましたので、証言していただけると思います」

 マレアはモリーは気の強い女性ではないと思っており、一人にして話をするつもりで、ミチリーアにそのように告げるように言っていたが、上手くいかなかった。

「どのような話ですか?」
「話はあまりできなかったと言いますか……これといった話はしていません」
「どういう意味ですか?」
「オブレオサジュール公爵令嬢の成績が上がったことを話されたくらいです」
「それは素晴らしいですねという話だったということですか?」
「そのような、感じですね」

 視線をそらしながらも、サリリーナは頷きながら答えた。

「本当にそうですか?」
「いえ、成績が上がったことで、マレア様はレルス殿下の婚約者を狙っているのではないかと思われていたと思います」

 騎士の鋭い眼光にサリリーナは、正直に話した。

「聞いたわけではないのですか?」
「いいえ、聞きました……」
「それで、牽制でもしたのですか?」
「いえ、そのようなことはしておりません」

 マレアはすべてに肩透かしという状態で、思うようにいかなかったことに酷く怒っていた。だから、強硬手段に出たのだろうか。

「では、成績のことを話しただけですか?」
「はい、そうです」
「間違いありませんか?」
「はい」
「ゼアンラーク侯爵令嬢はオブレオサジュール公爵令嬢に、何か取引を持ち掛けようとしたのではありませんか」

 サリリーナは少し体制を後ろに下げ、その言葉に唇に力を入れた。

「誕生祭でもそのような発言があったと聞いております。心当たりがあるのではありませんか」
「それは……」
「二人が話をした場にいたあなたが知らないというのは、あり得ないと思っております。ご存知ですよね?」
「それは、はい……ですが、実際には話もできていないことです」
「それでも、取引をしたかったのでしょう?詳しくは知らないということですか?」
「そうです、詳しくは……」

 サリリーナは自分の言葉で恨まれたくない気持ちもあったために、知らないとしたかった。

 レルスのことはマレアの言葉から想像できること。モリーとマレアが話した時も、オブレオサジュール公爵令嬢側もいたために、知っているのは自分だけではないために、話しても大丈夫だと思った。

 だが、取引のことはモリー側は知ることはなく、限られた人間しか知らない。

「イズカフェで、オブレオサジュール公爵令嬢とゼアンラーク侯爵令嬢が話した時、あなたで隣にいた女性はどなたでしたか?」

 問い掛けたのは、ずっと黙って聞いていたコーレイドであった。

「えっ?」
「私のあの場に護衛としていたのですよ」
「っ!」

 コーレイドは攻撃ができるわけではないので、後ろに控えていたが、それでも覚えられていたらと思ったが、気付いていなかったのだろう。

「どなたでしたか?知らないはずがありませんよね」
「ですが、何もしていません」
「誰なのかはご存知だったのですね」
「っあ、はい……魔法契約のできる魔術師です」
「はい、どなたかも調べております」

 サリリーナは魔法契約のできる魔術師だとは聞かされていたが、名前もどこの誰かまでかは知らず、そこから警戒されていたのだと実感した。

 魔術師はメイカ王国の方で、怪しい者ではなく雇われただけではあった。

「ゼアンラーク侯爵令嬢が連れて来たのですか?」
「そうです、雇ったとおっしゃっていました」
「それで、どのような魔法契約をするつもりだったのですか?」
「はい」

 覚悟を決めたサリリーナは持ち掛けようとした提案を話すことにした。

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