病める時も、健やかではない時も

野村にれ

文字の大きさ
275 / 333

ミチリーア・カジルス2

「オブレオサジュール公爵令嬢については何と言っていましたか?」
「成績のこと、お家のこと、妹さんではなかったようですけど、マキュレアリリージュさんのことを話していました。ですから成績が上がって、おそらく隠してらしたのだと思って、私は胸がすく思いでした」

 始めのおどおどした様子は何だったのかと思うほど、饒舌に語るミチリーアは随分、溜め込んでいたのだろうと感じた。

「成績のことは二人は何と話していましたか」
「カンニング、別の人が受けたなどとも言っていました。そんなはずありません」

 私見は徹底管理されているのに、馬鹿じゃないないのかと思いながらも、表情には出さずに聞いていた。

「ですが、イズカフェに誘ったのはあなたですよね?」
「はい、実際は姉が頼まれたことを、私が学園で誘うように言われたのです。申し訳ない気持ちでした。でも連れて行かないと文句を言われるので……個室に一人で来させるようにも言われていたのですけど、オブレオサジュール公爵令嬢に否定されて、後からどうして護衛や侍女を待たせなかったのかと、私のせいで上手くいかなかったと酷く怒られました」

 ミチリーアは本当に嫌だったようで、顔を歪ませながら、話し続けた。

 イズカフェでもマレアに睨まれていたが、モリーたちが帰ってから、どうして一人ではないのか、おかげで上手くいかなかった、ミチリーアのせいだと散々言われた。

 気が変わっていないか聞くようにも言われていたが、ミチリーアがおいそれと近付けるような方ではなく、話せなかったと報告すると、また叱られた。

「あの時、何の話をするかはご存知でしたか?」
「知りません。姉は知っているようでしたけど、私には教えてもらえませんでした」

 二人だけが知っていて、ミチリーアだけ知らないということはよくあったので、またかと思っていた。

「一緒にいた女性のことは?」
「魔術師だとは聞きましたが、それ以上は聞いていません。まさか傷付けるつもりなのかと思って、ドキドキしていました」
「だったら護衛も一緒で良かったですよね」
「はい、でもあの時は後で怒られるだろうことは分かっていたので、それも嫌だったのです。今となってはオブレオサジュール公爵令嬢には大変失礼なことをしました。可能なら謝罪をしたいです」

 サリリーナは直接か関わっていないのか、モリーヘ謝罪という言葉は出て来なかった。だが、ミチリーアは直接話をしたり、同級生ということもあってか、申し訳ない気持ちがあるのだろう。

「内容は今も知らないままですか?」
「はい、知りません。知りたいとも思っていません。姉は知っていると思いますので、聞き出してください」
「分かりました。オブレオサジュール公爵令嬢の魔術のことはご存知でしたか?」
「いいえ、とても驚きました。オブレオサジュール公爵令嬢は、これで魔術が使えたら完璧だと思っておりましたから」

 家のことは問題でも、マレアが蔑むようなところは何もないと思いながら、いつも話を聞いていた。

「ゼアンラーク侯爵令嬢は知っているようでしたが、どう思いましたか?」
「最初は何を言っているのだろうか、混乱して誰かと勘違いしているのではないかと思ったほどでした。でもきっと最近、知ったことだとは思います。でなければ、自分より下なんて思わないはずですから」
「下だと思っていたのですか?」
「はい、間違いなくそう思っていました。マレア様の弱点は魔術が使えないことだけだと思ってらっしゃいますから。マレア様が姉と仲が良いのも、二人が使えないからで、姉も下にいるからです」

 サリリーナは使えないが、ミチリーアは土魔法を使える。そんなこともあり、マレアに辛く当たられているのではないかと思ったこともある。

あなたにおすすめの小説

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

花嫁は忘れたい

基本二度寝
恋愛
術師のもとに訪れたレイアは愛する人を忘れたいと願った。 結婚を控えた身。 だから、結婚式までに愛した相手を忘れたいのだ。 政略結婚なので夫となる人に愛情はない。 結婚後に愛人を家に入れるといった男に愛情が湧こうはずがない。 絶望しか見えない結婚生活だ。 愛した男を思えば逃げ出したくなる。 だから、家のために嫁ぐレイアに希望はいらない。 愛した彼を忘れさせてほしい。 レイアはそう願った。 完結済。 番外アップ済。

やり直し令嬢は本当にやり直す

お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。

お姉さまは最愛の人と結ばれない。

りつ
恋愛
 ――なぜならわたしが奪うから。  正妻を追い出して伯爵家の後妻になったのがクロエの母である。愛人の娘という立場で生まれてきた自分。伯爵家の他の兄弟たちに疎まれ、毎日泣いていたクロエに手を差し伸べたのが姉のエリーヌである。彼女だけは他の人間と違ってクロエに優しくしてくれる。だからクロエは姉のために必死にいい子になろうと努力した。姉に婚約者ができた時も、心から上手くいくよう願った。けれど彼はクロエのことが好きだと言い出して――

なぜ、虐げてはいけないのですか?

碧井 汐桜香
恋愛
男爵令嬢を虐げた罪で、婚約者である第一王子に投獄された公爵令嬢。 処刑前日の彼女の獄中記。 そして、それぞれ関係者目線のお話

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。