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依頼人
「話を続けてください」
「噂を流しましょうかと言いましたら、そうではなく怪我をさせるまででは求めないけど、この女といると酷い目に遭うと思わせるような方法がいいとおっしゃいました。ですので、当て逃げはどうかと言うと、それがいいとおっしゃって、学園から帰るモリー・オブレオサジュール公爵令嬢の乗る馬車に、お金に困った男性たちを雇って、当て逃げをさせました」
ゼイフィルは何の躊躇もなく淡々と、やり取り、何をしたかを答えた。
「一度ではありませんよね?」
「はい、いつどこで行うかを聞きたがるので、お伝えしましたら、ゼアンラーク侯爵令嬢は見に行かれたようです。それで、もう一度、オブレオサジュール公爵令嬢が試験期間中に、この前よりも酷く行って欲しいという依頼を受けました」
「そんなこと知らないわ!いい加減にして頂戴!」
マレアは机を叩いても、立ち上がっても意味がないと分かったために、座ったまま大きな声を上げた。
「同じ方法で構わないというので、今度はあてるだけではなく、強くぶつかるように指示を出しました。ですが、失敗して、二人は拘束されました」
「そうですか、マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢はあなたにどうやって依頼をされたのですか」
「知り合いに聞いたとおっしゃって、事務所にやって来ました」
「お一人でですか?」
「はい、私は一対一での依頼しか受けません。そして、どこの誰かを調べた上で依頼を受けます」
ゼイフィルは一人でやって来た者以外はその時点で依頼は受けない。マレアは一人やって来て、それでも素性は明かさない様子だったが、身元の分からない者は受けられないと、調べさせてもらうことにも了承した。
「知らないわ、私じゃないわ!あなた、何なのよ!」
「契約書の指紋、調べているんですよね?」
ゼイフィルは契約書を提出しており、指紋を調べるだろうと思っていた。そこにはゼイフィルとマレアの指紋が確認できるだろうと思っていた。
「はい、マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢と契約書の指紋が一致しております」
マレアの指紋は最初の尋問の際に有無を言わせず、すべて取っていた。
「そうですか」
「っな!なっ……」
「あなた、もう詰んでいるんですよ。認めて、罪を償いましょう」
ゼイフィルはマレアと目を合わせなかったが、最後に見つめて告げた。
「っな!知らないわ」
「戻られて結構です」
ゼイフィルは小さく頭を下げて戻って行き、マレアはそれでも認めるわけにはいかないと思っていた。
「証拠は揃っているんですよ」
「私は嵌められたんです!あんな男知りません」
「ではどうして指紋が一致したのですか?」
「それは、知らないわ」
指紋についてはまたマレアの詰めの甘さから、何も考えていなかった。
「双子でも指紋は一致しません。マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢だけのものです」
「魔術で行ったのかもしれませんわ」
「ならば、それを証明してください」
顔を変えることは一時的に魔術でできるが、マレアの指紋を誰かの指紋と変えることなど聞いたことがなかった。
「っな!どうして私が!」
「裁判になるかは、あなたの態度によってということになっています」
「裁判……」
「はい、公開裁判になれば、多くの方の前であなたの罪が公になります。ですが、あなたが罪を認め、反省する態度を見せれば、裁判にはならないかもしれません。今日はこれで終わりますが、よく考えてください」
マレアは貴族牢に戻り、今日のことをよく考えることにした。
さすがにこのままでは裁判になってしまうと危機感を持つようになったが、ゼアンラーク侯爵令嬢が認めるわけにはいかないと考えた。
翌日の尋問で、マレアは驚くことを言い出した。
「ミチリーア・カジルスに嵌められたのです」
「はい?」
「噂を流しましょうかと言いましたら、そうではなく怪我をさせるまででは求めないけど、この女といると酷い目に遭うと思わせるような方法がいいとおっしゃいました。ですので、当て逃げはどうかと言うと、それがいいとおっしゃって、学園から帰るモリー・オブレオサジュール公爵令嬢の乗る馬車に、お金に困った男性たちを雇って、当て逃げをさせました」
ゼイフィルは何の躊躇もなく淡々と、やり取り、何をしたかを答えた。
「一度ではありませんよね?」
「はい、いつどこで行うかを聞きたがるので、お伝えしましたら、ゼアンラーク侯爵令嬢は見に行かれたようです。それで、もう一度、オブレオサジュール公爵令嬢が試験期間中に、この前よりも酷く行って欲しいという依頼を受けました」
「そんなこと知らないわ!いい加減にして頂戴!」
マレアは机を叩いても、立ち上がっても意味がないと分かったために、座ったまま大きな声を上げた。
「同じ方法で構わないというので、今度はあてるだけではなく、強くぶつかるように指示を出しました。ですが、失敗して、二人は拘束されました」
「そうですか、マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢はあなたにどうやって依頼をされたのですか」
「知り合いに聞いたとおっしゃって、事務所にやって来ました」
「お一人でですか?」
「はい、私は一対一での依頼しか受けません。そして、どこの誰かを調べた上で依頼を受けます」
ゼイフィルは一人でやって来た者以外はその時点で依頼は受けない。マレアは一人やって来て、それでも素性は明かさない様子だったが、身元の分からない者は受けられないと、調べさせてもらうことにも了承した。
「知らないわ、私じゃないわ!あなた、何なのよ!」
「契約書の指紋、調べているんですよね?」
ゼイフィルは契約書を提出しており、指紋を調べるだろうと思っていた。そこにはゼイフィルとマレアの指紋が確認できるだろうと思っていた。
「はい、マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢と契約書の指紋が一致しております」
マレアの指紋は最初の尋問の際に有無を言わせず、すべて取っていた。
「そうですか」
「っな!なっ……」
「あなた、もう詰んでいるんですよ。認めて、罪を償いましょう」
ゼイフィルはマレアと目を合わせなかったが、最後に見つめて告げた。
「っな!知らないわ」
「戻られて結構です」
ゼイフィルは小さく頭を下げて戻って行き、マレアはそれでも認めるわけにはいかないと思っていた。
「証拠は揃っているんですよ」
「私は嵌められたんです!あんな男知りません」
「ではどうして指紋が一致したのですか?」
「それは、知らないわ」
指紋についてはまたマレアの詰めの甘さから、何も考えていなかった。
「双子でも指紋は一致しません。マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢だけのものです」
「魔術で行ったのかもしれませんわ」
「ならば、それを証明してください」
顔を変えることは一時的に魔術でできるが、マレアの指紋を誰かの指紋と変えることなど聞いたことがなかった。
「っな!どうして私が!」
「裁判になるかは、あなたの態度によってということになっています」
「裁判……」
「はい、公開裁判になれば、多くの方の前であなたの罪が公になります。ですが、あなたが罪を認め、反省する態度を見せれば、裁判にはならないかもしれません。今日はこれで終わりますが、よく考えてください」
マレアは貴族牢に戻り、今日のことをよく考えることにした。
さすがにこのままでは裁判になってしまうと危機感を持つようになったが、ゼアンラーク侯爵令嬢が認めるわけにはいかないと考えた。
翌日の尋問で、マレアは驚くことを言い出した。
「ミチリーア・カジルスに嵌められたのです」
「はい?」
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