病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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 マレアの腰には縄が付けられており、その姿にハーミラも現実を受け止め、最後の母子の時間を大切にしようと考えることにした。

「最後だなんて」
「乗りなさい」

 騎士とゼアンラーク侯爵家の護衛と共に、修道院に出発した。

 馬車は外から鍵が掛けられ、マレアの腰の縄を馬車に固定されてはいるが、ハーミラと二人きりの空間であった。

 もはやマレアの罪はハーミラに何か言っても覆せるものではなく、二人の間でどのような話が繰り広げられても、行き先が変わることではない。

 ゼアンラーク侯爵家の騎士も申し訳ない気持ちから、オリルが申し出たことで、マレアを逃がそうと考える者はいない。

「お母様、本当に冤罪なの」
「でも証拠が揃っているわ」
「そんなの私を陥れるために誰かがやったのよ」

 マレアはいつも話を聞いてくれていたハーミラなら信じてくれると思い訴え掛けたが、ハーミラもオリルに話を聞いていた。

 証拠のことを言われて、サインと指紋まであるのなら依頼したのだと受け止めるしかなかった。

「そうだとするならば、その犯人は誰なの?」
「そんなの私は分からないわ」
「それなら、証明はできないと言われたでしょう?」
「でも、探し出してよ」

 適当な人間を仕立て上げればいい、侯爵令嬢の役に立てるのなら、進んでやるべきだろうと傲慢な考えしかもっていない。

 その性格を見抜いていたからこそ、詳細は内部に留めていたのである。

「探し出した結果があなたなのでしょう?どうしてミチリーアのためになんて言ったの?」
「そうよ、ミチリーアのせいなのよ」
「それは私でもないと分かるわ」

 さすがにマレアがミチリーアのために動くとは、ハーミラでも思わなかった。

「そんなことないわ」
「いいえ、もしも依頼したのがミチリーアで、あなたが命令したというのなら納得できるけど、逆はないでしょう」

 ハーミラも注意をすることはなかったが、サリリーナは友人だと思っていたのかもしれないが、ミチリーアにはきつく当たっていた。

「そんなこと……」

 マレアも誰かにやらせようと考えたが、断られてバラされたら困ると考えたのである。だからこそ、ゼイフィルには自分で依頼をした。

 ゼイフィルは失敗することはないと聞き、それは噂を流したり、人探しや浮気調査のことであったが、優秀な何でも屋であった。

 一対一の依頼しか受けないことも信頼できる点だったが、こちらの身元まで明かさなければならないのは不満だったが、仕方ないと考えた。

 契約書はもらったが、すぐに燃やした。

 そして一回目が上手くいったことで調子に乗り、もっとと思ってしまった。

「どうしてオブレオサジュール公爵令嬢を狙うなんて、確かにレルス殿下のお相手には選ばれていたのは間違いではなかったけど、こんなことになるなんて、貴族令嬢なら諦めることも大事だと教えるべきだったわね」

 ハーミラも一切認めようとしないことは聞いていたために、認めさせるのは諦めて話を進めることにした。

「私だって治癒術があれば選ばれていたわ」
「そうかもしれないわね」

 確かにマレアに治癒術が使えれば、もしかしたら選ばれていたかもしれないが、そんなたらればを言っても何かが変わるわけではない。

「そんなのずるいじゃない」
「そうね。皆が持っていないものだから、ずるいと言ってもいいことかもしれないわ。でもあなたは持っていない。というよりは多くの方が持っていないものよ。あなただけが特別ではないわ、子どもではないのだから分かるでしょう?」

 まだ多くの方が持っていて、マレアが持っていないというのなら理解もできるが、魔術を使える方も限られて、治癒師などモリーが注目を集めたようにプレメルラ王国には僅かしかいない。

「私にその力があれば」

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