病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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 カリーナは社交界から遠ざかっているが、飛び越えてモリーが中心になればオブレオサジュール公爵家を見る目も変わっていくだろう。

「そんな彼女に統率力なんてないわ」
「特別な存在なのだから、なくてもいいのよ」
「そんなのおかしいわ」

 ハーミラはマレアに一日目ですっかり疲れたが、それでも最後なのだから着くまでには理解して、少しでも受け入れてくれることを期待して話に付き合い続けた。

 だが、マレアは何も認めず、自分の都合のいいことばかりであった。

「まずは貴族令嬢に戻して、それで時期を見てゼアンラーク侯爵家に戻してくれたらいいわ」
「何を言っても変わらないのよ、いい加減認めてちょうだい」
「そんなことないわ、私は認めていないのだから間違いだったって分かるわ」
「証拠があるのよ」
「私は認めていないわ」

 マレアの人を非難し、自分のせいではないと言い張る姿に、ハーミラもこれは反省などできないまま辿り着くのではないかと思い始めていた。

「ボノムドネージュ修道院ってこんなに遠いの?」

 いよいよ、マレアもなかなか辿り着かないことに気付いた。それはどんどん王都を離れていることを意味していた。

「そうよ、逃げ出そうとしたら死ぬわよ」
「えっ?ど、どうして……」
「雪が多いの、周りも王都のように整備されていないわ。あなたのよう何でもしてもらっていた人間は逃げても絶対に生きていけないわよ」
「そんな!お母様、そんなところに私が行くことにおかしいと思わないの」
「それほどのことをしたのよ!」

 ボノムドネージュ修道院までは、夜は修道院や教会で寝泊まりをしながら向かっていた。

 マレアはこんなところに泊まれないと騒いだが、これも修道院に早くに慣れてもらうためで、ハーミラも根っからの貴族であるためにそのような場所に泊まったことはなかったが付き合った。

 毎夜泊まることで仕方なく、マレアも従うようになっていたが、本当はハーミラに手応えがないことから、このままでは本当にボノムドネージュ修道院に着いてしまうと思い、逃げ出そうと企んでいた。

 王都から離れていく恐怖から早く逃げ出せそうな場所を狙い、とりあえず逃げ出して、助けを求めようと考えていた。

 お金も持っていないのにと考えるのだが、いつもお金は侍女に持たせていたために、何をするにもお金が必要であることにも気付いていなかった。

 こんな時でも妙な行動力はあるのに、詰めの甘さを発揮していた。

 王都を出て三日目に泊まった教会でお手洗いに行くと、離れた場所に設置されており、裏口にも押せば開きそうな扉があった。腰ひもは外され、女性騎士が見張っていたが、マレアは急に走り出し、扉に体当たりをして外に飛び出した。

 外に出ると庭だったが、その奥は森だったが、そのまま入っていった。

 女性騎士はすぐに追いつけると思ったが、マレアは思った以上の速さで走って行き、外にいた騎士にも応援を頼んで追い掛けた。

 そのことはハーミラにも知らされて、ゼアンラーク侯爵家の騎士たちに探すように命じ、何てことをするのかと呆れを通り越して、マレアを産むのではなかったとすら思っていた。

 ようやくマレアの姿が見付かったが、暗闇で痛い痛いと叫んでいた。

 ランプを持った騎士がやって来ると、マレアは獣の脚を挟んで捕獲する罠が足に食い込み、暴れたことで出血を起こしていた。

 ハーミラにも見付かったが怪我をしたことが知らされ、駆け付けると罠はどうにか取り除くことはできたが、足も折れているかもしれない状況であった。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日も1日2話、投稿いたします。
次は17時です。

どうぞよろしくお願いいたします。

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