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王族8
「オルトを嫌がっていたのも、そのことが原因か?」
「はい、三回目の最後に見たのもオルト殿下でした」
「最後が?」
レルスも嫌な予感と共に驚いたが、エリーもどういうことなのかと、モリーに向かって身を乗り出した。
「あの日は事故が起きて魔力を多く使いまして、それで教会に戻ると、オルト殿下に手伝いに行くように言われて、途中で魔力切れになってしまい、怒鳴られて婚約を白紙にすると言われたのです。それから、おそらく倒れたのだと思います」
「何だ、それは」
「酷いというか、最低じゃない」
「だが、確かに不調は魔力切れだったな……オルトのせいだったのか……」
レルスはオルトがモリーと婚約していたショックではなく、弟の行った仕打ちに頭を抱えた。
「オルト殿下は王太子になりたかったのです。婚約者の私が使えると分かれば、自分の優秀さを相まって王太子に相応しいと思われると、だからちゃんとやれと毎日言われておりました」
「お兄様の言いそうなことだわ」
「王太子になれないのは私のせいだとも言われました……」
「ふざけているな」
レルスもエリーも怒りをあらわにしており、どうにもならない話だが、助け出したかったと思わずにはいられなかった。
「妹である私が言っていいことではありませんが、よくモリー様は耐えてらっしゃいましたね」
「二回目も三回目も我慢することには慣れていたので……」
レルスとエリーの表情がさらに曇ったために、モリーは焦った。
「ですので、今回は何もしなかったのです。勉強もできない、魔術も使えない、家にも問題がある。そうなれば、関わることはないだろうという思惑もありました」
モリーはカリーナが社交をしないことで、姿を現すこともなく、学園は仕方ないが無能だと思わせればオルトにもケリーにも目を付けられないと考えた。
「私もオルト殿下には調子に乗るなよ、いつまでいるんだ?早く帰ればいいのになどと言われたことがございます」
「レオーラ殿下にまで、申し訳ございません」
「いいえ、もう終わったことですから」
それでもモリーもレオーラもオルトとは関わりたくはない気持ちは一致していた。
「イルメザ王国についても情報源はレオーラ様です」
そうだったのではないかと思っていたレルスとエリーは頷いた。
「オルト殿下は年上の分かり易い見た目が、女性らしい身体つきの華やかな女性を好んでおりましたから」
「やっぱり!」
呆れるようにエリーは何度も頷いた。
「いくらオルト殿下に思うところがあっても、さすがにあの三姉妹はいけません」
「おそらくメイカ王国はイルメザ王国を評価をグッと下げたと思います」
「そうでしたか、結ばれたとは思いませんが、助かりました」
「いいえ、私も治癒術を望んだので、人のことは言えませんが……やり過ぎたのだと思います。おそらく、ジュリエッタ王女殿下は私のおかげだと思われたかったのでしょうね」
ジュリエッタは姉たちに馬鹿にされることもあり、いいところを見せて勝ちたい気持ちがどんどん過激になっていったと聞いていた。
なぜ知っているかはメイカ王国からも血縁証明の依頼があり、援助を受けているからである。
「我が国はEP71に関してはいつも運が良かっただけで、流行り病はいつ起こってもおかしくなかったのですから、冷静になりませんと」
エリーもモリーがパークスラ王国で蔓延を防いだことを両親から聞いていた。治癒術を見た後だったためにさすがモリーだという気持ちしかなかった。
「私はエリーもだが、オルトの婚約者は知らないんだよな」
「ええ、私もそこは知りませんから、きちんとした方をと思っております」
レルスもエリーもオルトの婚約者はおろか、エリーも王家が大変になったことで、婚約者の話など進んだこともなかった。
「はい、三回目の最後に見たのもオルト殿下でした」
「最後が?」
レルスも嫌な予感と共に驚いたが、エリーもどういうことなのかと、モリーに向かって身を乗り出した。
「あの日は事故が起きて魔力を多く使いまして、それで教会に戻ると、オルト殿下に手伝いに行くように言われて、途中で魔力切れになってしまい、怒鳴られて婚約を白紙にすると言われたのです。それから、おそらく倒れたのだと思います」
「何だ、それは」
「酷いというか、最低じゃない」
「だが、確かに不調は魔力切れだったな……オルトのせいだったのか……」
レルスはオルトがモリーと婚約していたショックではなく、弟の行った仕打ちに頭を抱えた。
「オルト殿下は王太子になりたかったのです。婚約者の私が使えると分かれば、自分の優秀さを相まって王太子に相応しいと思われると、だからちゃんとやれと毎日言われておりました」
「お兄様の言いそうなことだわ」
「王太子になれないのは私のせいだとも言われました……」
「ふざけているな」
レルスもエリーも怒りをあらわにしており、どうにもならない話だが、助け出したかったと思わずにはいられなかった。
「妹である私が言っていいことではありませんが、よくモリー様は耐えてらっしゃいましたね」
「二回目も三回目も我慢することには慣れていたので……」
レルスとエリーの表情がさらに曇ったために、モリーは焦った。
「ですので、今回は何もしなかったのです。勉強もできない、魔術も使えない、家にも問題がある。そうなれば、関わることはないだろうという思惑もありました」
モリーはカリーナが社交をしないことで、姿を現すこともなく、学園は仕方ないが無能だと思わせればオルトにもケリーにも目を付けられないと考えた。
「私もオルト殿下には調子に乗るなよ、いつまでいるんだ?早く帰ればいいのになどと言われたことがございます」
「レオーラ殿下にまで、申し訳ございません」
「いいえ、もう終わったことですから」
それでもモリーもレオーラもオルトとは関わりたくはない気持ちは一致していた。
「イルメザ王国についても情報源はレオーラ様です」
そうだったのではないかと思っていたレルスとエリーは頷いた。
「オルト殿下は年上の分かり易い見た目が、女性らしい身体つきの華やかな女性を好んでおりましたから」
「やっぱり!」
呆れるようにエリーは何度も頷いた。
「いくらオルト殿下に思うところがあっても、さすがにあの三姉妹はいけません」
「おそらくメイカ王国はイルメザ王国を評価をグッと下げたと思います」
「そうでしたか、結ばれたとは思いませんが、助かりました」
「いいえ、私も治癒術を望んだので、人のことは言えませんが……やり過ぎたのだと思います。おそらく、ジュリエッタ王女殿下は私のおかげだと思われたかったのでしょうね」
ジュリエッタは姉たちに馬鹿にされることもあり、いいところを見せて勝ちたい気持ちがどんどん過激になっていったと聞いていた。
なぜ知っているかはメイカ王国からも血縁証明の依頼があり、援助を受けているからである。
「我が国はEP71に関してはいつも運が良かっただけで、流行り病はいつ起こってもおかしくなかったのですから、冷静になりませんと」
エリーもモリーがパークスラ王国で蔓延を防いだことを両親から聞いていた。治癒術を見た後だったためにさすがモリーだという気持ちしかなかった。
「私はエリーもだが、オルトの婚約者は知らないんだよな」
「ええ、私もそこは知りませんから、きちんとした方をと思っております」
レルスもエリーもオルトの婚約者はおろか、エリーも王家が大変になったことで、婚約者の話など進んだこともなかった。
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