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マキュレアリリージュ・ポレモス9
「すぐにお支払いいたします」
「そうですか。期限まで支払われない場合は進級できませんので、よろしくお願いいたします」
「分かりました」
マキュレアリリージュはずっと澄ました顔をしていたが、コアナが払えないと言い出さなくて良かったとは思った。
「ここからはマキュレアリリージュ・ポレモスさんがモリー・オブレオサジュール公爵令嬢を怪我をさせた件について移ります」
「っえ、怪我?」
学園長が話を始め、コアナはそんなことは聞いておらず驚いたが、マキュレアリリージュならやり兼ねないために意図的に言わなかったことに気付いた。
「マキュレ、どういうことなの!」
「それはたいした怪我ではないでしょう!」
「それを決めるのはポレモスさんではありません」
厳しい面構えの学園長が強い口調でピシャリと言い放ち、マキュレアリリージュもビクリとして黙った。
「ポレモスさんはオブレオサジュール公爵令嬢に掴み掛ろうとして、爪を引っ掛け、手を怪我させました。よって、
オブレオサジュール公爵家から苦情が届いております」
「っえ……」
ブレフォスに訴えると言われていたことから、コアナはどうしたらいいのかと真っ青になった。
「わざとではないわ」
「ですが、あなたが押し掛け、掴み掛かろうとしなければ起きなかったことです」
すべての起点はマキュレアリリージュで、彼女が何もしなければ起きなかったことである。
「オブレオサジュール公爵様から、コアナ・ポレモス及びマキュレアリリージュ・ポレモスは、モリー・オブレオサジュール、ロレイン・オブレオサジュールに二度と近付かない。もし守るということであれば、今回は慰謝料の請求はしない。ただし、一度でも声を掛けたり触れたりした時点で慰謝料の請求を行う」
「近付きません!」
コアナは邸には行っておらず、マキュレアリリージュがしたことだったおかげか、何とか踏み止まったと即了承した。
「お母様!」
「あなたに慰謝料が支払えるの?」
「そんなの払う必要はないわ」
「いい加減にしなさい!学園も辞めて、まともではない仕事に就くことになるわよ!それでいいの?」
「でも」
「そんな仕事に就きたいのなら近付けばいいわ!私は支払いませんからね。私は必ず守りますので、どうかお願いいたします」
支払わなくて済むならコアナは、マキュレアリリージュのことまで考えていられなかった。
「こちらが契約書で、お二人別々にサインをしていただきます」
ブレフォスは契約書などは書かせていなかったが、公に発表したこと。詐欺師相手に契約もないだろうと言う判断であった。だが、モリーとロレインに関してはきちんと用意をすることにした。
「はい、すぐにサインいたします」
覚悟を決めつつあったコアナはすぐにサインを行った。
「あなたはどうしますか?」
「サインせずに近付いたらどうなるのですか?」
コアナもさすがに何を言っているのかと、マキュレアリリージュを見たが冗談ではない表情に呆れて声が出なかった。
「まずはサインをしないことで、今回の慰謝料が請求されるでしょう。そして、また近付いたことで、オブレオサジュール公爵様から苦情が入るでしょう」
「また慰謝料を払うということですか?」
「というよりはですね、この件について苦情はオブレオサジュール公爵家だけではありません」
貴族ならすぐに後ろに何が控えているのか分かるのだが、マキュレアリリージュは全くピンと来ていなかった。
「なので、慰謝料では済まないことになります」
「どういう意味ですか?」
「王家からもレルス王子殿下の婚約者が傷付けられたことで、ポレモスさんに苦情が入っております」
「王家……」
コアナは関わったこともない存在に上手く息が吸えなくなり、口を押さえてようやく息を整えた。
「そうですか。期限まで支払われない場合は進級できませんので、よろしくお願いいたします」
「分かりました」
マキュレアリリージュはずっと澄ました顔をしていたが、コアナが払えないと言い出さなくて良かったとは思った。
「ここからはマキュレアリリージュ・ポレモスさんがモリー・オブレオサジュール公爵令嬢を怪我をさせた件について移ります」
「っえ、怪我?」
学園長が話を始め、コアナはそんなことは聞いておらず驚いたが、マキュレアリリージュならやり兼ねないために意図的に言わなかったことに気付いた。
「マキュレ、どういうことなの!」
「それはたいした怪我ではないでしょう!」
「それを決めるのはポレモスさんではありません」
厳しい面構えの学園長が強い口調でピシャリと言い放ち、マキュレアリリージュもビクリとして黙った。
「ポレモスさんはオブレオサジュール公爵令嬢に掴み掛ろうとして、爪を引っ掛け、手を怪我させました。よって、
オブレオサジュール公爵家から苦情が届いております」
「っえ……」
ブレフォスに訴えると言われていたことから、コアナはどうしたらいいのかと真っ青になった。
「わざとではないわ」
「ですが、あなたが押し掛け、掴み掛かろうとしなければ起きなかったことです」
すべての起点はマキュレアリリージュで、彼女が何もしなければ起きなかったことである。
「オブレオサジュール公爵様から、コアナ・ポレモス及びマキュレアリリージュ・ポレモスは、モリー・オブレオサジュール、ロレイン・オブレオサジュールに二度と近付かない。もし守るということであれば、今回は慰謝料の請求はしない。ただし、一度でも声を掛けたり触れたりした時点で慰謝料の請求を行う」
「近付きません!」
コアナは邸には行っておらず、マキュレアリリージュがしたことだったおかげか、何とか踏み止まったと即了承した。
「お母様!」
「あなたに慰謝料が支払えるの?」
「そんなの払う必要はないわ」
「いい加減にしなさい!学園も辞めて、まともではない仕事に就くことになるわよ!それでいいの?」
「でも」
「そんな仕事に就きたいのなら近付けばいいわ!私は支払いませんからね。私は必ず守りますので、どうかお願いいたします」
支払わなくて済むならコアナは、マキュレアリリージュのことまで考えていられなかった。
「こちらが契約書で、お二人別々にサインをしていただきます」
ブレフォスは契約書などは書かせていなかったが、公に発表したこと。詐欺師相手に契約もないだろうと言う判断であった。だが、モリーとロレインに関してはきちんと用意をすることにした。
「はい、すぐにサインいたします」
覚悟を決めつつあったコアナはすぐにサインを行った。
「あなたはどうしますか?」
「サインせずに近付いたらどうなるのですか?」
コアナもさすがに何を言っているのかと、マキュレアリリージュを見たが冗談ではない表情に呆れて声が出なかった。
「まずはサインをしないことで、今回の慰謝料が請求されるでしょう。そして、また近付いたことで、オブレオサジュール公爵様から苦情が入るでしょう」
「また慰謝料を払うということですか?」
「というよりはですね、この件について苦情はオブレオサジュール公爵家だけではありません」
貴族ならすぐに後ろに何が控えているのか分かるのだが、マキュレアリリージュは全くピンと来ていなかった。
「なので、慰謝料では済まないことになります」
「どういう意味ですか?」
「王家からもレルス王子殿下の婚約者が傷付けられたことで、ポレモスさんに苦情が入っております」
「王家……」
コアナは関わったこともない存在に上手く息が吸えなくなり、口を押さえてようやく息を整えた。
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