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オーリン・ツーラン2
「申し訳ないけど、私としてはエルソンがいなくなって環境は良くなったわ。だから、もういいとは思っているのよ」
「当然のことです。私も気付かなかったことを後悔しています」
「自覚があってやっていたのだから、気付くのは難しかったと思うわ」
「申し訳ございません……」
オーリンは顔を顰めて頭を下げるしかなかったが、モリーの言葉にもっともだと思った。エルソンは自覚があった、だから隠していたのだろう。
モリーも今回は露呈したが、もしかしたら二回目と三回目でも何か起こしていたのかもしれない。だが、エルソンのことは知ることは難しいことも分かっていた。
「申し訳ございません。マキュレアリリージュがブレフォス様の子どもではなかったことに驚いておりました」
「そうなるわよね」
愛されていると、肩入れをしていたかもしれない相手が、まさか他人だったとは思わなかっただろう。今はオブレオサジュール公爵家から外されているが、これが二回目だったら、エルソンはどんな顔をしていたのか見てみたかったほどである。
そして、モリーは見ていないが、話を聞く限りは自分が亡くなってブレフォスの怒りを見て、エルソンはどう思ったのだろうか。マキュレアリリージュがいるからいいと喜んだのか、ようやく自分が間違ったと思ったのか。
「はい。言葉にすることも心苦しいですが、エルソンは何か特別なものを持っていないと価値がない。勝手に人と比べたりするような人間でした」
「そう……」
それなら成績も悪く、魔術の使えないモリーは見下す相手だっただろう。
だが、二回目は成績は良かった、三回目は治癒術が使えた、だがエルソンの態度は変わらなかった。だが、それをオーリンに伝えることはできない。
「それなら私は隠していましたからね……エルソンにとってはオブレオサジュール公爵家に相応しくないと思ったのでしょう」
「それでもそのような考えを持つことではありません!私も聞きながら、ふざけるなという思いでした」
「成績が良くて、治癒術が使えても、何か落ち度を探すかもしれないしね」
「っ、はい……」
オーリンはそんなことはないとは言えなかった。そしてモリーにはエルソンはそのような人間だと思っていた。
エルソンが家族を乱した原因であるかもしれないが、今回については王家を巻き込んでしまったことで、モリーにはいい環境になった。
二回目と三回目は気付かなかったのではなく、オブレオサジュール公爵家の中でのことだったために、モリーが声を上げれば違ったのかもしれない。
それでも謝罪は要らないと言ったのは、エルソンを前にしても二回目と三回目のことは覚えていないのだから、消化不良のままだと思ったからでもあった。
「今さらですが、反省をしており、ちゃんと理解をしております。ツーラン子爵家を継ぐこともありません。謝罪もしておりました」
「そう」
王家とオブレオサジュール公爵家で問題を起こした人間は、やはり後継者にはしないのかとは思ったが、それについてはモリーが口を出すことではない。
「モリー様にとって父親の私がいることも不愉快だったと思います」
「それはないわ、親子でも別の人間でしょう?お母様を見たらよく分かるじゃない。私のことなんて何も考えていないわ」
オーリンもカリーナがモリーのことを考えてもいないことは、なぜそうなったのか分からないままだが、否定できなかった。
「オーリンとエルソンは家族でも別の人間でしょう?でないと、私は両親の責任を取らないといけなくなるわ」
「それはそうですが……私は親としても執事としても責任がございます」
オーリンはエルソンの話を聞いて、すぐには辞することはできなくとも、何か責任を取らなくてはならないと考えていた。
「当然のことです。私も気付かなかったことを後悔しています」
「自覚があってやっていたのだから、気付くのは難しかったと思うわ」
「申し訳ございません……」
オーリンは顔を顰めて頭を下げるしかなかったが、モリーの言葉にもっともだと思った。エルソンは自覚があった、だから隠していたのだろう。
モリーも今回は露呈したが、もしかしたら二回目と三回目でも何か起こしていたのかもしれない。だが、エルソンのことは知ることは難しいことも分かっていた。
「申し訳ございません。マキュレアリリージュがブレフォス様の子どもではなかったことに驚いておりました」
「そうなるわよね」
愛されていると、肩入れをしていたかもしれない相手が、まさか他人だったとは思わなかっただろう。今はオブレオサジュール公爵家から外されているが、これが二回目だったら、エルソンはどんな顔をしていたのか見てみたかったほどである。
そして、モリーは見ていないが、話を聞く限りは自分が亡くなってブレフォスの怒りを見て、エルソンはどう思ったのだろうか。マキュレアリリージュがいるからいいと喜んだのか、ようやく自分が間違ったと思ったのか。
「はい。言葉にすることも心苦しいですが、エルソンは何か特別なものを持っていないと価値がない。勝手に人と比べたりするような人間でした」
「そう……」
それなら成績も悪く、魔術の使えないモリーは見下す相手だっただろう。
だが、二回目は成績は良かった、三回目は治癒術が使えた、だがエルソンの態度は変わらなかった。だが、それをオーリンに伝えることはできない。
「それなら私は隠していましたからね……エルソンにとってはオブレオサジュール公爵家に相応しくないと思ったのでしょう」
「それでもそのような考えを持つことではありません!私も聞きながら、ふざけるなという思いでした」
「成績が良くて、治癒術が使えても、何か落ち度を探すかもしれないしね」
「っ、はい……」
オーリンはそんなことはないとは言えなかった。そしてモリーにはエルソンはそのような人間だと思っていた。
エルソンが家族を乱した原因であるかもしれないが、今回については王家を巻き込んでしまったことで、モリーにはいい環境になった。
二回目と三回目は気付かなかったのではなく、オブレオサジュール公爵家の中でのことだったために、モリーが声を上げれば違ったのかもしれない。
それでも謝罪は要らないと言ったのは、エルソンを前にしても二回目と三回目のことは覚えていないのだから、消化不良のままだと思ったからでもあった。
「今さらですが、反省をしており、ちゃんと理解をしております。ツーラン子爵家を継ぐこともありません。謝罪もしておりました」
「そう」
王家とオブレオサジュール公爵家で問題を起こした人間は、やはり後継者にはしないのかとは思ったが、それについてはモリーが口を出すことではない。
「モリー様にとって父親の私がいることも不愉快だったと思います」
「それはないわ、親子でも別の人間でしょう?お母様を見たらよく分かるじゃない。私のことなんて何も考えていないわ」
オーリンもカリーナがモリーのことを考えてもいないことは、なぜそうなったのか分からないままだが、否定できなかった。
「オーリンとエルソンは家族でも別の人間でしょう?でないと、私は両親の責任を取らないといけなくなるわ」
「それはそうですが……私は親としても執事としても責任がございます」
オーリンはエルソンの話を聞いて、すぐには辞することはできなくとも、何か責任を取らなくてはならないと考えていた。
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