病める時も、健やかではない時も

野村にれ

文字の大きさ
5 / 369

矛盾

 二度目に巻き戻った時は、どうしてマキュレアリリージュの方を信じたのかと考えた。愛人の娘の方が、信じて貰える存在だとする理由があるのか。

 正妻の子の方が、優遇されていると思われているのか。

 だが、マキュレアリリージュは、私はブレフォスにとても愛されていると、周りにも言っていたはずである。それなのに、譲るというのは矛盾がある。

 ブレフォスに譲れと言われたとでも言うのか?愛されているのに?

 冷静になれば、そう考えられた。だが、どちらにしろ証拠など出せない。私は信用されない人間だったと、答えを出すしかなかった。

 マキュレアリリージュは、始めから公爵邸でも学園でも、奔放に振舞っていた。態度を改めなかったのは、父が許していたのだろう。

 一度目に関して、よく分からないまま、終えていた。二度目は全く違う行動を取ったために、モリーの抜けた一度目のことは知らない。

 だが、今回のモリーは何もしないと誓っている。

 利用するものがないのに、利用が出来るのか、楽しみである。

 そして、モリーは12歳になり、オブレオサジュール邸はカリーナがロレインに付きっきりとなり、コアナとマキュレアリリージュは、本邸には入れなくなったのか、入ろうとする姿すら見ることはなくなった。

 出掛ける際に、時折、見掛けることがあるくらいである。

 モリーには中等部に通う前に、侍女が付くことになった。とは言っても、まだ高等部の学生であり、モリーと入れ替わりになるために、卒業までは週末だけである。

 だが、モリーにとって、待ちに待った日だった。

「ペイリー・フシュナと申します」
「ペイリー」
「はい、よろしくお願いいたします」
「ええ、よろしくね」
「はい!頑張ります」

 フシュナ伯爵家の四女で、目鼻立ちがハッキリしており、黙っていると、怖いと言われることを気にして、最初はモリーの前では頑張って表情筋を動かしていた。

 その姿はまた見れて、モリーは温かい気持ちになった。

 侍女の時はきっちりと髪を纏めているが、下ろしてドレスを着せれば、とても妖艶な美しい令嬢になる。モリーの唯一と言っていい、自慢の美しい侍女であった。

 一度目も二度目も、ペイリーだけは側にいてくれた。どんどん周りからいなくなる中、彼女も伯爵家からは何か言われていたのだと思うが、一度任された仕事を放り出すことはことは出来ないと言って、絶対に離れなかった。

 二度目も、そして三度目も戻って来て、良かったと思えた瞬間であった。

 二人は一度目と二度目と同じように仲を深め、ペイリーが学園を卒業し、モリーが王立学園中等部に入学した。

 初等部から学ぶ者もいるが、高位貴族は家庭教師を雇っている者が多く、中等部から入学することが基本となっている。

 そして、王立と掲げながら、王家の子どもは警備の面から高等部のみ希望があれば、通うことになっている。

 中等部から学園に通う理由は、知識は当然のこと、社会性や道徳性を学ぶことと、最大の初等部との違いは魔術の授業である。

 プレメルラ王国には、魔力があるかないかという違いがある。先天的に持つもので、後天的に現れることは稀である。

 皆が持っているわけではなく、現在は人口の3割程度と言われており、持っていない方が多い。

 だが、割合を見て分かるように、持っていないことで迫害を受けることもなければ、持っていることで気味悪がられることもない。

 平民の方が人口は多いのに、魔力を持つのは貴族の方が多いために、血筋が関係していると言われているが、魔力を持っている両親から、魔力を持っていない子どもが生まれることも珍しいことではない。

 そして、わざわざ平民は王立学園に通うことはまずないが、魔力を持つ者だけは魔術を学ぶために、王立学園に通う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本日もお読みいただきありがとうございます。

本日も説明が多い部分もあるので、
1日2話、投稿いたします。
次は17時です。

どうぞよろしくお願いいたします。

あなたにおすすめの小説

赤毛の伯爵令嬢

もも野はち助
恋愛
【あらすじ】 幼少期、妹と同じ美しいプラチナブロンドだった伯爵令嬢のクレア。 しかし10歳頃から急に癖のある赤毛になってしまう。逆に美しいプラチナブロンドのまま自由奔放に育った妹ティアラは、その美貌で周囲を魅了していた。いつしかクレアの婚約者でもあるイアルでさえ、妹に好意を抱いている事を知ったクレアは、彼の為に婚約解消を考える様になる。そんな時、妹のもとに曰く付きの公爵から婚約を仄めかすような面会希望の話がやってくる。噂を鵜呑みにし嫌がる妹と、妹を公爵に面会させたくない両親から頼まれ、クレアが代理で公爵と面会する事になってしまったのだが……。 ※1:本編17話+番外編4話。 ※2:ざまぁは無し。ただし妹がイラッとさせる無自覚系KYキャラ。 ※3:全体的にヒロインへのヘイト管理が皆無の作品なので、読まれる際は自己責任でお願い致します。

美人な姉と『じゃない方』の私

LIN
恋愛
私には美人な姉がいる。優しくて自慢の姉だ。 そんな姉の事は大好きなのに、偶に嫌になってしまう時がある。 みんな姉を好きになる… どうして私は『じゃない方』って呼ばれるの…? 私なんか、姉には遠く及ばない…

姉の引き立て役の私は

ぴぴみ
恋愛
 アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。 「どうしたら、お姉様のようになれるの?」 「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」  姉は優しい。でもあるとき気づいて─

アリーチェ・オランジュ夫人の幸せな政略結婚

里見しおん
恋愛
「私のジーナにした仕打ち、許し難い! 婚約破棄だ!」  なーんて抜かしやがった婚約者様と、本日結婚しました。  アリーチェ・オランジュ夫人の結婚生活のお話。

学園の華たちが婚約者を奪いに来る

nanahi
恋愛
「私の方がルアージュ様に相応しいわ」 また始まった。毎日のように王立学園の華たちが私のクラスにやってきては、婚約者のルアージュ様をよこせと言う。 「どんな手段を使って王太子殿下との婚約を取り付けたのかしら?どうせ汚い手でしょ?」 はぁ。私から婚約したいと申し出たことなんて一度もないのに。見目麗しく、優雅で優しいルアージュ様は令嬢達にとても人気がある。それなのにどうして元平民の私に婚約の話が舞い込んだのか不思議で仕方がない。 「シャロン。メガネは人前では外さないように。絶対にだ」 入学式の日、ルアージュ様が私に言った。きっと、ひどい近視で丸メガネの地味な私が恥ずかしいんだ。だからそんなことを言うのだろう。勝手に私はそう思いこんでいたけど、どうやら違ったみたいで……?

いつも隣にいる

はなおくら
恋愛
心の感情を出すのが苦手なリチアには、婚約者がいた。婚約者には幼馴染がおり常にリチアの婚約者の後を追う幼馴染の姿を見ても羨ましいとは思えなかった。しかし次第に婚約者の気持ちを聞くうちに変わる自分がいたのだった。

私が彼から離れた七つの理由・完結

まほりろ
恋愛
私とコニーの両親は仲良しで、コニーとは赤ちゃんの時から縁。 初めて読んだ絵本も、初めて乗った馬も、初めてお絵描きを習った先生も、初めてピアノを習った先生も、一緒。 コニーは一番のお友達で、大人になっても一緒だと思っていた。 だけど学園に入学してからコニーの様子がおかしくて……。 ※初恋、失恋、ライバル、片思い、切ない、自分磨きの旅、地味→美少女、上位互換ゲット、ざまぁ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうで2022年11月19日昼日間ランキング総合7位まで上がった作品です!

過去に戻った筈の王

基本二度寝
恋愛
王太子は後悔した。 婚約者に婚約破棄を突きつけ、子爵令嬢と結ばれた。 しかし、甘い恋人の時間は終わる。 子爵令嬢は妃という重圧に耐えられなかった。 彼女だったなら、こうはならなかった。 婚約者と結婚し、子爵令嬢を側妃にしていれば。 後悔の日々だった。