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愛人の娘
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「偉そうにしないで!恥ずかしいと思わないのかって言っているの!」
「それはごめんなさいね、私のことはいいからお友達と食事をなさったら?時間がなくなるわよ?」
一度目ならば、モリーも言い返し、愛人の娘の癖にと思っていた。
「わざわざ声を掛けてあげたのに!有難く思いなさいよ」
「ええ、ありがとう」
微笑むモリーをマキュレアリリージュは睨み付けながら、去って行った。
一度目も二度目も、モリーも不愉快さをあまり隠そうとしなかった。だが、今回も仲良くする気はないが、相手にする気もない。
モリーはお騒がせしましたと、また微笑んで食堂を去って行った。
その様子を見ていた人たちは、様々な思いを抱いた。
「あれでは、どちらかと言わなくとも、愛人の娘の方が偉そうではないか」
どちらが愛人の娘かは、同級生は分かる上に、周りも名前を見れば明らかであり、間違えるということも、誤解することもない。
これは一度目も、二度目も共通しており、実はマキュレアリリージュが正妻の娘だと言われることはない。
だからこそマキュレアリリージュは、必死で愛されている娘であることを主張していた。モリーが辛そうにしたり、悲しそうな顔をすることで、自分の存在を確かめていたのだろう。
「立場が分かっていないのか?」
「オブレオサジュール公爵令嬢も、叱り付けるべきではないか?」
「だが、このような場で叱り躾ける方が下品だと思われたのではないか?」
「それもそうか…」
二人が作り出した歪んだ関係ではないが、愛人の娘なのだから遜るべきだとまでは言わないが、あのように突っ掛かる必要もないのではないか。
「ご令嬢は話したこともないと、言っていたじゃないか」
「そんなことあり得るのか?」
「住んでいる邸が違うのではないか?」
「ああ、そういうことか」
オブレオサジュール邸の内情までは分かるはずもないが、一緒に住んでいないことだってあるだろう。
「しかし…あの妹は関わらない方がよさそうだな」
「間違いないな」
「だが、関わることもないだろう」
見ていた者は概ね、同じような評価を下した。
そして、モリーは教室に戻り、本を読んでいると、クラスメイトの令嬢たちが話し掛けて来た。話し掛けたのは伯爵令嬢だが、後ろに違う伯爵令嬢と子爵令嬢がいる。
「あの、本をお読みになっているところ、申し訳ございません」
「はい、何でしょうか?」
「不躾なのですが、義妹様はいつもあのような感じなのでしょうか」
「まあ、見られていたのですね」
モリーはもしかしたら、マキュレアリリージュのことかなとは思ったが、少し驚いて見せた。
「申し訳ございません」
「いいえ、悪いのはこちらですわ。でも、実は彼女の顔は見たことはお互いあるのだけど、今日初めて話したの」
「え?失礼しました」
「いいえ、お恥ずかしいわ。だから、彼女のことを聞かれても分からないのよ、ごめんなさいね」
「いえ、失礼いたしました」
クラスメイトはぺこぺこと頭を下げながら、申し訳なさそうに去って行ったが、モリーはどうしてそんなことを聞かれる理由は、分かっていた。
マキュレアリリージュが、奔放に振舞っているのだろう。
もしかしたら、今のクラスメイト達の中に知り合いが、同じクラスか何かで、異性に擦り寄っているとか、家で肩身の狭い思いをしているとか吹き込んで、味方を増やしていた。
またも、同じように迷惑を掛けているのかもしれない。
一度目ならば、話を聞いてマキュレアリリージュを注意していた。だが、モリーは何かあったのかなど、聞く気はない。
文句を言われるようになったら、その時に考えればいい。
そして、思ってもいないのに謝ることが、こんなにも何も感じないのかと、実感していた。
「とっても、楽ね…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿いたします。
次は17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
「それはごめんなさいね、私のことはいいからお友達と食事をなさったら?時間がなくなるわよ?」
一度目ならば、モリーも言い返し、愛人の娘の癖にと思っていた。
「わざわざ声を掛けてあげたのに!有難く思いなさいよ」
「ええ、ありがとう」
微笑むモリーをマキュレアリリージュは睨み付けながら、去って行った。
一度目も二度目も、モリーも不愉快さをあまり隠そうとしなかった。だが、今回も仲良くする気はないが、相手にする気もない。
モリーはお騒がせしましたと、また微笑んで食堂を去って行った。
その様子を見ていた人たちは、様々な思いを抱いた。
「あれでは、どちらかと言わなくとも、愛人の娘の方が偉そうではないか」
どちらが愛人の娘かは、同級生は分かる上に、周りも名前を見れば明らかであり、間違えるということも、誤解することもない。
これは一度目も、二度目も共通しており、実はマキュレアリリージュが正妻の娘だと言われることはない。
だからこそマキュレアリリージュは、必死で愛されている娘であることを主張していた。モリーが辛そうにしたり、悲しそうな顔をすることで、自分の存在を確かめていたのだろう。
「立場が分かっていないのか?」
「オブレオサジュール公爵令嬢も、叱り付けるべきではないか?」
「だが、このような場で叱り躾ける方が下品だと思われたのではないか?」
「それもそうか…」
二人が作り出した歪んだ関係ではないが、愛人の娘なのだから遜るべきだとまでは言わないが、あのように突っ掛かる必要もないのではないか。
「ご令嬢は話したこともないと、言っていたじゃないか」
「そんなことあり得るのか?」
「住んでいる邸が違うのではないか?」
「ああ、そういうことか」
オブレオサジュール邸の内情までは分かるはずもないが、一緒に住んでいないことだってあるだろう。
「しかし…あの妹は関わらない方がよさそうだな」
「間違いないな」
「だが、関わることもないだろう」
見ていた者は概ね、同じような評価を下した。
そして、モリーは教室に戻り、本を読んでいると、クラスメイトの令嬢たちが話し掛けて来た。話し掛けたのは伯爵令嬢だが、後ろに違う伯爵令嬢と子爵令嬢がいる。
「あの、本をお読みになっているところ、申し訳ございません」
「はい、何でしょうか?」
「不躾なのですが、義妹様はいつもあのような感じなのでしょうか」
「まあ、見られていたのですね」
モリーはもしかしたら、マキュレアリリージュのことかなとは思ったが、少し驚いて見せた。
「申し訳ございません」
「いいえ、悪いのはこちらですわ。でも、実は彼女の顔は見たことはお互いあるのだけど、今日初めて話したの」
「え?失礼しました」
「いいえ、お恥ずかしいわ。だから、彼女のことを聞かれても分からないのよ、ごめんなさいね」
「いえ、失礼いたしました」
クラスメイトはぺこぺこと頭を下げながら、申し訳なさそうに去って行ったが、モリーはどうしてそんなことを聞かれる理由は、分かっていた。
マキュレアリリージュが、奔放に振舞っているのだろう。
もしかしたら、今のクラスメイト達の中に知り合いが、同じクラスか何かで、異性に擦り寄っているとか、家で肩身の狭い思いをしているとか吹き込んで、味方を増やしていた。
またも、同じように迷惑を掛けているのかもしれない。
一度目ならば、話を聞いてマキュレアリリージュを注意していた。だが、モリーは何かあったのかなど、聞く気はない。
文句を言われるようになったら、その時に考えればいい。
そして、思ってもいないのに謝ることが、こんなにも何も感じないのかと、実感していた。
「とっても、楽ね…」
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿いたします。
次は17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
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