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ドレス
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「モリー様、完成したのですよね?」
エリーは今日も美しいモリーと、おそらくドレスが入っている箱を見つめながら、目を輝かせていた。
「はい、気に入っていただけると嬉しいのですが」
「楽しみです!またお兄様もいてごめんなさい、どうしても完成したドレスを見たいと言うの」
「私は構いません。では、早速、着ていただいてもよろしいですか?」
「お願いします」
モリーは嬉々として、パーテーションの方へ着替えに向かった。
レベンナも、のろのろとモリーに付いて行こうとしたが、ケリーが阻止した。
「護衛は必要ないわ」
「あ、はい……」
ケリーとレルスは、ソファに座って待つことにした。パーテーションの向こうでは、エリーのワントーン高い声と、モリーがここをもう少し詰めましょうという声が聞こえており、喜んでいるなと頬を緩ませた。
その間、レベンナはソワソワとしており、ケリーもレルスも見つめるようなことはしなかったが、これが護衛かと疑問に思っていた。
しばらくすると、ドレスを纏ったエリーがケリーとレルスの前に姿を現した。
「お母様!お兄様!」
少し落ち着いた水色に、縦にストライプのグリッター、子どもと大人の中間のような、輝かしいプリンセスラインのドレスが、エリーのブラウンブロンドに愛らしい顔にピッタリであった。
「素敵じゃない!」
「ああ、よく似合っている」
「そうでしょう?見て、ここの刺繍もとても素敵でしょう?」
エリーは追加した胸元の花の刺繍を、とても気に入ってくれた。
「ええ、刺繍はないのかと思っていたけど」
「申し訳ございません、作りながら追加させていただきました」
「怒ったわけではないのよ?エリーは刺繍も羨ましがっていたのだけど、刺繍は大人っぽいから無理かなと思っていたの」
「私もそう考えておりましたが、胸元に少しだけさせていただきました」
「とてもいいわ!肩もやはりそのくらいの方が良いわね」
なくても安っぽいドレスではなかったが、さらに上品さを増すドレスになったと、ケリーも唸るような出来であった。
「モリー様、本当にありがとう!」
エリーはそばで見守っていたモリーの両手を掴んで、ブンブン振っていた。
「いいえ、気に入っていただけて、私も嬉しいです。何か気になるようなところはありませんか?」
「ありませんわ!本当です!すべて気に入りました」
エリーはお世辞でもなく、気に入らないことなど何一つなかった。刺繍も小花でとても可愛くて、一目で気に入っていた。
「あの!もっと、明るいカラーの方が王女殿下にはお似合いになるのではありませんか?」
そう言い出したのは、レベンナであった。
「え?」
「チュールではなく、レースを使って、もっと華やかにした方が王女殿下に相応しいと思います」
皆は一体、何を言っているのかと、レベンナを見つめたが、なぜだかレベンナは自分の言葉に賛同してくれたのだと思い、さらに言葉を続けた。
モリーもすぐに止めなくてはいけなかったのだが、呆気に取られてしまっていた。
「モリー様に気を使っているのだと思いますが、意見はハッキリ言った方がいいと思います」
「あなた何を言っているの?」
真っ先に怒りを向けたのは、エリーであった。
「え?」
「誰があなたに意見を聞いたの?私が気に入ったと言っているのに、どうしてあなたに意見されなければならないの?」
「…あの、その」
「あなたオブレオサジュール公爵家の護衛なのでしょう?」
次に問い掛けたのは、ケリーであった。
「いえ、あの……」
「護衛ではないの?」
「あの、護衛です」
「モリー嬢、この方はいつもいなかったのに、何なの?」
「申し訳ございません!私もどうしてこんなことを言い出したのか。すぐに返します」
モリーは、ケリーたちに深く頭を下げた。
エリーは今日も美しいモリーと、おそらくドレスが入っている箱を見つめながら、目を輝かせていた。
「はい、気に入っていただけると嬉しいのですが」
「楽しみです!またお兄様もいてごめんなさい、どうしても完成したドレスを見たいと言うの」
「私は構いません。では、早速、着ていただいてもよろしいですか?」
「お願いします」
モリーは嬉々として、パーテーションの方へ着替えに向かった。
レベンナも、のろのろとモリーに付いて行こうとしたが、ケリーが阻止した。
「護衛は必要ないわ」
「あ、はい……」
ケリーとレルスは、ソファに座って待つことにした。パーテーションの向こうでは、エリーのワントーン高い声と、モリーがここをもう少し詰めましょうという声が聞こえており、喜んでいるなと頬を緩ませた。
その間、レベンナはソワソワとしており、ケリーもレルスも見つめるようなことはしなかったが、これが護衛かと疑問に思っていた。
しばらくすると、ドレスを纏ったエリーがケリーとレルスの前に姿を現した。
「お母様!お兄様!」
少し落ち着いた水色に、縦にストライプのグリッター、子どもと大人の中間のような、輝かしいプリンセスラインのドレスが、エリーのブラウンブロンドに愛らしい顔にピッタリであった。
「素敵じゃない!」
「ああ、よく似合っている」
「そうでしょう?見て、ここの刺繍もとても素敵でしょう?」
エリーは追加した胸元の花の刺繍を、とても気に入ってくれた。
「ええ、刺繍はないのかと思っていたけど」
「申し訳ございません、作りながら追加させていただきました」
「怒ったわけではないのよ?エリーは刺繍も羨ましがっていたのだけど、刺繍は大人っぽいから無理かなと思っていたの」
「私もそう考えておりましたが、胸元に少しだけさせていただきました」
「とてもいいわ!肩もやはりそのくらいの方が良いわね」
なくても安っぽいドレスではなかったが、さらに上品さを増すドレスになったと、ケリーも唸るような出来であった。
「モリー様、本当にありがとう!」
エリーはそばで見守っていたモリーの両手を掴んで、ブンブン振っていた。
「いいえ、気に入っていただけて、私も嬉しいです。何か気になるようなところはありませんか?」
「ありませんわ!本当です!すべて気に入りました」
エリーはお世辞でもなく、気に入らないことなど何一つなかった。刺繍も小花でとても可愛くて、一目で気に入っていた。
「あの!もっと、明るいカラーの方が王女殿下にはお似合いになるのではありませんか?」
そう言い出したのは、レベンナであった。
「え?」
「チュールではなく、レースを使って、もっと華やかにした方が王女殿下に相応しいと思います」
皆は一体、何を言っているのかと、レベンナを見つめたが、なぜだかレベンナは自分の言葉に賛同してくれたのだと思い、さらに言葉を続けた。
モリーもすぐに止めなくてはいけなかったのだが、呆気に取られてしまっていた。
「モリー様に気を使っているのだと思いますが、意見はハッキリ言った方がいいと思います」
「あなた何を言っているの?」
真っ先に怒りを向けたのは、エリーであった。
「え?」
「誰があなたに意見を聞いたの?私が気に入ったと言っているのに、どうしてあなたに意見されなければならないの?」
「…あの、その」
「あなたオブレオサジュール公爵家の護衛なのでしょう?」
次に問い掛けたのは、ケリーであった。
「いえ、あの……」
「護衛ではないの?」
「あの、護衛です」
「モリー嬢、この方はいつもいなかったのに、何なの?」
「申し訳ございません!私もどうしてこんなことを言い出したのか。すぐに返します」
モリーは、ケリーたちに深く頭を下げた。
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