【完結】愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

文字の大きさ
26 / 84

建国祭3

しおりを挟む
 結婚しても変わらず公爵家であることから、順番もないためにフランアールが行きたい時に行くことができる。

 ビードルトラン公爵家は参加者に背を向けているが、王家は見られているために、フランアールが向かっていることに気付くと、緩まぬように表情筋に力を入れた。

 挨拶を無事に終えて、会話が始まったが、内容に反して、揃いも揃ってとても力強い表情をしている。

「まあ、何て可愛いの。人ではない者が紛れ込んだかと思ったわ」
「そうだ、そうだな。リア、素晴らしい表現だ」

 ラルフリード国王陛下とリアローズ王妃陛下は、今日は城内が騒がしいことをいいことに、今日もフランアールを褒め称えた。

「入ってきた瞬間から輝いていたから、何かと思ったもの」
「王妃陛下、こちらはデザイナーと私で、新緑の妖精と名付けましたの」
「んまあ!その通りだわ!ねえ」

 リアローズがエリクールとフリーラ王太子妃夫妻、マイラースとアリーナ王子夫妻に問い掛けると、皆もすぐさまに同意した。

「妖精さんなら、ずっと私のそばにいて欲しいわ」
「それはずるいぞ」
「でもフランがいたら、嫌な公務もフランを見て、心が浄化されるじゃない」
「む、それはそうだな。フランのいる執務室、最高ではないか」
「でしょう?」

 王太子妃夫妻、王子夫妻も再び、激しく同意をして、フランアールのいる執務室を想像していた。

「今度のお茶会にそれ着てきて頂戴、よーく、じーっくり見たいわ」
「分かりました」
「うふふ、楽しみ」

 ルジエールも前回、見ているために驚くことはないが、フランアールはその様子をにこにこ見ている。

 以前のパーティーとは違い、問題が起こるようなこともなく、無事に終了した。

 邸に帰り、フランアールがお茶を飲んでいると、ルジエールも丁度通りかかった。

「飲みます?」
「ああ」

 ルジエールはいい機会だと、ふと気になっていたことを聞いてみようと思った。

「素朴な疑問を聞いてもいいだろうか?」
「ええ」
「王家からの縁談はなかったのか?」

 祖母が王女であったことから血筋は近いが、不可能ではない。あれだけ溺愛されていたら、そんな話が出ていてもおかしくない。

「ありませんわ」
「だが、あれだけ可愛がられて、王子二人とも年もそんなに離れていないだろう?」

 二人とも年上ではあるが、十歳も離れていない。

「私が魅了を使っているのかとおっしゃられたでしょう?」
「いや、それは」
「疑われるのも慣れております。でも違いますでしょう?」
「ああ」

 フランアールは自ら教会に行こうと言っていたことから、疑われることは度々あったのだろうとは思っていた。

「自分でもこれが普通にはなりましたけど、おかしいとは思っておりますのよ?だからこそ王家に嫁いで、国際問題になったらどうしますの?」
「あっ」

 ルジエールはどうしてフランアールを嫁にと思わなかったのだろうかとしか思っていなかったが、結婚してからのことを考えていなかった自分に気付いた。

「そうでしょう?」
「国の顔なのだから、私なんて嫁いだら面倒ごとしかないの。だからおじ様、おば様、お兄様、お義姉様には可愛がってもらうだけよ?」
「そうか……」
「そもそも、私は姪?幼子?もしかしたら、ペットのような可愛がり方だと思うわ」
「ペットではないと思うが……」

 それでも、今日の会話からも執務室にいるだけでいいなど、まさに妖精のような扱いをされて、遠からずだとは感じていた。

「もしかして、そのことで結婚したくなかったのか?」
「よくやく気付きましたのね、大半はそうですわ」

 ルジエールは初めて、自分と似ているとは思っていた。

 相性のいい相手とは思っているが、面倒だから結婚したくないルジエールと、面倒が起きそうだから結婚したくないフランアールは決定的に違うのだと実感した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

選ばれなくてよかったと、今は思います

たくわん
恋愛
五年間の婚約を、一夜で破棄された。 理由は「家格の不一致」。 傷ついた翌朝、私は泣くのをやめて仕事着を着た。 王立文書院の渉外部職員として、今日も書類と向き合う。それだけでいいと思っていた。 出勤すると、一枚の張り紙があった。 新長官着任。エドワード・ヴァルツ・シュタイン侯爵。 昨夜の晩餐会で、遠くに座っていた「氷の侯爵」がそのまま上司になった。 彼は口数が少なく、笑わず、感情を見せない。 でも仕事の評価だけは正確だった。 「君の報告書は読みやすい」「渉外部はあの職員が要になっている」——誰かに選ばれたくて生きてきたわけではないのに、仕事を通じて初めて、自分の輪郭がはっきりしてくる気がした。

【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました! ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

処理中です...