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因縁
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その後は和やかに夜会は進み、無事に終了した。ディードラス公爵夫妻はフランアールに最後まで、申し訳なさそうにして帰って行った。
「嫌われることもあるのだな」
帰りの馬車で、ルジエールはフランアールに話し掛けた。
「ありますわよ、まだ魅了を疑っているのですか?」
「いやいや、そうではない。だが、嫌っている者を見ていなかったものだから」
パーティーや邸の者でも、フランアールにうっとりとする者ばかりを目にしていたために、嫌う者が異質に感じていた。
「縁談相手にも突っかかられたでしょう?」
「そうだったな、だが嫌うというよりは……」
「まあ、あの二人には因縁があるのですよ」
「因縁?」
「ふふふ」
「何だ?教えてもらえないのか?」
カヴェールア侯爵邸とビードルトラン公爵邸は近いために、因縁を聞けないまま邸に到着してしまった。
フランアールはドレスを脱ぎたいために、すぐに部屋に戻ってしまい、ルジエールは因縁が気になってたまらなかった。
思い切って部屋を訪ねると、渋い顔をされた。
「お風呂に入りたいのですよ、ミハラから聞いてもらってもよろしいかしら?」
「ああ、それでもいい」
「ミハラ、頼みますわ」
「承知いたしました」
お風呂にはリルハが付き添い、ミハラが因縁について話すことになった。
「因縁ですね」
「ああ、怯えているようにも見えた」
「あの二人はまだ怯えておりましたか」
今日はミハラとリルハは付き添っておらず、フランアールからサオンとアリンダに会ったこと、まだ迷惑を掛けていたとしか聞いていなかった。
「ああ、そのように見えたが」
「フラン様が学園の頃に鼻フックをしまして」
「は?」
「鼻フックの説明はいりますか?」
ミハラはもしかして、鼻フックを知らないのではないかという可能性を考えた。
「いや、鼻フックは分かる。だが、彼女が?」
「ええ、我慢の限界が来たそうです。お嬢様は愛されて、愛されて、育ちましたゆえ、我慢が余り得意ではないのですが、それでも我慢していたのです」
「ああ……」
今のところ、フランアールを我儘と感じたことはないが、我慢ができないところはあるのかもしれない。
「それでも、毎日ではなかったそうですけど、お前なんて顔だけだと、可愛いからと調子に乗るなと、婚約者など御免だと」
「婚約者?」
「それは、あの方の誤解です。なぜか、婚約者候補だと思っていたそうです」
「サオン・ディードラスか?」
「そうです。アリンダ・ケッサロ侯爵令嬢とは幼馴染で、二人は結婚すると言っていたそうです」
「婚約はしていなかった?」
「はい。誰も言った人は見付からなかったのですが、なぜかフラン様と結婚させられる。敵だと、なぜか思っていたようです」
「意味が分からないな」
ルジエールは鼻フックのことも忘れて、説明されても意味が分からなかった。
「誰も分かりません。ディードラス公爵夫妻も、それはもう頭を擦り付けて、謝罪をされましたから。あの馬鹿に息子の婚約者がフランアール様だなんて、死んでもあり得ないとご両親はおっしゃられておりました」
「ご夫妻はまともなのだな」
「はい、とても。というよりは、あの方だけがおかしいのです。でも、何をするか分からないから飼い殺しにしていると聞いております」
サオンと結婚したいという相手はアリンダしかおらず、アリンダと結婚したいという相手もサオンしかいなかった。
ゆえに両家は二人を結婚させて、監視することを決めた。
だが、考えが浅いくせに行動力があるために、今日のような問題を起こしては謹慎をさせられている。
「鼻フックということは、フランアールは身体強化ができるのだな?」
「その通りです。フラン様の身を守るために、授けられた武器だと思っております」
「そうか」
ルジエールもフランアールが内術者であること、さすがに鼻フックをするためには身体強化だろうと判断を下した。
「嫌われることもあるのだな」
帰りの馬車で、ルジエールはフランアールに話し掛けた。
「ありますわよ、まだ魅了を疑っているのですか?」
「いやいや、そうではない。だが、嫌っている者を見ていなかったものだから」
パーティーや邸の者でも、フランアールにうっとりとする者ばかりを目にしていたために、嫌う者が異質に感じていた。
「縁談相手にも突っかかられたでしょう?」
「そうだったな、だが嫌うというよりは……」
「まあ、あの二人には因縁があるのですよ」
「因縁?」
「ふふふ」
「何だ?教えてもらえないのか?」
カヴェールア侯爵邸とビードルトラン公爵邸は近いために、因縁を聞けないまま邸に到着してしまった。
フランアールはドレスを脱ぎたいために、すぐに部屋に戻ってしまい、ルジエールは因縁が気になってたまらなかった。
思い切って部屋を訪ねると、渋い顔をされた。
「お風呂に入りたいのですよ、ミハラから聞いてもらってもよろしいかしら?」
「ああ、それでもいい」
「ミハラ、頼みますわ」
「承知いたしました」
お風呂にはリルハが付き添い、ミハラが因縁について話すことになった。
「因縁ですね」
「ああ、怯えているようにも見えた」
「あの二人はまだ怯えておりましたか」
今日はミハラとリルハは付き添っておらず、フランアールからサオンとアリンダに会ったこと、まだ迷惑を掛けていたとしか聞いていなかった。
「ああ、そのように見えたが」
「フラン様が学園の頃に鼻フックをしまして」
「は?」
「鼻フックの説明はいりますか?」
ミハラはもしかして、鼻フックを知らないのではないかという可能性を考えた。
「いや、鼻フックは分かる。だが、彼女が?」
「ええ、我慢の限界が来たそうです。お嬢様は愛されて、愛されて、育ちましたゆえ、我慢が余り得意ではないのですが、それでも我慢していたのです」
「ああ……」
今のところ、フランアールを我儘と感じたことはないが、我慢ができないところはあるのかもしれない。
「それでも、毎日ではなかったそうですけど、お前なんて顔だけだと、可愛いからと調子に乗るなと、婚約者など御免だと」
「婚約者?」
「それは、あの方の誤解です。なぜか、婚約者候補だと思っていたそうです」
「サオン・ディードラスか?」
「そうです。アリンダ・ケッサロ侯爵令嬢とは幼馴染で、二人は結婚すると言っていたそうです」
「婚約はしていなかった?」
「はい。誰も言った人は見付からなかったのですが、なぜかフラン様と結婚させられる。敵だと、なぜか思っていたようです」
「意味が分からないな」
ルジエールは鼻フックのことも忘れて、説明されても意味が分からなかった。
「誰も分かりません。ディードラス公爵夫妻も、それはもう頭を擦り付けて、謝罪をされましたから。あの馬鹿に息子の婚約者がフランアール様だなんて、死んでもあり得ないとご両親はおっしゃられておりました」
「ご夫妻はまともなのだな」
「はい、とても。というよりは、あの方だけがおかしいのです。でも、何をするか分からないから飼い殺しにしていると聞いております」
サオンと結婚したいという相手はアリンダしかおらず、アリンダと結婚したいという相手もサオンしかいなかった。
ゆえに両家は二人を結婚させて、監視することを決めた。
だが、考えが浅いくせに行動力があるために、今日のような問題を起こしては謹慎をさせられている。
「鼻フックということは、フランアールは身体強化ができるのだな?」
「その通りです。フラン様の身を守るために、授けられた武器だと思っております」
「そうか」
ルジエールもフランアールが内術者であること、さすがに鼻フックをするためには身体強化だろうと判断を下した。
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