【完結】愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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練習試合(魔術師)2

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「初めて見るから楽しみね」
「そうでございますね」
「確かにそうですね」

 フランアールもだが、ミハラとリルハも実際にルジエールの天才魔術師たることを目にしたことはなかった。

 そして、いよいよルジエールが登場した。

 黄色い声援が飛び交っていたが、フランアールは試合にしか興味がない。

「出てきたわよ、お相手はどなた?」

 フランアールは社交も最低限と言われているために、人を知らない節があり、貴族としては問題なのだが、王家にも公ではないが、許容されているほどである。

「あの方は……」
「確か、副団長ではないでしょうか」

 リルハが護衛たちにも目を合わせると頷いており、ホッとした。

「副団長ということは強いのね」
「はい、人から聞いた話ですが、ルジエール様が互角だと伺ったことがございます」
「まあ、では二人とも強いのね」

 皆も参加者も食い入るように見つめており、試合が始まると、同時に仕掛けたが、二人ともうまく避けながら、攻撃をするという軽やかさを見せた。

「まあ、あんなに動けるのね」
「はい、割と速いですね」
「はい」

 黄色い声援やうおぉぉぉという意外と野太い声も聞こえて、盛り上がっていた。息をのむというよりは、どちらに隙ができるかという状態であった。

「フラン様、どちらが勝ちますか?」
「多分、ルジエール様が勝つわ」

 そう言った瞬間に、副団長が防ぎきれず、片膝をついた。

「さすがでございます」
「乱れ始めていただけよ」

 トーナメントせいではないために、勝ち上がったり、優勝などはないが、それでもルジエールたちが大将戦という形だったのだろう。

 二人の握手で練習試合は終わを告げた。

 魔術師たちはどれだけできるのかを見せ合うことで、士気を高めることもあるが、どのような場に向いているかを見る場でもある。

 拍手で終わると、フアンアールは満足そうであったが、愁いを帯びた顔をしていた。

「いいわね、羨ましい……」
「フラン様……」

 ミハラとリルハは痛ましい目で、フランアールを見つめながら、どうにもならないことに胸を痛めた。

「仕方のないことね、帰りは待っていた方がいいのかしら?」
「はい、お迎えに来られると思います」

 同じ馬車で来たが、練習試合で頭がいっぱいで、一緒に帰るかなど気にもしていなかった。

「そう、では待っていましょう」

 しばらくすると、ルジエールとエバンファストがやって来た。

「満足だったか?」
「お二人ともお疲れ様でございました。ですが、羨ましいと思ってしまいましたわ」
「魔術師をか?憧れていたのか?」
「いいえ、戦うことですわ」
「戦いたかったのか?」
「はい」

 ルジエールはミハラとリルハを見ると、悲しげな表情をしており、どういう意味なのか分からなかった。

「ああ、まあ戦うようなことはないよな?」
「いえ、それはあるんですけど」
「ある、そうか……あるのか」
「ええ、こういった正々堂々と戦う姿が好きなのです」

 ルジエールはようやく、キラキラとした目で見ていた理由が分かった。

「エバン、相手をしてやれ」
「えっ?私ですか?」
「まあ、よろしいのですか?」
「ルジエール様、ここでは難しいですよ」

 皆は帰って行っていたが、こんな大きな場所だと誰に見られるか分からない。

「練習場なら誰もいないだろう」
「まあ、本当に?」
「ああ、大丈夫なんだよな?」

 ルジエールは強いと聞いていたことから、その強さを見たい気持ちもあり、フランアールではなくミハラとリルハに問い掛けた。

「戦うことには問題はございません、ですが見られることが問題です」
「それは私が見えぬように魔術で覆う」
「であれば、大丈夫です」
「本当にいいの?楽しみ!」

 すっかりフランアールは嬉しそうに悶えていて、ミハラとリルハはその姿に絶対に叶えると心に決めた。
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