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四回
「学園から帰っていないということなのですか?」
「そこまでは分からないが、クローサーが婚約解消の話した後で亡くなったということだだけは確かだろうな。邸に戻ってなのか、学園から戻らなかったのか、いや……伯爵は婚約解消のことは知らなかったのかもしれないな」
ポールスは始めはジスルオが驚いていない様子からユラリから聞いており、婚約解消に反対しているのだと思っていたが、亡くなったことを知っていると勘違いしていたと言っていたことから、聞いていなかったのかもしれないと思い至った。
「邸に戻っていたら話していたでしょうからね」
「事件だったら私たちも話を聞かれるかもしれないな」
「そうね……なぜ欠席したかは聞いたの?」
「いえ、知りません」
同じクラスではないために何か伝えられたのかもしれないが、亡くなったのならクローサーの耳にも届いただろう。
「そう……今、学園のことなんて気にしてられないかもしれないわね」
「まだどうなるか分からないから、婚約解消のことは落ち着いてから再度話をするつもりだ。周りには何も言わない方がいい」
「伯爵は何と言っていたのですか?」
「解消でも、このままでもどちらでもいいと言っていた」
「そうですか……」
クローサーは自室に戻り、茫然としたままソファにもたれ掛かった。
昨日の今日でユラリが欠席したことは不安になったが、父が話をすると言っていたことから大丈夫だろうと思っていた。
それなのに、帰っていない?亡くなった?聞いていても耳に弾かれるように受け止められなかった。
「どうして……こんなことに。私が間違ってしまったのか」
クローサーは両手で顔を覆ったが、まだ事実として受け止められず、どこかで実は生きていたという言葉を誰かが運んで来てくれるのではないか願った。
だが、翌日の新聞にはユラリ・フロノアの葬儀の案内が載っていた。そのことでユラリが亡くなったことは紛れもない現実となった。
学園でもどういうことかと尋ねられることになったが、何も言わないほうがいいと言われたために、詳しくは分からないと答えるしかなかった。
休憩時間にクローサーはエジュリー・ノヴァリア公爵令嬢に人目を気にしながら声を掛けられた。
「クローサー様、どういうことかご存知ですの?」
「詳しいことは……分からないのです」
「そんな……こんなことになるなんて」
「話しましたか?」
「いえ、まだ話しておりませんわ」
「もう話さない方がいいと思います……」
「そう……ですね」
二人は手短に話を済ませて離れた。
そして、その翌日にはユラリ・フロノアの葬儀が行われることになった。両家の祖父母、父親と姉夫妻と子ども、兄夫妻が神妙な顔で並んでいた。
厳かに葬儀は終わり、アルターク侯爵家もポールス、ヘレン、クローサーが参列し、ユラリの亡骸を目にして、亡くなったという現実に項垂れるしかなかった。
あの日はまだ婚約者ということで、アルターク侯爵家にも警備隊から話を聞きたいと訪問があった。
「クローサー・アルターク侯爵令息、ユラリ・フロリア伯爵令嬢が亡くなった前日の行動について何かご存知ありませんか」
ポールス、ヘレン、クローサーが対応した。
「いえ、何も聞いていません」
「そうですか」
「フロノア伯爵にユラリ嬢は殴られた痕があったと伺ったのですが……」
ポールスはあれから何も聞かされていないために、尋ねてみることにした。
「口外はしないでいただきたいのですが、その通りです。犯人を捜しています」
「事故とは考えられないのでしょうか」
「それはないと考えています」
「そうですか」
家族ではないために詳細を教えてはくれないだろうが、ユラリがどこかから落ちたり、何か落ちてきたりということはないということだろうと察した。
「そこまでは分からないが、クローサーが婚約解消の話した後で亡くなったということだだけは確かだろうな。邸に戻ってなのか、学園から戻らなかったのか、いや……伯爵は婚約解消のことは知らなかったのかもしれないな」
ポールスは始めはジスルオが驚いていない様子からユラリから聞いており、婚約解消に反対しているのだと思っていたが、亡くなったことを知っていると勘違いしていたと言っていたことから、聞いていなかったのかもしれないと思い至った。
「邸に戻っていたら話していたでしょうからね」
「事件だったら私たちも話を聞かれるかもしれないな」
「そうね……なぜ欠席したかは聞いたの?」
「いえ、知りません」
同じクラスではないために何か伝えられたのかもしれないが、亡くなったのならクローサーの耳にも届いただろう。
「そう……今、学園のことなんて気にしてられないかもしれないわね」
「まだどうなるか分からないから、婚約解消のことは落ち着いてから再度話をするつもりだ。周りには何も言わない方がいい」
「伯爵は何と言っていたのですか?」
「解消でも、このままでもどちらでもいいと言っていた」
「そうですか……」
クローサーは自室に戻り、茫然としたままソファにもたれ掛かった。
昨日の今日でユラリが欠席したことは不安になったが、父が話をすると言っていたことから大丈夫だろうと思っていた。
それなのに、帰っていない?亡くなった?聞いていても耳に弾かれるように受け止められなかった。
「どうして……こんなことに。私が間違ってしまったのか」
クローサーは両手で顔を覆ったが、まだ事実として受け止められず、どこかで実は生きていたという言葉を誰かが運んで来てくれるのではないか願った。
だが、翌日の新聞にはユラリ・フロノアの葬儀の案内が載っていた。そのことでユラリが亡くなったことは紛れもない現実となった。
学園でもどういうことかと尋ねられることになったが、何も言わないほうがいいと言われたために、詳しくは分からないと答えるしかなかった。
休憩時間にクローサーはエジュリー・ノヴァリア公爵令嬢に人目を気にしながら声を掛けられた。
「クローサー様、どういうことかご存知ですの?」
「詳しいことは……分からないのです」
「そんな……こんなことになるなんて」
「話しましたか?」
「いえ、まだ話しておりませんわ」
「もう話さない方がいいと思います……」
「そう……ですね」
二人は手短に話を済ませて離れた。
そして、その翌日にはユラリ・フロノアの葬儀が行われることになった。両家の祖父母、父親と姉夫妻と子ども、兄夫妻が神妙な顔で並んでいた。
厳かに葬儀は終わり、アルターク侯爵家もポールス、ヘレン、クローサーが参列し、ユラリの亡骸を目にして、亡くなったという現実に項垂れるしかなかった。
あの日はまだ婚約者ということで、アルターク侯爵家にも警備隊から話を聞きたいと訪問があった。
「クローサー・アルターク侯爵令息、ユラリ・フロリア伯爵令嬢が亡くなった前日の行動について何かご存知ありませんか」
ポールス、ヘレン、クローサーが対応した。
「いえ、何も聞いていません」
「そうですか」
「フロノア伯爵にユラリ嬢は殴られた痕があったと伺ったのですが……」
ポールスはあれから何も聞かされていないために、尋ねてみることにした。
「口外はしないでいただきたいのですが、その通りです。犯人を捜しています」
「事故とは考えられないのでしょうか」
「それはないと考えています」
「そうですか」
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