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五回
「フロノア伯爵令嬢は放課後にどこか行くことはありましたか?」
「そうですね、買い物をして帰るとか、喫茶店に行くなどということはあったと思います。あとは図書室を利用していることもありました」
「そうですか、ありがとうございます。店の名前は分かりますか?」
クローサーはユラリから聞いたことのあった店の名前を伝えた。するとお礼を伝えて、警備隊は帰っていった。
学園でもユラリが亡くなったことは皆が知ることになり、ユラリの席はそのままだったが、しばらくすると教師が荷物を纏めて、机は運ばれていった。
一人いなくなっても時間は過ぎていき、犯人が見付かったということを聞くこともなく、わざわざユラリのことを話す者もいなくなった。
だが、クローサーは過去のことにはできず、エジュリーも同じだった。
二人はクラスメイトで一緒にいることはおかしくないが、これまではクローサーには婚約者がいたために人目を気にしていた。今も気にせずとはいかないが、適度な距離を保ち話をしていた。
「どうやらフロノア伯爵令嬢をお兄様が調べているみたいなの……」
「えっ」
「事件なのでしょう?」
「そのようですね……」
「葬儀も私は関わりがないから控えたけど、お兄様は行かれたようなの」
「そうでしたか、私も周りを気にする余裕もなくて……」
エジュリーの兄・ジェラルドは既に学園は卒業しているが、ユラリが一年生の時に三年生で同じ美化委員に属しており、面識のある関係であった。
「調べさせたり、自ら話しを聞きに行ったりもしているようで」
「何も話されてないんですよね?」
「話していないわ。それこそ、あの翌々日には話せていたかもしれないけど……」
「隠したいわけではないですが、事件には関わっていないのですから、黙っていたほうがいいと思います」
「そうですね」
ジェラルド・ノヴァリアは葬儀を知らせる新聞ではなく、見付かった日に同い年で友人であるヘイジー・マセリーノ侯爵令息からユラリ・フロノアが亡くなったと聞くことになった――
「本当に彼女なのか!」
「そのようだ、騎士団にも話が入ったようで、私も父上から知っているかと聞かれた。それでジェラルドが一緒に花の水やりをしていた子だろうと思ってな……」
ヘイジーの父親は第一騎士団長を務めており、警備隊から報告が上がっていた。
「なぜ……彼女が……」
ヘイジーがわざわざ伝えに来たのは、ジェラルドが婚約者がいる身であるユラリに好意を持っていたとはまでは言わないが、ユラリが彼の好みであることは見抜いていたからである。
ジェラルドは肩を落として、唖然としていた。
「可愛がっていた子だろう?」
「ああ……時間に正確で、真面目な子だ」
水やりも務めではあるが、時間を守らず適当にやる者も多い中、彼女は時間を守り、しっかり水やりをして、雑草も抜いていた。
だが、少しおっちょこちょいなところもあり、顔から花壇に突っ込んだり、間違えて花を抜いてしまったり、慌てているユラリが非常に可愛かった。
「騎士団ということは事件性があるのか?」
「そういうことだな。昨日、彼女は邸に帰らず捜索願が出ていた。そして、今朝、亡くなった状態で見つかったそうだ。それで出血と後頭部に傷があり、強盗に遭ったのではないかという見解らしい」
「強盗?」
ジェラルドの眉が一気に上がり、目つきも鋭くなった。
「彼女の持ち物がなくなっているそうだ」
「待ってくれ、どこで亡くなっていたんだ?」
「どこかは教えてくれなかったが、教会の近くだったと言っていた」
「教会……なぜそのようなところに……」
危険な場所がないことはないが、それでも教会の近くでそんな危険な地区があっただろうか。だからこそ、彼女はそのようなところにいたのかもしれない。
「そうですね、買い物をして帰るとか、喫茶店に行くなどということはあったと思います。あとは図書室を利用していることもありました」
「そうですか、ありがとうございます。店の名前は分かりますか?」
クローサーはユラリから聞いたことのあった店の名前を伝えた。するとお礼を伝えて、警備隊は帰っていった。
学園でもユラリが亡くなったことは皆が知ることになり、ユラリの席はそのままだったが、しばらくすると教師が荷物を纏めて、机は運ばれていった。
一人いなくなっても時間は過ぎていき、犯人が見付かったということを聞くこともなく、わざわざユラリのことを話す者もいなくなった。
だが、クローサーは過去のことにはできず、エジュリーも同じだった。
二人はクラスメイトで一緒にいることはおかしくないが、これまではクローサーには婚約者がいたために人目を気にしていた。今も気にせずとはいかないが、適度な距離を保ち話をしていた。
「どうやらフロノア伯爵令嬢をお兄様が調べているみたいなの……」
「えっ」
「事件なのでしょう?」
「そのようですね……」
「葬儀も私は関わりがないから控えたけど、お兄様は行かれたようなの」
「そうでしたか、私も周りを気にする余裕もなくて……」
エジュリーの兄・ジェラルドは既に学園は卒業しているが、ユラリが一年生の時に三年生で同じ美化委員に属しており、面識のある関係であった。
「調べさせたり、自ら話しを聞きに行ったりもしているようで」
「何も話されてないんですよね?」
「話していないわ。それこそ、あの翌々日には話せていたかもしれないけど……」
「隠したいわけではないですが、事件には関わっていないのですから、黙っていたほうがいいと思います」
「そうですね」
ジェラルド・ノヴァリアは葬儀を知らせる新聞ではなく、見付かった日に同い年で友人であるヘイジー・マセリーノ侯爵令息からユラリ・フロノアが亡くなったと聞くことになった――
「本当に彼女なのか!」
「そのようだ、騎士団にも話が入ったようで、私も父上から知っているかと聞かれた。それでジェラルドが一緒に花の水やりをしていた子だろうと思ってな……」
ヘイジーの父親は第一騎士団長を務めており、警備隊から報告が上がっていた。
「なぜ……彼女が……」
ヘイジーがわざわざ伝えに来たのは、ジェラルドが婚約者がいる身であるユラリに好意を持っていたとはまでは言わないが、ユラリが彼の好みであることは見抜いていたからである。
ジェラルドは肩を落として、唖然としていた。
「可愛がっていた子だろう?」
「ああ……時間に正確で、真面目な子だ」
水やりも務めではあるが、時間を守らず適当にやる者も多い中、彼女は時間を守り、しっかり水やりをして、雑草も抜いていた。
だが、少しおっちょこちょいなところもあり、顔から花壇に突っ込んだり、間違えて花を抜いてしまったり、慌てているユラリが非常に可愛かった。
「騎士団ということは事件性があるのか?」
「そういうことだな。昨日、彼女は邸に帰らず捜索願が出ていた。そして、今朝、亡くなった状態で見つかったそうだ。それで出血と後頭部に傷があり、強盗に遭ったのではないかという見解らしい」
「強盗?」
ジェラルドの眉が一気に上がり、目つきも鋭くなった。
「彼女の持ち物がなくなっているそうだ」
「待ってくれ、どこで亡くなっていたんだ?」
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