39 / 43
第四章 ドラゴンハンター04 本田敦也
4-5
しおりを挟む
「やっぱりぼくがおとりになる」
敦也は祐太に言った。
「ぼくの弟を助けるためだもん。祐太を危険な目に合わせられないよ」
敦也は、祐太から下敷きを奪い取った。
辺りは薄暗くなってきている。これなら静電気を起こせば、火花がはっきりと犯人にも見えるに違いない。
建物から、塾生たちが一斉に出て来た。
敦也は電信柱の陰に隠れて、思い切り下敷きで頭をこすった。
そのまま塾生に紛れ込むようにして、歩き出す。歩きながら、手で髪を触る。パチッと指先に痛みが走る。だが、ドラゴンに寄生された子どもの火花と比べたら、かなり弱い。
(こんなことでうまくいくのかな)
塾生たちが、バイバイと手を振りながら帰っていく。ほとんどの子が、親が車で迎えに来ていた。
歩いて帰る子どもは、敦也の他にあと二人くらいだ。周りに人がいる間はなにも起こらなかった。
他の二人が、角を曲がる。圭吾は真っ直ぐ歩き続けた。髪におこした静電気も、すっかりおさまってしまった。
(もうあきらめようか)
そう思った瞬間、何者かに後ろから口をふさがれた。
驚いて、思わず声を上げる。だが、口を手で押さえつけられていて、くぐもった声しか出ない。
敦也はその手を跳ね飛ばし、後ろを振り返った。昼間見たのと同じ、全身黒ずくめでマスクをした男が立っていた。思わず逃げ出しそうになる。
だが、逃げてはだめだ。うまく誘拐されなければ隼人の居場所にたどり着けない。
敦也は素早く辺りを見回した。大丈夫だ。柱の陰に隠れるようにして、圭吾と祐太、美鈴が後をつけてきている。
男に腕をつかまれた。不審に思われないように、少しだけ抵抗する。
辺りが急に明るくなる。車のライトだ。後ろから車が走ってきて、敦也の横で止まった。
後部座席のドアが開けられる。敦也は背中を強く押された。突き飛ばされるようにして、車に乗せられた。
ドアが閉まる音。出発しろ、という男の低い声。後部座席に顔を押しつけられる。あっという間に、男に両手を後ろで縛られた。
車が急発進する。
(まずい。みんながついてこられない)
冷や汗が出て来た。
(落ち着け、落ち着け。こういう時のための作戦があるじゃないか)
耳の奥でドクドクと脈がなる。敦也はじっとこらえた。
敦也は祐太に言った。
「ぼくの弟を助けるためだもん。祐太を危険な目に合わせられないよ」
敦也は、祐太から下敷きを奪い取った。
辺りは薄暗くなってきている。これなら静電気を起こせば、火花がはっきりと犯人にも見えるに違いない。
建物から、塾生たちが一斉に出て来た。
敦也は電信柱の陰に隠れて、思い切り下敷きで頭をこすった。
そのまま塾生に紛れ込むようにして、歩き出す。歩きながら、手で髪を触る。パチッと指先に痛みが走る。だが、ドラゴンに寄生された子どもの火花と比べたら、かなり弱い。
(こんなことでうまくいくのかな)
塾生たちが、バイバイと手を振りながら帰っていく。ほとんどの子が、親が車で迎えに来ていた。
歩いて帰る子どもは、敦也の他にあと二人くらいだ。周りに人がいる間はなにも起こらなかった。
他の二人が、角を曲がる。圭吾は真っ直ぐ歩き続けた。髪におこした静電気も、すっかりおさまってしまった。
(もうあきらめようか)
そう思った瞬間、何者かに後ろから口をふさがれた。
驚いて、思わず声を上げる。だが、口を手で押さえつけられていて、くぐもった声しか出ない。
敦也はその手を跳ね飛ばし、後ろを振り返った。昼間見たのと同じ、全身黒ずくめでマスクをした男が立っていた。思わず逃げ出しそうになる。
だが、逃げてはだめだ。うまく誘拐されなければ隼人の居場所にたどり着けない。
敦也は素早く辺りを見回した。大丈夫だ。柱の陰に隠れるようにして、圭吾と祐太、美鈴が後をつけてきている。
男に腕をつかまれた。不審に思われないように、少しだけ抵抗する。
辺りが急に明るくなる。車のライトだ。後ろから車が走ってきて、敦也の横で止まった。
後部座席のドアが開けられる。敦也は背中を強く押された。突き飛ばされるようにして、車に乗せられた。
ドアが閉まる音。出発しろ、という男の低い声。後部座席に顔を押しつけられる。あっという間に、男に両手を後ろで縛られた。
車が急発進する。
(まずい。みんながついてこられない)
冷や汗が出て来た。
(落ち着け、落ち着け。こういう時のための作戦があるじゃないか)
耳の奥でドクドクと脈がなる。敦也はじっとこらえた。
0
あなたにおすすめの小説
マジカル・ミッション
碧月あめり
児童書・童話
小学五年生の涼葉は千年以上も昔からの魔女の血を引く時風家の子孫。現代に万能な魔法を使える者はいないが、その名残で、時風の家に生まれた子どもたちはみんな十一歳になると必ず不思議な能力がひとつ宿る。 どんな能力が宿るかは人によってさまざまで、十一歳になってみなければわからない。 十一歳になった涼葉に宿った能力は、誰かが《落としたもの》の記憶が映像になって見えるというもの。 その能力で、涼葉はメガネで顔を隠した陰キャな転校生・花宮翼が不審な行動をするのを見てしまう。怪しく思った涼葉は、動物に関する能力を持った兄の櫂斗、近くにいるケガ人を察知できるいとこの美空、ウソを見抜くことができるいとこの天とともに花宮を探ることになる。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
はるのものがたり
柏木みのり
児童書・童話
春樹(はるき)が突然逝ってしまって一ヶ月。いつも自分を守ってくれていた最愛の兄を亡くした中学二年生の春花(はるか)と親友を亡くした中学三年生の俊(しゅん)は、隣の世界から春樹に来た招待状を受け取る。頼り切っていた兄がいなくなり少しずつ変わっていく春花とそれを見守る俊。学校の日常と『お隣』での様々な出来事の中、二人は気持ちを寄せ合い、春樹を失った悲しみを乗り越えようとする。
「9日間」「春の音が聴こえる」「魔法使いたちへ」と関連してくる物語。
(also @ なろう)
【完結】夫に穢された純愛が兄に止めを刺されるまで
猫都299
児童書・童話
タイムリープしたかもしれない。中学生に戻っている? 夫に愛されなかった惨めな人生をやり直せそうだ。彼を振り向かせたい。しかしタイムリープ前の夫には多くの愛人がいた。純愛信者で奥手で恋愛経験もほぼない喪女にはハードルが高過ぎる。まずは同じ土俵で向き合えるように修行しよう。この際、己の理想もかなぐり捨てる。逆ハーレムを作ってメンバーが集まったら告白する! 兄(血は繋がっていない)にも色々教えてもらおう。…………メンバーが夫しか集まらなかった。
※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、Nolaノベル、Tales、ツギクルの6サイトに投稿しています。
※ノベルアップ+にて不定期に進捗状況を報告しています。
※文字数を調整した【応募版】は2026年1月3日より、Nolaノベル、ツギクル、ベリーズカフェ、野いちごに投稿中です。
※2026.1.5に完結しました! 修正中です。
アリアさんの幽閉教室
柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。
「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」
招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。
招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。
『恋の以心伝心ゲーム』
私たちならこんなの楽勝!
夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。
アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。
心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……??
『呪いの人形』
この人形、何度捨てても戻ってくる
体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。
人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。
陽菜にずっと付き纏う理由とは――。
『恐怖の鬼ごっこ』
アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。
突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。
仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――?
『招かれざる人』
新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。
アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。
強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。
しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。
ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。
最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる