こんな異世界望んでません!

アオネコさん

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第3章 魔導帝国ハビリオン編

魔法剣は…あ、無いですか

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 そこには頑丈そうな鉄の扉があった

(ここの部屋は一体なんだろう…ここも訓練部屋かね…?)

「ユウト殿」

 勝手に開けるわけにはいかないので、扉の前で突っ立っていると声をかけられた
振り向くとカザル兵士長が一人の兵士を連れてこちらに向かってくるところだった

「ひっ…」

 カザルさんの後ろにいるのは、さきほど俺に地獄を見せてくれやがったヒゲマッチョだ
咄嗟に身を引いてしまったが仕方ない

「クランドがユウト殿に謝りたいと言っているのだが、もし良ければ少し話し合えないだろうか」

 困ったようにそう言うカザルさん
でも、そんな謝罪は必要無いですよ
それよりも一刻も早く俺からヒゲマッチョを離してください
このままでは危険な魔法を使ってしまいそうです


 …冗談ですって
冷静に考えればぶつかるような場所に座ってた俺も悪いんだし、それに風魔法で吹き飛ばしちゃった事もちょっと罪悪感はあるんだよ?


「本当に申し訳無い!」

 ガバッ…と、音がなりそうな程の勢いで頭を下げるヒゲマッ…クランドさん

「いえ…俺もあんな所にいたのが悪いんですし、それに魔法ぶつけてしまって…大丈夫でしたか?」

 俺自身も罪悪感があるので、一方的な謝罪はちょっと困る
なのでこっちも謝る事になり、日本人的な謝り合戦が…

「ああ!大した事は無かったけど、まさか俺が吹き飛ばされるとは…余程腕が立つとみえる、さすが殿下のご友人だ!」

始まらなかったが、代わりになぜか魔法を褒められてしまった
褒めたってなんにも出ねぇぞ?
…傷の手当くらいはしてもいいけど


 一応怪我の有無について聞いてみると大した事ないと言っていたので回復はしないでおいた
まぁ魔法使うと副作用がごにょごにょ…だし良かったのだろう、うん



「ユウト水だぞ」

 クランドさんと兵士長のカザルさんが訓練部屋に戻って行くと代わりにアスキルが水を持ってやってきた

「ここってなんの部屋なの?」


 ありがとう、と言ってから部屋の説明を求める
さっきの違和感の正体を知りたいんだけど、すぐにわからなくなっちゃったからな…
あ、お水美味しい

「あー、ここはただの武器庫だけど…なに?興味あるのか?」

「うんまぁ…ちょっとね」

 なるほど、まぁ訓練棟の中に武器庫があるのは当たり前か…
もしかしたら違和感の正体って魔法が付与された武器なのかも…
魔法剣とか…ビームソ…は無いだろうな

「ならちょっと入ってみるか」

 そう言うとアスキルは扉の前に立ち、扉の中心部分にある鍵穴にポケットから出した鍵を差し込む
すると扉とアスキルの間で何らかの魔法が働いたのがわかった
何か魔法的な仕掛けがしてあるらしい

 そりゃそうか、武器庫なんて普通入れな…待て、それって俺入っても良いの?そんな簡単に入れるの?大丈夫か?ここの城…

「入っても良いの?」

「大丈夫だろ、気にするな」

 …だいぶ気にする事案だけども
まぁ、怒られるのはアスキルだけだろうし、気にしないでおこう


 アスキルが扉を開けるとギギギ…とびついた音を鳴らす
どうやらそこまで頻繁ひんぱんに使われていないようだ

「おぉ…」

「凄いだろ」

 
 あまり使われていないにも関わらずホコリっぽく無いその部屋は、武器を種類ごとに保管しているらしく、目の前には剣が並んでいた

(…?これは…?)

 果物ナイフのような小さな物から、数メートルにもなるだろう巨大な剣や、不思議な模様が刻まれた細身の剣など、面白そうな物が並んでいる…が、俺は別の事に集中していた

 (妨害されてる…?いや、これは結界のせいかな?でもここまで強くなかったし…)

 実は、この城の敷地に入った時からなのだが感知系の能力が正常に働いていないのだ
城の敷地には結界などが張られているので、多分それで感知能力を阻害しているのだと思う

 だが、そこまで阻害されているわけじゃなかったので気にしていなかったが、この部屋は他よりも阻害が強力だったので気になったのだ

「どうした?大丈夫か?」

「あ、うん…部屋の広さに驚いただけ」

「そうなのか、まぁここは城の武器庫でも2番目に広いからな」


 アスキルが言う通り、この部屋は結構広い
感知が上手く働かないから確かなことは言えないけど学園の訓練棟と同じくらい広いかも…いや、少し狭いくらいかな?
…見てわからねぇのかって?視界いっぱいに武器があるからよく見えねぇんだよ!!俺のせいじゃないわ!

 とにかく…

 違和感の正体は突っ立ってるだけじゃわからないのでアスキルに案内してもらい部屋をウロウロしてみた
感知阻害は違和感の正体ではないと思う…感覚的にだけど…

「ここは斧だな…色々あるぞ」


 色々歩いて斧が並ぶ場所に来た
大小様々な斧が重々しい存在感を放っている
どれも重そうで、振り回したら何かしらの事故が起きそうな、そんな気がする

「これ…持てるの?」

 いかにも重いですと言わんばかりの黒い大きな斧の前で俺はアスキルにそう聞いた
黒い斧は左右に刃のついた戦斧で3メートルほどの大きさだ
もう巨人族しか扱えない気がする
巨人族いるかわからんけど…

「あー…」

 アスキルは黒い斧を見ながら困ったように話した

「それは見た目よりも重いし、うちの国じゃ人はいないな」

 振るうだけなら魔法で何とかなるんだがな…と、アスキルは言う
…まぁ、魔法使えるのであれば攻撃魔法使った方が効率良いような気がするけども…

「それにここにある武器は鍵がかかってるから触ることが出来ないぞ」

「鍵?」

 そう言われてもう一度…さっきよりも集中して見てみるとソレがわかった

(これは…魔法?ずいぶん強力な…それに他にも)

 そう、目の前の黒い斧に限らず周囲にある武器全てに強力な魔法がかかっていた
…そして、さらに驚くことがあった

(ここも…ここにも…これは…)

 アスキルが言っていた鍵の魔法…それだけじゃなく、他にも複数の魔法が武器やその周囲に張り巡らされているのが認識出来た
それだけじゃない、なんと部屋の床や壁…それに天井にも複雑な魔法が使われているようだ

 それに、さらに驚く事にそれだけの魔法が使われていたにも関わらず、俺が意識するまで全く気付けなかった事だ
【万能感知】や【魔眼】を持っているこの俺がだよ!?

(これが違和感の正体か…)


「ここって色んな魔法が使われてる?」

「お?よくわかったなユウト」

 アスキルは一度周りをキョロキョロ見回してから、俺に目を向けた

「この部屋には汚れ防止だったり盗難防止だったり…他にも数え切れないほどの魔法がかけられてるらしいぞ?ただ、認識を阻害する魔法や魔法を偽装する魔法なんかが複雑に絡み合ってるから、この部屋に存在してる魔法の数や種類は俺も知らないんだ」

 …なるほど…魔法を認識出来ないようさせる魔法がかかっているのか…
そして、魔法がある…と認識したとしてもどんな魔法がかけられてるのかわからないようにしているのか…

(なんて複雑な…)

 …もし、自分がやろうと思ったら長い時間がかかるだろうな…
まぁこっちには賢者先生がいるから普通よりは速いだろうけど

 で、賢者先生?この部屋にかけられてる魔法は解析出来ましたか?

《現在解析中です》


(なんと…賢者先生がこんなに時間かかるなんて)


 実は俺もアスキルと同じようにどんな魔法がこの部屋にかけられてるかわからない状態なんだよね…
スキルの影響なのか、どんな魔法が使われてるのかって見ただけで何となくわかるようになったんだけど、今は全くわからない
鍵の魔法さえも特定出来てないんだから

 いや、これが鍵の魔法かな?っていうのはあるけど、推測なんだよね…
だから賢者先生に解析してもらおうと思ったんだけど…

(まさか賢者先生でも解析に時間がかかるとは…)


 俺はラグエルという天使を封印していたスキルを思い出していた
賢者先生が解析に時間がかかると説明したのはあの封印とここにある魔法だけだ
きっと一筋縄ではいかないだろう…




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