こんな異世界望んでません!

アオネコさん

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第2章 世界の異変が大変編

これは最早蹂躙ですね

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「間に合ったかッ!」

 全速力で走ってきたのか、クロードさんはだいぶ息が乱れている。
 元々怖い顔が余計に怖くなってるよクロードさん……。

 続いてクロードさんの後方から兵士や冒険者が来て横に広がっていく。
 みんな顔に緊張が現れて……いやあれは息切れのせいか?

「カイル!ユウトをつれて後ろに行くんだ!」

 カールがクロードさんの後ろの方からやってきてそう言ってくる。
 え?だから戦えますって……。

「わかりました!ユウト君行こう!」

「え?でも……」

 俺の手を掴んで、みんなの後方に行こうとするカイルさんに何か言おうとするが、

「ユウトには怪我をしたやつの手当をしてほしい!」

 カールさんのその言葉でそれもそうか、と納得して俺はカイルさんと後方に走っていった。

 後方に行くと数人の兵士や冒険者がいて、その中には魔法使いらしきローブの人もいる。
 って魔法使いいるんかい!見たことなかったわ!
 あ!レイトさんがいたわ!

 レイトさんの部隊の人かな、なんて思っているとローブ部隊の人たちが、数人で何か術式を構築したと思ったら俺達の周りに大きな膜が出来上がった。
 え?この人たちも結界つくれんの?

「天使様は我々が守ります!」

 とローブ部隊が言ってくるが、だから俺天使じゃないってば。

「いやいや!俺達が守るぜ!」

 いやいや、あんた達冒険者と兵士も混ざらなくていいから!

 俺が少し引き気味に見ているとクロードさん達の方から、
 うおぉぉ!!という声が響き渡った。

「始まったみたいだな……」

 冒険者の一人がそう言ったので、俺がクロードさん達の方をみると、その辺りから煙があがっているのが見えた。

 大丈夫かね?狼とかめっちゃ多かったよ?チートさん達がいても難しいんじゃない?白狼とかってのもいるみたいだし……。

 そんなことを考えていると、大きな音と共に地面が震えた。
 お前か!カール!もっと静かな技は無いのか!

 カールに対してイラッとしていると、戦場から数人の兵士が歩いてくるのが見えた。
 いや、あれは……。

「こいつを治してくれ!」

 二人の兵士が一人の兵士に肩を貸しながらこっちへ近付いてきて、地面にその一人を横にすると再び戦場へと戻っていった。
 横にされた兵士は左の足から血を流していた。
 グ、グロイ……。

 俺はすぐにウイルス魔法を使って治療をする。
 すると、流れた血はそのままだが足の傷がすぐに治っていく。

「うぅ、た……助かった」

 足が治った兵士は俺に礼をして再び戦場へと……ってもう行くんかい!休まないの!?

 そんなことを思っていると、その兵士と入れ替わるように再び怪我人が運び込まれた。

 そしてしばらく俺がひぃひぃ言いながらウイルスを撒き散らしていると、

 ドガアァン!!


 と戦場の方で大きな爆発が起きた……うひぃ!?カールぶっ飛ばすぞ!集中出来ないでしょうが!

 なんて、そんな思いはその後の光景ですっ飛んでしまった。

「は、白狼……?」

 見たことが無い俺でもわかる。
 あれが白狼だと……。

 体長二メートルは軽くあるような大きな体躯。
 そして遠目からでもわかるほどの美しい白い毛並み。
 だがその動きは凶暴そのもので、前足をひと薙ぎするだけで人が木の葉のように飛んでいく。


 ぎゃあぁぁ!!出たぁぁ!!!暴走してるじゃん!!やばいやばい!ひぃ!まさに、見ろ!人がゴミのようだ!だよ!
 あ、こっち向いた。

 その凶暴の化身となった魔物はこちらに顔を向ける。
 これ終わったわ、俺達もゴミ確定だわ……。

「来るぞ!!」

 カイルさんがそう言ったと同時に白狼はこちらに向かって走ってきた。
 ぎゃぁ!速いって!これじゃ逃げきれないだろ!

 カイルさん達が剣を構えると同時に白狼がこちらに到達した。
 そして前足を振り上げ、そして薙ぐ。
 それだけで結界は紙のように破られてしまった。

「そんなっ!!」

 魔法使い達が絶望の声をあげるが、白狼は構わずに突っ込んでくる。

「うぉぉぉぉぉ!」

 兵士の一人が切りかかるが、

「ぐはっ!!」

 前足で横に吹き飛ばされる。
 そして回転しながら木にぶつかる。
 い、痛そう……。

「ぎゃぁ!」

「ぐああっ!!!」

 ひぃぃ!!見たくないよー!!

 俺の目の前でみんなが次々と木の葉のように飛ばされていく。
 レベルが違いすぎるよ!!誰かヘループ!!

「はぁっ!!」

 カイルさんが白狼に切りかかる。
 白狼が前足で飛ばそうとするが前足と剣がぶつかってもカイルさんは吹き飛ばなかった。
 おお!!さすがカイルさん!イケメンは一味違いますね!

「ぐっ!」

 カイルさんはその一撃に耐えながら剣を再び振るうが、白狼はそれを前足で相殺させる。

 そんなやり取りが何回も続き、カイルさんの体力が尽きかけた時、白狼がカイルさんを吹き飛ばした。
 その瞬間俺は白狼の前に出て手の平を前に突き出す。

「目くらまし!!」

 目をつぶってウイルス魔法を使い空間を光で埋める。
 そして手を白狼の足に当ててウイルス魔法を再び使う。

 これぞ、カイルさんと戦っているスキを狙って、目くらましをしてウイルスを注入する作戦!成功だ!

 白狼もきっと魔素汚染で凶暴化していると思ったし、それならウイルス魔法で治せると思っての作戦だったのだ!
 俺って頭良い!!カイルさんを囮に使ってしまってごめんなさい!
 スライムキング戦に続き、またカイルさん飛んでったけど今回も死ぬことはないだろう(たぶん)!
 まぁこれで白狼も……!


「グルルル……」

「え」

 光が消えたあと俺の前には白い狼が立っていた。
 口からは大きな牙が見えていて、俺を見る真っ赤な目は理性が失われているように見える。

 ……あ、あれ?これで治らないの?
 もしかして別の理由で凶暴化してた?
 それか回復魔法が効かない体質とか?あ、これ終わったわ……。

 俺は体が動かなくなって(というか動いたら死ぬ気がする)ずっと白狼と目を合わせ続けた。

 どのくらい経ったのか、もしかすると数秒しか経っていなかったのかもしれない。

「ユウト様!」

 後ろのほうでこっそり魔法を構築していた魔法使い達が、俺の名前を呼びながら魔法を放つ。

 様々な属性が合わさった魔法は、俺の横を通りながら白狼に襲いかかる。

 だがその魔法が白狼に当たることはなかった。

「なっ……」

 いつの間にか白狼は魔法使い達の前まで移動しており、軽く薙ぐ。

「ぐはっ!!」

「ぐあぁ!」

 魔法使い達は全く抵抗出来ずに吹き飛ばされていく。

 バッと後ろを振り向いた時には、もう魔法使い達は森の中に消えていくところだった。

「ひっ……」

 腰が抜けて尻もちをついてしまう。

 ゆっくりと白狼がこちらを振り向く様は最早ホラーの領域だろう。

「ユウト君、逃げるんだ……!」

 カイルさんがゆっくりこっち向かって来て白狼に剣を向けるが、体がフラフラしており押せば倒れてしまいそうだ。

 そんな時。

「うおぉぉぉ!!」

 俺の後ろのほうからこちらに向かってくる者が一人。

「白狼!俺が相手だ!」


 そう、カール……!


 ではなくクロードさんが、そう叫びながらこちらに走ってくる。
 おお!救世主だ!!


 ……だが、クロードさんを見るために後ろを向いてしまったのが悪かった。

 グッと首に生暖かい空気と、圧を感じたかと思うとフワッと体が宙に浮く。

「え?」

「ユウト君……!」

 隣にいたカイルさんの声を聞きながら俺は混乱していた。

 え?なに?首に何かあるよね?
 あれ?俺咥えられてね?白狼に咥えられてるよね?
 このままパクッと……。
 ひぃぃ!俺は食べても美味しくありません!!

「ユウト君を放せ!!」

「ユウト殿!!!」

 カイルさんとクロードさんが俺を助けようと動くが、白狼はそんな二人を無視して俺を咥えたまま移動を始めた。

「わっ!」

「ユウト君!!!」

「くっ!!」

 カイルさんの声が遠ざかっていくのを感じる。
 クロードさんは白狼を止めようとしたが、簡単に弾き飛ばされたみたいだ。
 白狼は凄い速さでみんなが戦っている戦場を駆け抜けて、自分達がいた森の方へ向かっていく……。
 ひぃぃ!俺どうなるの!?というか木にぶつかりそうで怖いよ!!


 誰かヘループ!!!



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