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目覚め 1
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「……まぶしいな」
まぶたの内側で、目を閉じている私の視界の上で、180度覆われた明るい光が、一直線に向かって飛んでくる。目を開けると、そこにはちょうど日差しが登り始めた太陽の顔が、少し窮屈そうに山の斜面を削って、空一面に青い絵の具をこぼしている。まだ昼じゃない。朝だ。少し肌寒い風の流れを受けて、くしゃみしそうになる。その私を背後に、朝が来ていた。人生何度目の朝か、知らない。ただ、私には二度とこないはずだった朝が、目の前にぐんと伸びて広がっていて、思わず見とれてしまう自分がいた。懐かしいな……。そう思う気さえする長い長い時間の隔たりを感じて、背すじを伸ばしていると、だんだん身体中の訛りきった痛みにも近いコリが、背中を伝って流れるかのように、足の裏まで痺れを持たせる。よろめく。生まれたての羊だ。私は。なんて頼りない二本足なんだ。相変わらず。
脱力する身体のそばで、ため息混じりに太陽を指差した。私は、下ばかり向いていたけれど、お前ともう一度会えて幸せだ、なんて太陽に向かって話しかけても、しょうがない。だけど指さしたい。あの方角に見えるもの、遠い遠い景色の向こう岸に、神さまがいた、はずなんだ。
ずいぶんと手荒に放り投げてくれたよね。おかげさまで、足腰が痛いよ。カカトを踏んでも、まだふわふわする。
まぶたの内側で、目を閉じている私の視界の上で、180度覆われた明るい光が、一直線に向かって飛んでくる。目を開けると、そこにはちょうど日差しが登り始めた太陽の顔が、少し窮屈そうに山の斜面を削って、空一面に青い絵の具をこぼしている。まだ昼じゃない。朝だ。少し肌寒い風の流れを受けて、くしゃみしそうになる。その私を背後に、朝が来ていた。人生何度目の朝か、知らない。ただ、私には二度とこないはずだった朝が、目の前にぐんと伸びて広がっていて、思わず見とれてしまう自分がいた。懐かしいな……。そう思う気さえする長い長い時間の隔たりを感じて、背すじを伸ばしていると、だんだん身体中の訛りきった痛みにも近いコリが、背中を伝って流れるかのように、足の裏まで痺れを持たせる。よろめく。生まれたての羊だ。私は。なんて頼りない二本足なんだ。相変わらず。
脱力する身体のそばで、ため息混じりに太陽を指差した。私は、下ばかり向いていたけれど、お前ともう一度会えて幸せだ、なんて太陽に向かって話しかけても、しょうがない。だけど指さしたい。あの方角に見えるもの、遠い遠い景色の向こう岸に、神さまがいた、はずなんだ。
ずいぶんと手荒に放り投げてくれたよね。おかげさまで、足腰が痛いよ。カカトを踏んでも、まだふわふわする。
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