天子は輪廻で夢を見る

りん

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第壱章 夢の中で語る者

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『待ってるから。……ンダ。アラはずっと…』


  「…い!真衣!」
  「ん…。」
 肩を揺すられて目を覚ました。
  「もう、真衣ったら1時間まるまる眠ってたじゃない!先生怒ってたよ!?」
  「え!本当?うわー、お願い藍!!ノート見せて!」
 拝む様に手を合わせる真衣だがそっぽを向いたまま藍は取り合ってくれない。
   「お願いします藍様。貴方の素晴らしきノートを私めに拝見させてください。」
 懇願するようにかしこまって言う真衣を見て笑い、ノートを差し出した藍は
   「良いでしょう。お寝坊の真衣さんには特別に見せてあげます。…ただし、次は無いから。」
 と、真衣目掛けて見えない打撃を繰り出す。
   「はいぃぃぃぃ!!ごめんなさぁぁぁぁい!!!」
 真衣撃沈。
必死に藍のノートを書き写す真衣
   「次、移動なんだけどなぁ」
 急かす藍に目も向けず
   「すぐ写します!」
 と手を動かし続け
   「うん、待ってるよ。」
その言葉を聞いて手が止まった。

   『待ってる』

 先程の夢の中でも聞いた言葉だった。
 幼く、どこかで聞いたことがあるような、そんな気がする声だった。
   「真衣?」
   「へ!?あ!ごめん、もう終わるから!」
   「いや…そういう事じゃ…」
   「よし!終わった!ありがと藍、行こ!」
   「う…うん。」
 そして二人は廊下をかけて行った。





   『…ンダ。ミランダ!』
 まだ幼い声
   『ねぇ。ミランダ見て、人間の世界よ。ここから見える。』
 楽しそうに輝く瞳
   『不思議よね。どうして人間は羽も輪も無いのに彼らの世界の方が輝いて見えるのかしら。』
 そう呟く少女の頭上には薄く光る輪が浮いている。
   『アラもあんな風に輝いて見たい。』
 まだ幼い声。





 とても辛そうな声。
















   「?」
 目を覚ました真衣は違和感を覚え起き上がる。
   「私、今夢見てた?」
 真衣の眠りは浅く、あまり夢を見るものではなかった。それ故に真衣は違和感を覚え、それを思い出そうとした。しかし、そうしている間にも夢は朧げになってしまい、思い出すことは出来なくなってしまった。
   「ここ最近夢が多いなぁ…。」
 思い出す作業に疲れてしまったのか、舞はベットからそろりと降りる。
 真衣はまだ眠っている幼い妹の花奈を起こさないように静かに部屋を出た。


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