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第壱章 夢の中で語る者
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ここは会議室。
今は空き教室となっている場所だ。
そこにはまだ若い男女が1組。
ただその空気は重く、澱んでいた。
「分かっていただけましたか?真衣さん。」
舞を見すえ、言葉をかけるのは先程出会ったばかりの空兎。
「分からない。·····分かりたくもない。なんでそんなこと言われなきゃいけないの。」
その静かな瞳を真っ直ぐ見つめ──否、睨み返す真衣の瞳は怒りに燃えていた。
「如月藍を拒絶し、遠ざけること」
それが空兎から言われた言葉だった。
知りもしない相手になぜそんなことを言われるのか、その理由さえも教えてはくれないのだ。
「その方が、真衣さん、貴女の為だからですよ。彼女は貴女の害でしかない。」
表情ひとつ変えず、淡々と告げる空兎に対し、さらに怒りが湧く。
「だから、それがなんでって言ってるの!私の一番の親友で、いつも一緒に居て、お互いの事ならなんでも知ってて……」
「本当にそう思えるのですか?」
激情の中、諭すようにいなすように空兎は問う。
「え?」
突然の問に戸惑う真衣。
「貴女がそうお思いならば、今はそれでも構いません。ただ、それは単なる瞞しでしかありません。彼女は貴女を欺いている。貴女がそれに気付いた時、その時に話はさせていただきます。……ですから。ですからどうか早くお気付きになって下さい。」
有無を言わせず立ち去る空兎を真衣はただ呆然と見送ることしか出来なかった。
「早くお戻りに。天命されし神の子よ。」
今は空き教室となっている場所だ。
そこにはまだ若い男女が1組。
ただその空気は重く、澱んでいた。
「分かっていただけましたか?真衣さん。」
舞を見すえ、言葉をかけるのは先程出会ったばかりの空兎。
「分からない。·····分かりたくもない。なんでそんなこと言われなきゃいけないの。」
その静かな瞳を真っ直ぐ見つめ──否、睨み返す真衣の瞳は怒りに燃えていた。
「如月藍を拒絶し、遠ざけること」
それが空兎から言われた言葉だった。
知りもしない相手になぜそんなことを言われるのか、その理由さえも教えてはくれないのだ。
「その方が、真衣さん、貴女の為だからですよ。彼女は貴女の害でしかない。」
表情ひとつ変えず、淡々と告げる空兎に対し、さらに怒りが湧く。
「だから、それがなんでって言ってるの!私の一番の親友で、いつも一緒に居て、お互いの事ならなんでも知ってて……」
「本当にそう思えるのですか?」
激情の中、諭すようにいなすように空兎は問う。
「え?」
突然の問に戸惑う真衣。
「貴女がそうお思いならば、今はそれでも構いません。ただ、それは単なる瞞しでしかありません。彼女は貴女を欺いている。貴女がそれに気付いた時、その時に話はさせていただきます。……ですから。ですからどうか早くお気付きになって下さい。」
有無を言わせず立ち去る空兎を真衣はただ呆然と見送ることしか出来なかった。
「早くお戻りに。天命されし神の子よ。」
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