迷いの森

依頼

「オスカーお疲れさま」
「エミリーもお疲れ」

冷えたエールを一気に飲み干す。
依頼中は飲めなかったお酒が美味しい。身体に染み渡る感じがたまらない。
今回の仕事の反省、改善点を酒を飲ながら交わすのが楽しい。
毎回これを繰り返し新たな依頼に打ち込む。
それが仕事を楽しみながらやるのが二人のモットーだった。


「なぁエミリー俺さぁ」
「ん？」

若干顔が赤いオスカーはモゴモゴして言葉が出てこない。
仕事中やプライベートでもハッキリものを言うオスカーにしては珍しい。

「酔ったの？」

「あ、あのな……エミリー」

「うん、どうしたの？」

「俺エミリーが！！


「あの、オスカー様、エミリー様少しよろしいでしょうか？」

声をかけられた方を見ると伯爵さまの執事だった。
今朝まで一緒だった彼がなぜ、市民の憩いの場である居酒屋にいるのだろうか？

「お疲れの所申し訳ございません、ご相談したい事が……」

話を聞くと、伯爵様の息子と娘が何者かに誘拐されてしまったらしい。
ギルドに依頼をしたいが、誘拐した賊から誘拐された事を公表したら子供たちの命はない事。
身代金として王都の予算に匹敵するほどの請求、見張りに賊の一味が屋敷にいる事
緊急をようする内容だった。

「それは大変です！力になります」

「ありがとうございます。これは内密ですので声は小さくお願いいたします」

「オスカーのバカ」


困った人を見捨てる事が出来ないオスカーはすぐに出発しようとするが、エミリーと執事に止められる。

「まず何処に誘拐されたか教えて下さい」